法人別リリース Thu, 05 Dec 2024 15:00:00 +0900 hourly 1 食育健康サミット2024 『健康寿命延伸に向けたアプローチ~高齢期をいきいきと過ごすための食事と運動~』 /release/202412041085 Thu, 05 Dec 2024 15:00:00 +0900 米穀安定供給確保支援機構 公益社団法人 日本医師会と公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構は、生活習慣病の予防・治療におけるごはんを主食とした日本型食生活の有用性などについて考える、「食育健康サミット」を毎年開催しております。... 本年度は「健康寿命延伸に向けたアプローチ~高齢期をいきいきと過ごすための食事と運動~」をテーマにWEB配信を開始いたしました。
「健康日本21(第三次)」では、「ライフコースアプローチを踏まえた健康づくり」が基本的な方向のひとつとして掲げられました。高齢期については、「低栄養傾向の高齢者の減少」、「ロコモティブシンドロームの減少」等が目標として設定されております。なかでも、低栄養状態はフレイル・サルコペニアをはじめとする様々な疾患の引き金となり、要介護状態の原因にもなることから、高齢者の食事指導など、栄養に関する課題に向けた取組は急務となっています。
本シンポジウムでは、「健康寿命延伸に向けたアプローチ~高齢期をいきいきと過ごすための食事と運動~」をテーマに、健康寿命の延伸に向けた具体的な対策として、フレイルやサルコペニア予防とその背後にある「低栄養」の問題、日本型食生活の意義や活用法等を含めた栄養改善、さらに、食事とともに健康寿命延伸の両輪となる運動について、疾患、栄養、運動の専門家からアドバイスをいただきながら、健やかな生活習慣を身につけ健康寿命を延ばすためには、どのような指導・普及支援等を行えばよいのか、医学的・栄養学的に考えます。
本サミットは医師、管理栄養士等を主な対象としていますが、どなたでも無料でご視聴頂けます。
視聴には事前登録が必要になります。詳細は、下記「参加方法」をご参照下さい。



WEB配信 【食育健康サミット2024】 「健康寿命延伸に向けたアプローチ~高齢期をいきいきと過ごすための食事と運動~」 開催概要 ■配信期間:2024年12月4日(水)10:00 ~ 2025年2月28日(金)23:59
■主 催:公益社団法人 日本医師会 公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構
■参加費:無料
■座 長:帝京大学臨床研究センターセンター長 / 寺本内科・歯科クリニック内科院長 寺本 民生
■講 師:
東北大学 名誉教授 / 東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野 客員教授 辻  一郎
東京都健康長寿医療センター糖尿病・代謝・内分泌内科 フレイル予防センター長 荒木  厚
筑波大学人間系 教授 山田  実
札幌保健医療大学大学院 教授 / 大妻女子大学 特任教授 川口 美喜子
帝京大学臨床研究センター センター長/寺本内科・歯科クリニック 内科院長 寺本 民生
(敬称略)
■参加方法: 米ネットからお申込み https://www.komenet.jp内の下記バナーからお申し込みください。

 
 
■講演要旨
基調講演  「日本食と健康長寿」
辻 一郎 先生 東北大学 名誉教授 / 東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学分野 客員教授
 
日本食(米飯・魚介類・野菜・海藻・大豆製品・緑茶などの摂取が多く、牛肉・豚肉の摂取が少ない)パターンの健康長寿に対する影響が、多くのコホート研究で解明されています。演者らの大崎国保加入者コホート研究や大崎コホート2006研究によると、日本食パターンの度合いが強い者ほど、総死亡(とくに循環器疾患死亡)リスクが有意に低下し、要介護や認知症の発生リスクも有意に低下しました。また中高年期に日本食パターンの度合いが増えた者では認知症発生リスクが有意に低下しました。
日本食パターンと認知症発生リスクとの有意な負の関連は、久山町研究など日本を代表する高齢者コホート研究でも同様に観察されています。また、日本食パターンは食品摂取の多様性とも関連があり、後者が著しい高齢者ほど海馬の縮小程度が小さいとの報告もあります。
以上のようなエビデンスがあるにも関わらず、実際には日本食離れが進んでいます。そこで健康的な食事・食生活の普及策について、2024年4月にスタートした厚生労働省「健康日本21(第三次)」が掲げるライフコースアプローチの視点から考えてみたいと思います。
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講演1  「高齢期の健康課題と栄養療法の重要性」
荒木 厚 先生 東京都健康長寿医療センター糖尿病・代謝・内分泌内科 フレイル予防センター長
 
加齢とともに腎機能、心機能、呼吸機能、認知機能などが低下し、幾つかのホルモンの分泌能や感受性が低下します。高齢者は糖尿病、CKD、動脈硬化性疾患、骨関節疾患、認知症などが増加し、フレイル、認知機能障害などの老年症候群もきたしやすくなります。
こうした疾患や老年症候群に共通の対策として食事・栄養療法と運動療法があります。75歳以上の高齢者は低栄養やフレイルになりやすく、その予防のための栄養療法が重要です。一方、中年期からの糖尿病、肥満症などに対するメタボ対策は前期高齢者では合併症予防のために継続していることが多いです。したがって、高齢者でも①75歳以上、②低栄養、③フレイル・サルコペニアがある場合の栄養療法はメタボ対策からフレイル対策にシフトすることを考慮することが大切です。日本食のフレイル・サルコぺニア予防効果についても言及したいと思います。
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講演2  「フレイル・サルコペニア対策のための運動と食事」
山田 実 先生 筑波大学人間系 教授
 
世界随一の長寿国として超高齢社会を突き進む我が国において、フレイル・サルコペニア対策は認知症対策と並んで重要な課題に位置付けられています。これまでの調査で、これらに抵抗し健康長寿を実現するには、継続的な運動と適切な食事、そして社会との関りを保つことが重要であることが分かってきました。そして今、このような対策を根拠に基づき推進することが求められ、専門職に対する期待も高まっています。
社会的にフレイル・サルコペニア対策のニーズが高まる中、我々が有しておくべき情報は何か。本講演では、フレイル・サルコペニア対策に向け、運動の捉え方や運動継続のコツを紹介するほか、運動効果をアップさせるための栄養の重要性、社会と係ることの意義についても言及したいと思います。特定の専門職ではなく、フレイル・サルコペニア対策に係るすべての職種の方に共通理解してほしい内容を整理します。
 
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講演3  「人生100年時代の栄養~高齢者は何をどう食べればよいのか?」
川口 美喜子 先生 札幌保健医療大学大学院 教授 / 大妻女子大学 特任教授
 
高齢者の健康は、これまでの生活を継続し、望む暮らしを送ることです。多くの人は、何をどのように食べたら健康になれるか、体内で栄養はどんなふうに使われるのか、くわしく教わる機会がほとんどないまま、あふれる情報を信頼し食べ続けます。そして、みな平等に「老い」を迎えます。何をどう食べるかで、体は変わります。よりよく生きるために、体のために「選べる」のが栄養です。ほとんどの人は無理やり誰かに「食べさせられる」ことはありませんから、食べるという行為は本来、自発的で、自律的なもの。
自分で「選べる」ことなのです。そして、低栄養は、食べられない、食べないに始まり、「食べること」「しゃべること」を閉ざします。病気を招くだけでなく、予後の悪化にもつながります。栄養指導では、おいしく食べることよりもたんぱく質摂取が注目され、主食の炭水化物を減らし、エネルギー不足になっている方もいます。本講演では、高齢者が健康で「おいしく食べて」、長生きするための食事のとり方、さらに、炭水化物をとることの重要性等について解説します。
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クロージング / サミットまとめ  「健やかな高齢期のためにいまできること」
寺本 民生 先生 帝京大学臨床研究センター センター長 / 寺本内科・歯科クリニック 内科院長
 
我が国の平均寿命は世界でもトップレベルですが、同時に健康寿命と平均寿命の差も世界でトップレベルにあり、男性で8.80年、女性では12.09年(2019年データ)とかなり長く、我が国が抱える医療費高騰の一因とも考えられます。そこで、健康寿命≒平均寿命とすることが医療従事者の一つのミッションです。最も留意すべきは高齢者の健康問題ですが、そのカギを握るのは胎児期からの継続的健康意識であり、「健康日本21(第三次)」でも「ライフコースアプローチを踏まえた健康づくり」とする項目ではこども、高齢者及び女性における目標を設定するとあります。本講演会では、これまで小児期・若年期・壮年期の問題点を取り上げてきました。今回は高齢者の健康づくりを中心に触れていきたいと思います。
高齢化が進む中、元気な高齢者が社会でも活躍できる可能性は十分にあります。とはいえ、歳を重ねると、筋力の低下(サルコペニア)、その結果としての虚弱(フレイル)という問題があり、その予防にはやはり、常日頃の食事や運動習慣があります。高齢者に大切な食事内容と運動内容について深堀をしていきたいと思います。
 
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食育健康サミット2023 /release/202312043759 Tue, 05 Dec 2023 11:30:00 +0900 米穀安定供給確保支援機構 公益社団法人 日本医師会と公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構は、生活習慣病の予防・治療におけるごはんを主食とした日本型食生活の有用性などについて考える、「食育健康サミット」を毎年開催しております... 本年度は「“将来の自分”を意識した生活習慣の重要性~小児期・若年期からの「日本型食生活」を通した健康づくり~」をテーマにWEB配信を開始いたしました。
令和5年5月に策定された「健康日本21(第三次)」の基本的な方向のひとつとして、「ライフコースアプローチを踏まえた健康づくり」が掲げられました。幼少期からの生活習慣や健康状態は成長してからの健康状態にも大きく影響を与えること、妊婦の健康増進がこどもの健康にも影響すること、高齢期に至るまで健康を保持するためには、若年期からの取組が重要であること等を踏まえ、本年度は、「“将来の自分”を意識した生活習慣の重要性」をテーマに、小児期から若年期の健康課題とその具体的な方策について考えていきたいと思います。
本シンポジウムでは、小児期から若年期における悪しき生活習慣の将来的なリスク、食生活・運動習慣をはじめとする生活習慣改善のポイント、日本型食生活の意義と活用法等について、それぞれの疾患、生活指導、栄養、運動の専門家からのアドバイスを踏まえ、健やかな生活習慣を身につけ健康寿命を延ばすためには、どのような指導・普及支援等を行えばよいのか、医学的・栄養学的に考えます。
本サミットは医師、管理栄養士等を主な対象としていますが、どなたでも無料でご視聴頂けます。
視聴には事前登録が必要になります。詳細は、下記「参加方法」をご参照下さい。
 
WEB配信 【食育健康サミット2023】 「“将来の自分”を意識した生活習慣の重要性~小児期・若年期からの「日本型食生活」を通した健康づくり~」 開催概要
■配信期間:2023年12月1日(金)10:00 ~ 2024年2月28日(水)23:59
■主 催:公益社団法人 日本医師会 公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構
■参加費:無料
■座 長:帝京大学臨床研究センターセンター長 / 寺本内科・歯科クリニック内科院長 寺本 民生
■講 師:
国立成育医療研究センター内分泌・代謝科診療部長 堀川 玲子
和洋女子大学家政学部健康栄養学科教授 / 都立広尾病院小児科 原 光彦
順天堂大学国際教養学部グローバルヘルスサービス領域教授 /
順天堂大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学准教授  田村 好史
神奈川県立保健福祉大学名誉学長 /公益社団法人日本栄養士会代表理事会長 中村 丁次
帝京大学臨床研究センターセンター長 / 寺本内科・歯科クリニック内科院長 寺本 民生
(敬称略)
■参加方法: 米ネットからお申込み https://www.komenet.jp内のバナーからお申し込みください。
 
■講演要旨
講演1  「胎児期から始まる小児・思春期の健康課題」
国立成育医療研究センター内分泌・代謝科診療部長 堀川 玲子 先生
 成人期の生活習慣病や精神疾患など健康問題の源が胎生期の環境にある、という説をDOHaD説(Developmental Origin of Health and Disease)といいます。この説は、胎生期に母体が極度の飢餓状態にあった児が、長じて成人になったときに心血管障害や糖尿病などのメタボリックシンドローム、うつ病など精神疾患のリスクが高くなることから提唱されてきましたが、現在では成人期前の小児思春期の健康にも影響すること、やせの妊婦の増加など胎生環境の悪化、さらに受精時の両親のやせが影響する可能性、またその形質が次世代にも継承されることなどが明らかとなっています。当センターの母子コホート研究からも、妊娠時やせの母体は妊娠中の体重増加が少なく、児の出生体重が小さいこと、出生体重の小さかった児は5歳時のグリコアルブミンが正常範囲内ではありますが有意に高いことがわかり、生殖年齢の男女の食習慣の見直しが、次世代の健康につながることが示されました。また、幼児期早期の体重増加は9歳時の男児において収縮期血圧上昇と関連する可能性もあり、胎児期に引き続き幼児期早期の栄養が小児思春期の健康にかかわることも示唆されました。
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講演2  「こどもの生活習慣病と食の重要性」
和洋女子大学家政学部健康栄養学科教授 / 都立広尾病院小児科 原 光彦 先生
肥満は、小児期から様々な健康障害を起こし、成人後の生活習慣病発症の危険性を高めるため予防や早期介入・早期治療が必要です。
肥満傾向児の出現頻度は、コロナ禍以降再び増加し、肥満に伴う健康障害の重症度も上昇しています。私達は、これまでの研究から、小児でも内臓脂肪蓄積が増えれば頸動脈硬化が生じることや、頸動脈硬化の程度は、血中n-3系多価不飽和脂肪酸量と逆相関することを見出しました。さらに、小児の腹部肥満指標と関連する要因として、摂取する脂質が多いことやイソフラボンが少ないことがわかりました。そこで、小児肥満予防や治療に応用可能な標語として、「さ・わ・や・か・ダイエット」を考案しました。これは、魚を主菜とした和食を推奨するもので、さ:魚、わ:和食、や:野菜、か:海藻、だ:だし・大豆製品 を意味しており、小児肥満や小児脂質異常症の改善に効果を上げています。
現在社会は、肥満が生じやすいため、「さ・わ・や・か・ダイエット」などを通じて、こどもの頃から、健康的な食習慣を身につけることが大切です。ごはん+汁物+主菜+副菜からなる、和食中心の食生活は、小児の健やかな心身の発育に有益です。
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講演3  「若い女性のやせと健康リスク」
順天堂大学国際教養学部グローバルヘルスサービス領域教授 /
順天堂大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学准教授 田村 好史 先生
近年我が国では20歳代のやせた女性が増加しています。4~5人に1人がBMI18.5kg/m2を切っており、それを起点として低出生体重児が増加しているだけでなく、骨粗鬆症の患者が今後増えることが懸念されています。また、やせた人では糖尿病のリスクが高く、20歳代のやせた女性では13%がIGT(耐糖能異常)であること、その背景には、あまり動かなくて、少なく食べるというエネルギー低回転型の生活習慣があることが明らかとなりました。この問題の解決には、米飯などの主食も含め、しっかりと食べてしっかりと運動するというエネルギー高回転するような生活を意識するべきです。また、このような問題の根本には、偏ったボディイメージや、体型に対する包摂性の欠如があると考えられています。
現在我々は、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラムの1つである包摂的プラットフォームの構築において、「女性のボディイメージと健康改善のための研究開発」として社会技術の開発を進めており、今後の課題解決が期待されます。
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講演4  「将来の健康を見据えた栄養と食事」
神奈川県立保健福祉大学名誉学長 / 公益社団法人日本栄養士会代表理事会長 中村 丁次 先生
将来の健康を見据えた栄養・食事とは、一生にわたり健康で、長寿を保障してくれる栄養・食事のことです。以前から、日本には「腹八分、医者いらず」という言葉がありますが、控えめに食べることが一生にわたる健康、長寿を保障する根拠はありません。例えば、胎児と成長期、さらに高齢期にエネルギー制限食を実施すると、前者では発育不全、後者ではフレイルのリスクを上昇させることになり、健康を害するからです。
近年、「最初の1000日の栄養」運動が世界中で注目され、胎児栄養の重要性が叫ばれています。受精すると受精卵は細胞分裂を開始し、胎児は40数回の細胞分裂で、約3兆の細胞で新生児となります。この間の栄養は全て妊婦から供給され、その栄養状態はこどもの一生にわたる健康に関与します。全てのライフステージにおいて、日本型食事を基本にし、低栄養にも、過栄養にも陥らない食事を目指すことになります。
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クロージング  「サミットまとめ」
帝京大学臨床研究センターセンター長 / 寺本内科・歯科クリニック内科院長   寺本 民生 先生
我が国の平均寿命は世界でもトップレベルですが、同時に健康寿命と平均寿命の差も世界でトップレベルにあり、男性で8.80年、女性では12.09年(2019年データ)とかなり長く、我が国が抱える医療費高騰の一因とも考えられます。そこで、健康寿命≒平均寿命とすることが医療従事者のミッションともいえます。
最も注目すべきは高齢者の健康問題ですが、そのカギを握るのは小児期からの健康問題と考えられ、本講演会では小児期・若年期の問題点を取り上げることとしました。小児期ではその後の食習慣・運動習慣の形成される時期でもあり、学校での給食などが大きく影響力を持っています。その点では給食に「ごはん食」が週3.5回と増えたことは将来を考えると、いい方向に進むものと期待されます。一方、若年者の肥満・やせの問題も将来の健康問題に大きく影響しています。前者は、メタボリックシンドロームと深くかかわり、後者は、ロコモティブシンドロームに深くかかわるとともに、女性の妊娠中のやせは出生児に影響し、将来的なメタボリックシンドロームの温床となることが知られています。これらの問題点を明確にし、我が国の健康寿命を延伸するための小児期・若年期の食生活の在り方、特に「ごはん食」の効用について議論しました。
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食育健康サミット2022 /release/202212151272 Mon, 19 Dec 2022 10:00:00 +0900 米穀安定供給確保支援機構   公益社団法人 日本医師会 公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構   WEB配信 【食育健康サミット2022】 『生活習慣病を中心としたミドル世代の健康マネジメント~日本型食生活の意義と活用~』... 公益社団法人 日本医師会
公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構
 
WEB配信 【食育健康サミット2022】 『生活習慣病を中心としたミドル世代の健康マネジメント~日本型食生活の意義と活用~』
 
公益社団法人 日本医師会と公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構は、生活習慣病の予防・治療におけるごはんを主食とした日本型食生活の有用性などについて考える、「食育健康サミット」を毎年開催しております。
本年度の「食育健康サミット」は、「生活習慣病を中心としたミドル世代の健康マネジメント~日本型食生活の意義と活用~」をテーマにWEB配信を開始いたしました。
ポストコロナ時代における「新しい生活様式」の下では、生活習慣病やメタボリックシンドローム(メタボ)の予防等への対応にも新たな視点が必要になってくると思われます。このことを踏まえ、本サミットでは、健康寿命の延伸、生活習慣病をはじめとする動脈硬化性疾患の予防等のため、日本人のライフステージに沿った健康課題を取り上げつつ、日本型食生活の果たす役割について改めて考えていきたいと思います。
今回は、とくに生活習慣病やメタボの予防等に関係が深い“働き盛りのミドル世代”に焦点を当て、コロナ禍でも問題となった生活習慣病増加の背景、将来的なリスク、食生活・運動習慣をはじめとする生活習慣改善のポイント、日本型食生活の意義と活用法などについて、疾患、生活指導、栄養・運動の専門家からアドバイスいただきながら、健やかな健康習慣を身につけ、健康寿命を延ばすためには、どのような普及・支援等を行えばよいのか等について、医学的・栄養学的に考えます。
本サミットは医師、管理栄養士等を主な対象としていますが、どなたでも無料でご視聴頂けます。
視聴には事前登録が必要になります。詳細は、下記「参加方法」をご参照下さい。
WEB配信 【食育健康サミット2022】 「生活習慣病を中心としたミドル世代の健康マネジメント~日本型食生活の意義と活用~」 開催概要
■配信期間:2022年12月19日(月)~ 2023年2月28日(火)
■主 催:公益社団法人 日本医師会 公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構
■参加費:無料
■座 長:帝京大学臨床研究センター センター長 / 寺本内科・歯科クリニック 内科院長 寺本 民生
■講 師:
東京慈恵会医科大学附属柏病院 病院長/東京慈恵会医科大学臨床検査医学講座 教授 吉田 博
医療法人財団順和会赤坂山王メディカルセンター内科/国際医療福祉大学臨床医学研究センター 講師 増子 佳世
国立健康・栄養研究所栄養・代謝研究部時間栄養研究室 室長 山﨑 聖美
帝京大学臨床研究センター センター長 / 寺本内科・歯科クリニック 内科院長 寺本 民生
(敬称略)
■参加方法: 米ネットからお申込み https://www.komenet.jp内の下記バナーからお申し込みください。
    
●本件に関するお問い合わせ先:食育健康サミット2022事務局 shokuiku2022@big-wave.tokyo  
 
 
 
 
■講演要旨
講演1
「働く世代の生活習慣病対策と食の重要性」
東京慈恵会医科大学附属柏病院 病院長 / 東京慈恵会医科大学臨床検査医学講座 教授 吉田 博 先生
 令和4(2022)年版の高齢社会白書によると、日本は高齢化率28.9%であり超高齢社会にあります。健康寿命と平均寿命の差はレッドゾーンを短くすることが大切で、それこそが「健康寿命の延伸」です。こうした社会のなかで、働き盛りのミドル世代(30歳代半ば~60歳代前半)の健康管理が重要であることは言うまでもありません。生活習慣病の実態、とくにコロナ禍でも問題となった肥満やメタボリックシンドローム(メタボ)などは動脈硬化性疾患のリスクを高めます。メタボや動脈硬化の予防や治療における「食」の重要性について掘り下げ、医学的・栄養学的な見地から、とくに脂質異常症の管理に注目して理想的な食事について講演します。あわせて軽い症状のうちに異常に気づいて病気を予防する「未病」という考え方も紹介しながら、動脈硬化予防のための食事療法さらには健康食として期待される日本型食生活などについても取り上げます。
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講演2
「メタボ・ロコモ予防のための食事・運動指導の実際」
医療法人財団順和会 赤坂山王メディカルセンター内科 / 国際医療福祉大学臨床医学研究センター 講師
増子 佳世 先生
肥満や内臓脂肪蓄積と関連するメタボリックシンドローム(メタボ)と、骨や関節、筋肉など“運動器”の問題であるロコモティブシンドローム(ロコモ)とは、インスリン抵抗性などの機序を介して密接に関係していることが、近年明らかになっています。したがって、将来のフレイル予防の観点からも、メタボとロコモの相互関係を視野に入れ、幅広い世代を対象として、両者を予防するための啓発を行っていくことが求められて
います。我々はこれまでに「メタボ・ロコモ予防講座」と題し、医師、管理栄養士、また運動のエキスパートが協同し、高校生から高齢者まで各年代の課題に合わせてメタボ・ロコモを理解し、生活習慣を見直していただくための講座を開講してきました。メタボ・ロコモ予防の対策は、ともに毎日の食生活と身体活動(運動)が大きな役割を占めます。これらの習慣を見直し実践していくためには、個人個人に合った目標を立て、フィードバックしながらサポートすることが効果的と考えられます。医療・栄養に関わる専門職は、地域の公的機関や運動施設、教育機関などと連携し、「メタボとロコモ」の予防に向けた活動を行っていくことが望まれます。
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講演3
「時間栄養学で考える健康によい食べ方」
国立健康・栄養研究所栄養・代謝研究部時間栄養研究室 室長  山﨑 聖美 先生
私たちの体内には末梢時計があり、食事によって影響を受けます。シフトワークや生活リズムの乱れは末梢時計のリズムの乱れにつながり、肥満、糖尿病など様々な疾病を引き起こすことが疫学研究から明らかにされています。時間栄養学とは、いつ、何を、どのくらい食べたら健康によいかを調べる研究分野です。摂取エネルギーが消費エネルギーより多い場合は体重が増加しますが、同じカロリーを摂取する場合、活動期のうち早い時間帯に多く摂取した方が肥満発症を予防できます。また、朝食抜き、夜遅い時間の食事や夜の過食はBMI増加につながります。ある一定の時間に3食摂取する食事時間制限についても研究が行われていますが、ヒトの健康への評価を行うにはより厳密な研究が必要とされています。1日3食の食事の配分としては、朝食(あるいは朝食と昼食)にたんぱく質の多い食事を摂ると除脂肪組織重量が増加し、サルコペニア予防が期待できます。また、朝食(あるいは朝食と昼食)に炭水化物を摂取すると糖代謝が改善され、メタボリックシンドローム発症を予防できることが報告されています。したがって、このような時間栄養学の観点を日々の食生活に取り入れることによって、疾病発症を予防し健康を維持することも大切です。
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クロージング
「サミットまとめ」
帝京大学臨床研究センター センター長 / 寺本内科・歯科クリニック 内科院長 寺本 民生 先生
 わが国の疾病構造では、健康長寿社会を構築するうえで、メタボリックシンドローム(メタボ)に関連する脳血管障害や認知症予防と、ロコモティブシンドローム(ロコモ)に関連する骨折・転倒を予防することが極めて重要です。メタボやロコモ対策は「食と運動」という基本的な生活を見直す必要があります。本サミットでは、健康寿命の延伸を目的として、日本人のライフステージ(ミドル世代、子ども・若年世代、シニア・高齢世代)に沿った健康課題を取り上げつつ、日本型食生活の果たす役割について改めて考えていきます。
本年度は、とくに肥満・メタボ等の生活習慣病予防に関係が深い“働き盛りのミドル世代(30歳代半ば~60歳代前半)”に焦点を当て、メタボやロコモ等の生活習慣病予防を見据えた食生活・運動習慣をはじめとする生活習慣改善のポイント、日本型食生活の意義と活用法などについて、疾患、生活指導、栄養・運動の専門家からアドバイスいただきながら、正しい生活習慣を身につけ、健康寿命を延ばすために、どのような普及・支援等を行えばよいのか、医学的・栄養学的に考えることとします。
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食育健康サミット2021 『ポストコロナ時代に向けた新しい生活様式の提言~日本型食生活と運動を中心に~』 /release/202201216421 Fri, 21 Jan 2022 17:30:00 +0900 米穀安定供給確保支援機構   公益社団法人 日本医師会 公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構   食育健康サミット2021 『ポストコロナ時代に向けた新しい生活様式の提言~日本型食生活と運動を中心に~』   公益社団法人 ... 公益社団法人 日本医師会
公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構
 
食育健康サミット2021 『ポストコロナ時代に向けた新しい生活様式の提言~日本型食生活と運動を中心に~』
 
公益社団法人 日本医師会と公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構は「ポストコロナ時代に向けた新しい生活様式の提言~日本型食生活と運動を中心に~」について考える「食育健康サミット2021」のWEB配信を開始しました。
新型コロナウイルス感染症との戦いが始まってほぼ2年が経過。リモートワーク、テイクアウトといった「新しい生活様式」も定着しつつある一方、食生活の変化や、外出自粛、在宅勤務の増加に伴う運動不足による「コロナ太り」といった新たな問題が指摘されています。
本年度は、「新しい生活様式」が、生活習慣病やフレイルにどのような影響をおよぼしているのか、最新の実態調査をもとに検証するとともに、ポストコロナ時代を見据えて、いまから指導しておくべき生活の注意点、改善ポイントなどについて、食事、運動の両方の視点から考察していくなかで、ごはんを主食とした日本型食生活の意義、役割について考えます。
本サミットは医師、管理栄養士等を主な対象としていますが、どなたでも無料でご視聴頂けます。
視聴には事前登録が必要になります。詳細は、「米ネット」の特設サイトをご参照下さい。
 
WEB配信 【食育健康サミット2021】 「ポストコロナ時代に向けた新しい生活様式の提言~日本型食生活と運動を中心に~」 開催概要
■配信期間:2022年1月20日(木)~ 4月30日(土)
■主 催:公益社団法人 日本医師会 公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構
■参加費:無料
■座 長:帝京大学臨床研究センター センター長 / 寺本内科・歯科クリニック 内科院長 寺本 民生
■講 師:
帝京大学臨床研究センター 准教授 / 糖尿病内科兼担 宇野 希世子
国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所身体活動研究部 特別研究員 山田 陽介
国立長寿医療研究センター老化疫学研究部 部長 大塚  礼
帝京大学臨床研究センター センター長 / 寺本内科・歯科クリニック 内科院長 寺本 民生
(敬称略)
■参加方法: 米ネットからお申込み https://www.komenet.jp
    
●本件に関するお問い合わせ先:食育健康サミット2021事務局 shokuiku@intage.com
 
■講演要旨
講演1
「コロナ禍における生活習慣病の実態~独自研究を踏まえて~」
帝京大学臨床研究センター 准教授 / 糖尿病内科兼担 宇野 希世子 先生
自粛生活による食習慣や運動量の変化、遠隔診療や診療間隔延長等の受診体制の変化、重症化リスクとしての心理的ストレス等、多くの患者は、新型コロナウイルス感染症により様々な問題に直面しました。新型コロナウイルス感染のリスクが持続し、ソーシャルディスタンスやステイホームをある程度継続していくなか、「新しい生活様式」における影響、どのような生活変化がみられ、どのように治療に影響したか、を明らかにし、今後の注意点・改善点について検討していく必要があります。
約350名の糖尿病患者を対象に行った、新型コロナウイルス感染症流行前からの食事量、食事のバランス(炭水化物・脂質・塩分・蛋白質・間食)、運動量、さらにはストレス度合の変化に対するアンケート調査をもとに、自粛生活により食生活がどのように変化したか、どのような患者でより変化がみられたか、どのような食事のとり方が望ましいと考えられるか、等を検討した結果を踏まえ、バランスよく食べることの重要性や日本型食生活についても言及します。
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講演2
「中高年のメタボリックシンドローム、フレイル対策と運動の重要性」
国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所身体活動研究部 特別研究員 山田 陽介 先生
コロナ禍では、テレワーク・活動自粛などが強く推奨された大都市圏を中心に、歩数や身体活動量が有意に減少しました。条件にもよりますが、リモートワークになると身体活動量が最大で500 kcal/日程度低下する可能性があり、いわゆるコロナ太りの要因になります。コロナ禍による身体活動の低下は、中年期のメタボリックシンドロームと高齢期のフレイルの両方のリスクを高める可能性があり、新しい生活様式下では、感染症予防と同時に、適切な運動と栄養の必要性がより高まっています。加齢に伴って筋量および筋質が低下します。低筋量はフレイルの要因である一方で、体重あたりの筋量が低い人ではメタボリックシンドローム発症のリスクも高くなります。
我々は、京都府亀岡市で1,000人規模の大規模介入試験を行い、運動、口腔ケアと栄養指導の組み合わせが、筋量や体力を増加させ、その後の要介護認定の発生や介護給付費の増大を抑制するかを検証しました。栄養指導では、低栄養になることを予防するために、主食・主菜・副菜(および果物と乳製品)の組み合わせを指導し、食事バランスガイド遵守率を高めることを意識しました。追跡調査により、上記の総合的介護予防プログラムがその後の要介護認定の発生や介護給付費の増大を抑制する可能性が示されました。
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講演3
「免疫力を高める食事とこれからの栄養・食生活」
国立長寿医療研究センター老化疫学研究部 部長  大塚  礼 先生
 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、免疫機能を高める食事への関心が高まっています。本講演では国立長寿医療研究センターで実施している地域住民を対象とした老化・老年病予防に関する栄養疫学研究を題材にして、健康寿命延伸のためにどのような食生活を営むことが好ましいと考えられるか、最新の研究成果を踏まえ紹介しながら、免疫機能向上につながる食生活上のポイントについてもお伝えします。
コロナ禍では不要不急の外出・移動の制限や、イベント開催規制などが求められ、私たちのこれまでの生活スタイルは大きく揺らぎ、変化を強いられました。講演では、国の調査結果等を参照し、コロナ禍でどのような人にどのような食生活上の変化が起こったのかを推測することにより、私たちが健康長寿社会を構築するために、新しい生活様式の中で日々心がけたい食生活について考えます。さらに、日本型食生活を例に、食の多様性、バランスのよい食事の重要性について解説します。
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クロージング
「サミットまとめ」
帝京大学臨床研究センター センター長 / 寺本内科・歯科クリニック 内科院長 寺本 民生 先生
新型コロナウイルス感染症は、まさに全世界にわたり猛威を振いました。人類は常に新たな感染症に立ち向かっていくことが求められていますが、“免疫”という武器を持たない新たな感染症と対峙することは、場合によっては人類の滅亡を意味します。幸い、感染症に対しては“隔離”という手段が有効であるということを、私たちは歴史の中で学んできました。したがって、世界のここかしこで“ロックダウン”という荒手の手段が講じられました。我が国では、ロックダウンこそなかったものの、生活は極端に制限され、それは心理面のみならず、食事や活動性にも大きく影響を与えてきました。
100年前に大流行したスペイン風邪の教訓もあって、我が国ではコロナ前でもマスクをする人が多くいました。今回も、このような生活様式は必ずしも元通りにはならないものと思われますが、そこに起こる健康障害をしっかり認識し、対応していくことこそが、真の「新しい生活様式」であるべきであると思います。
本講演会では、生活様式が元通りになることを願う一方で、現実に目を向け、生活習慣病・フレイルが互いに悪影響をおよぼし合うことや、生活因子が大きく関係するといった必然的に起こる問題点にメスを入れて、日本型食生活と運動等の重要性を総括し、新たな健康習慣の獲得を志向する提言を行っていきたいと思います。
 
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食育健康サミット2020 『新しい感染症に負けないための日本型食生活の活用』 /release/202012138517 Tue, 15 Dec 2020 13:00:00 +0900 米穀安定供給確保支援機構 公益社団法人 日本医師会 公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構   食育健康サミット2020 『新しい感染症に負けないための日本型食生活の活用』    公益社団法人 日本医師会と公益社団法人 米穀... 公益社団法人 日本医師会
公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構
 
食育健康サミット2020 『新しい感染症に負けないための日本型食生活の活用』
 
 公益社団法人 日本医師会公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構は、「新しい感染症に負けないための日本型食生活の活用」について考える「食育健康サミット2020」の動画配信を開始しました。
本年度はCOVID-19の感染拡大を考慮し、初めてオンラインでの開催とし、時間や場所に縛られずに視聴頂けるオンデマンド方式を採用しました。
 
感染症にかからないためには、免疫力を上げて感染症を遠ざけることが大切であり、様々な栄養をバランスよく摂取するためには、ごはんを中心に、多様な副食等を組み合わせた日本型食生活が有用であると考えられています。
 
食育健康サミット2020は、感染症をテーマに、米を主食とした日本型食生活を通じて「感染症に負けない体づくり」について、免疫学、栄養学、時間栄養学のエキスパートがエビデンスに基づき解説します。
 本サミットは医師、管理栄養士等を主な対象としていますが、どなたでも無料でご視聴頂けます。
視聴には事前登録が必要になります。詳細は、「米ネット」の特設サイトをご参照下さい。
 
【食育健康サミット2020 「新しい感染症に負けないための日本型食生活の活用】 開催概要

座   長: 神奈川県立保健福祉大 学長 中村丁次 先生
講   師: 順天堂大学大学院医学研究科免疫学講座  教授 三宅幸子 先生
                徳島大学大学院医歯薬学研究部実践栄養学分野  教授 酒井徹 先生
                女子栄養大学栄養学部  教授 石田裕美 先生
                早稲田大学先進理工学部  教授 柴田重信 先生
配 信 期 間: 2020年12月10日(木)09:00 ~ 2021年2月28日(日)17:00
参 加 方 法: 米ネットからお申込み https://www.komenet.jp ※参加費無料

  
 
本件に関するお問い合わせ先:
食育健康サミット2020事務局 shokuiku@kk-kyowa.co.jp
講演1
「免疫のしくみ」
順天堂大学大学院医学研究科免疫学講座 教授 三宅 幸子 先生
疫病を免れるという意味を持つ「免疫」は、細菌やウイルスなどの外敵から身を守る生体防御システムです。免疫は、自然免疫と獲得免疫に大別され、その相互作用によって機能しています。これらの全体像と個々の詳細を解説するとともに、近年の研究活動による新たな知見も紹介します。最近注目される腸管免疫にも触れ、免疫力を高める生活習慣として、腸管の環境を整えるバランスのよい食事、良質な睡眠や適度な運動などの重要性についても解説しています。
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講演2
「免疫力を高める栄養」
徳島大学大学院医歯薬学研究部実践栄養学分野 教授 酒井 徹 先生
ウイルス感染症の発症に、肥満・やせは影響するのか。感染予防に有効な栄養素はあるのか。ワクチン接種の効果と栄養状態の関係はどうなのだろうか。講演では、ビタミンとウイルス感染症との関連を解析したメタアナリシス研究を紹介するとともに、栄養過多・栄養不良とCOVID-19 感染症との関連研究を解説します。また、様々な栄養をバランスよく摂取するために、ごはんを主食とした日本型食生活が活用できることにも触れています。
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講演3
「感染症予防と食事」
女子栄養大学栄養学部 教授 石田 裕美 先生
 感染症予防は、感染症に対して免疫力を高めておくこと、すなわち栄養状態を良好に維持しておくことが重要です。そのためには、栄養バランスが取れた食生活を無理なく続け、日本食文化の良さを引き継ぎ、おいしさや楽しみを伴う健康な食事を続けることが大切で、ごはんを中心にした献立づくりで賢く簡単にバランスのよい食事に組み立てることができる方法や、感染症予防の観点からも、ごはんを主食とした日本の伝統的な食事の良さを守ることと、実践することの大切さをお話されています。
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講演4
「感染症と体内時計」
早稲田大学先進理工学部教授 柴田 重信 先生
体内時計は比較的新しい概念で、健康科学に深く関わっています。不規則な食生活は体内時計に影響し、免疫系を低下させることが知られています。食生活リズムを整えることは感染症予防に欠かせないことや、体内時計を整えるための朝食の重要性、和食中心の朝食が学業や精神面に与える影響など、最新の研究結果を紹介します。
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サミットのまとめ
神奈川県立保健福祉大学 学長 中村 丁次 先生
環境負荷を抑制しながら、新しい感染症を予防する、持続可能で健康な栄養・食事はどうあるべきか。自然を尊重し、四季折々の変化を楽しむ伝統的文化を大切にしながらも、医学・栄養学・農学等の科学的根拠に基づき、誰もが快適で持続可能性があるごはんを中心とした日本型の食事が有用で、こうした食事を世界のモデルとして発信すべきではないかとサミットを締めくくられました。
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米を主食とした日本型食生活の有用性を示唆『食育健康サミット2019』 /release/201912134784 Fri, 13 Dec 2019 21:00:00 +0900 米穀安定供給確保支援機構 公益社団法人 日本医師会と公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構は、2019 年11 月28 日(木)、日本医師会館大講堂(東京・駒込)において、ごはんを主食とした日本型食生活の有用性等について考える... 公益社団法人米穀安定供給確保支援機構/公益社団法人 日本医師会
米を主食とした日本型食生活の有用性を示唆『食育健康サミット2019』
公益社団法人 日本医師会公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構は、2019 年11 月28 日(木)、日本医師会館大講堂(東京・駒込)において、ごはんを主食とした日本型食生活の有用性等について考える「食育健康サミット2019」を開催、約550 人の医師、管理栄養士・栄養士等が参加しました。
 本年度の食育健康サミットでは、フレイル予防を視野に入れて、個人の状態に合った適正な食事量・栄養バランスと身体活動に焦点をあて、その中で、ごはんを主食とした日本型食生活の役割を検討、米を中心とした日本型食生活の有用性が示唆されました。

各講演の主なポイント ●フレイル対策の三本柱--栄養、身体活動、社会参加を三位一体として実行
東京大学高齢社会総合研究機構教授   飯島 勝矢 先生
フレイル対策には栄養、身体活動、社会参加を三位一体として実行する必要があり、そのための社会体制が大切である。栄養においては、多様な食材摂取が可能な日本型食生活は有用である。

●高齢者はメタボ対策からフレイル対策へ
千葉大学大学院医学研究院内分泌代謝・血液・老年内科学教授 横手 幸太郎 先生
要介護状態にならないためには動脈硬化などを防ぐメタボ対策が必要だが、高齢者ではむしろフレイル対策として筋肉量の維持強化が重要であり、それにはごはんを中心としたバランスのよい食事を十分にとるべきである。

●適度な炭水化物摂取と継続できる食生活が鍵
慶應義塾大学スポーツ医学研究センター教授・所長            勝川 史憲 先生
摂取エネルギーに占める炭水化物の割合が50~55%のパターンで、死亡リスクがもっとも低い。糖質代謝、脂質代謝、体重に影響を与える継続性の意味でも、ごはんを主食とした日本型食生活は有効な選択である。

【食育健康サミット2019 開催概要】
■日 時: 2019年11月28日(木) 13:30~17:00 
■会 場: 日本医師会館 大講堂 
■テーマ: 人生100年時代の健康と栄養を考える-フレイル予防対策における日本型食生活の役割
■主 催: 公益社団法人日本医師会  公益社団法人米穀安定供給確保支援機構


基調講演 健康長寿 鍵は“食” ― 人生100年時代を元気で乗り切るためのフレイル予防―
東京大学高齢社会総合研究機構 教授   飯島 勝矢 先生
健康と要介護の中間にあり、可逆的な状態である「フレイル(虚弱)」は、身体的側面だけでなく、精神心理的フレイル、社会的フレイルなど多面的である。それらは負の連鎖となって進行するため複合的対策が必要であり、栄養、身体活動、社会参加を人々が同時に実行できる体制が求められる。
まず、サルコペニア(筋肉減弱)はフレイルに大きく影響するため、個人に応じたタイミングでメタボ対策からフレイル対策へのギアチェンジをすべきである。フレイル対策には多様な食品の摂取が大事で、ごはんを主食として主菜や副菜を一緒にとれる日本型食生活はそれを実現しやすい。身体活動はフレイルリスクを軽減するが、さらに運動を誰とするかもポイントとなる。運動習慣よりも囲碁や将棋などの文化活動、ボランティアなどの地域活動のほうがフレイルリスク軽減に有効という報告もあり、社会とのかかわりがフレイル対策として非常に重要だと考えられる。食事においても同様で、ひとりで食べると栄養バランスが偏りやすく、同居家族がいてもひとりの食事だと健康リスクが高いことがわかっており、食事を誰ととるかという視点も重要である。

講演1 日本国民の元気は食事から ― 食事量と栄養バランスを整える―
千葉大学大学院医学研究院/内分泌代謝・血液・老年内科学 教授 横手 幸太郎 先生
 人生100年時代といわれるようになったものの要介護者が多く、真の健康長寿社会実現のためには、若い頃からのメタボ対策と、高齢期のフレイル対策をバランスよく維持することが大事だと考える。
動物性脂質の摂取が高度成長期に急増したことで免疫力が向上して身体が強くなった一方で、内臓脂肪が増加し、それが糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病をもたらすようになった。さらには動脈硬化などの病気にもつながり、生命を脅かすとともに障害が残って要介護状態になってしまうことも多く、生活習慣の改善と治療が求められる。
ただし、高齢になると、メタボ予防としての体重減少よりもフレイル予防としての筋肉量の維持・強化が重要となる。そのためにはバランスのよい食事を十分にとることが必要であり、炭水化物が多すぎても少なすぎてもよくないため、ごはんを中心におかずをバランスよくとる食事が大事である。

講演2 現状のエビデンスから見る糖質摂取のあり方 ― 健康長寿を目指して―
慶應義塾大学スポーツ医学研究センター 教授・所長  勝川 史憲 先生
低脂肪食と糖質制限食を比較すると、糖質代謝、脂質代謝、体重変化の側面では、食事そのものよりもその継続性が重要である。ただし、糖質制限食では、腎機能の影響をフォローアップする必要があり、また、糖質の代わりに動物性食品をとりすぎないことが重要である。死亡リスクの面では、摂取エネルギーに占める炭水化物の割合が50~55%がもっとも低いことがわかっている。以上を考慮すると、継続性も高いごはんを主食とした現在の日本型食生活は非常に有効な選択であると考える。
また、運動後はその強度にかかわらず糖質消費が増加することがわかっている。座位行動を減らしてサークル活動など歩行以外の低強度活動が増加すると、糖質消費量が増す分多く食べ、エネルギーやたんぱく質、ビタミンDなどフレイルに関する栄養素を十分量とりやすくなり、フレイル予防に貢献する可能性がある。

パネルディスカッション 座長の中村丁次先生の進行で、「人生100年時代の健康と栄養を考える-フレイル予防対策における日本型食生活の役割-」をテーマに、特に参加者からの質問が多かった「フレイル予防対策のためのライフスタイル」「フレイル対策の開始時期」「フレイル予防対策における栄養や食事摂取のあり方」「食欲が落ちてきた高齢者への対応」「ごはんを中心とした日本型食生活のメリット」について、パネリスト3人の先生にそれぞれの知見に基づいたコメントをいただきました。

<フレイル予防対策のためのライフスタイル>
■飯島先生は、高齢者の食事量・内容には、社会的・心理的要素が深くかかわることを解説するとともに、メタボ対策からフレイル対策へどう徐々に移行すべきかを年齢に応じて伝えていくことも重要であると訴えました。
■横手先生は、生活習慣病予防にも筋肉維持にも、食事と運動の両輪での対策が大事だと述べました。
■勝川先生は、同じ筋肉量でも高齢者はその周辺細胞の違いにより筋力を発揮する力やエネルギー消費などが少なくなるため、筋肉トレーニングがまず重要だと話しました。さらに、座位行動が減ることが非常に大切であることをあらためて訴えました。
■飯島先生は、男性の社会参加を促すために、ただ楽しいだけではなく、活動の重要性を伝えてノルマを課すといった工夫を紹介しました。

<フレイル対策の開始時期>
■飯島先生は、フレイルは高齢期の人々のデータを中心に構築された概念であり、適切な開始時期は一概には言えないとした上で、フレイルという概念を人々に理解してもらうためには若い人たちにも伝えるべきだと説明しました。また、きちんとした運動よりも歩行以外の身体活動を生活の中で行うほうがフレイルリスクが低いことは、高齢期だけでなく若い世代にも伝えていきたいと話しました。
■横手先生は、脂質やカロリーの摂りすぎ、肥満、内臓脂肪といった生活習慣は老化に大きく影響するため、生活習慣病対策が老年期を健康に過ごすことにつながるのではないかと述べました。
■勝川先生は、高齢になってから高い強度の運動を急に始めるのはリスクが高いので、高強度の運動を無理なく行える若い年齢層から始め、継続することが非常に大切だと訴えました。さらにそれは幅広い世代がともに運動するネットワークづくりにもなり、その意味でも若い時期から運動を始めることは大切であると述べました。
■飯島先生は、メタボ対策からフレイル対策へのギアチェンジのタイミングは個人差があり総合的な判断が必要であるため、医療関係者が個人に応じて読み解いていくべきだと述べました。
■横手先生は、肥満の人は筋肉量が少ないこともよくあり、メタボとフレイルはオーバーラップしているので、若い頃からメタボに注意して、しっかり運動をして筋肉を整えることが大事だと話しました。
■勝川先生は、同じ運動刺激、たんぱく質摂取量でも年齢を重ねると筋肉の合成が進みにくくなり、筋肉量は減少しやすくなることを説明し、高齢者はより筋力トレーニングやたんぱく質摂取の重要性が増すと述べました。

<フレイル予防対策における栄養や食事摂取のあり方>
■勝川先生は、糖質制限食について、中長期的な質のよいデータが必ずしも糖質制限を支持しているわけではないことを紹介した上で、事情により糖質制限食をする場合には、腎機能のフォローアップが必要であり、動物性食品をとりすぎないことがポイントだと述べました。
■横手先生は、フレイル予防には糖質とたんぱく質の両方を十分とることが必要であるとするとともに、日光に当たったり、食事をとおしてビタミンDをとり、筋肉や骨を維持することが大事だと説明しました。
■座長の中村先生は、糖質制限食は糖尿病患者にとってはひとつの対処法となるが、健康な人が糖質制限をすることは別の話であることを理解すべきだと話しました。

<食欲が落ちてきた高齢者への対応>
■飯島先生は、食欲低下の裏側に病気が隠れていないかをまずきちんと確認すべきだと訴えました。さらに、食欲低下には社会的要素も強いため、家庭や食環境、ライフイベントについても医療関係者がうまく聞き出すことが大事だと述べました。
■横手先生は、食欲低下自体は治療が難しく、食欲低下の原因を突き止めることが必要だと述べました。
■勝川先生は、除脂肪体重とエネルギー摂取量は正相関していることを紹介し、フレイルやサルコペニア自体が食欲低下の原因になっている可能性もあると述べました。
■座長の中村先生は、おいしく食べる環境を家庭の中につくっていくことの大切さを訴えました。

<ごはんを中心とした日本型食生活のメリット>
■飯島先生は、日本食は少量でバラエティに富んだものが食べられ、食品多様性を実現するためによい食事パターンだと話しました。さらに、高齢者にあわせてより手軽に食べられる工夫を産業界と協力して生み出していきたいと述べました。
■横手先生は、ごはんには、炭水化物だけでなくたんぱく質まで含まれているほか、和食だけでなく、どんなおかずとも合わせられ、多様な食材であると話しました。
■勝川先生は、口の中で調味して食べる「口中調味」の重要性を指摘するとともに、フレイル予防の側面からも、ごはんだけで完結せずにおかずを組み合わせやすい日本型食生活は、たんぱく質を十分量とりやすく、有用であるとしました。
■座長の中村先生は、ごはんは味の四原味のどれにもあたらないからこそ、多種多様な食品を含むおかずを受け入れることができたのではないかと述べました。さらに、種には次の世代を担うためにほとんどの栄養素が含まれていることに言及し、ごはんには単なる糖質食品ではなく、たんぱく質やビタミン、ミネラルを豊富に含む種実類としての役割もあることを認識すべきだと話しました。

総括
神奈川県立保健福祉大学 学長 中村 丁次 先生
 最後に、座長の中村先生は、戦後の低栄養対策としての食事の欧米化、それがいきすぎたことによる生活習慣病の対策として伝統的な日本型食生活が見直されてきている流れを踏まえ、これからの超高齢社会における健康寿命の延伸のためには、個人にとってもSDGsの観点でも「持続可能な健康的な食事、ごはんを中心とした食事のあり方」を普及していくべきであると、このサミットをまとめられました。
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~1月17日はおむすびの日~被災者の心と健康を支えた、手軽に栄養が摂れる「朝ごはん」とは? /release/201901172323 Thu, 17 Jan 2019 17:11:06 +0900 米穀安定供給確保支援機構  公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構(本拠地:東京都中央区、理事長:福田 晋、以下米穀機構 )は、1月17日(木)「おむすびの日」 プレス発表会を、時事通信ホールにて開催いたしました。 「おむすび... 公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構
~1月17日はおむすびの日~
被災者の心と健康を支えた、
手軽に栄養が摂れる「朝ごはん」とは?
壇蜜さんが「STICK STOCK」作りにチャレンジ!
 公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構(本拠地:東京都中央区、理事長:福田 晋、以下米穀機構 )は、1月17日(木)「おむすびの日」 プレス発表会を、時事通信ホールにて開催いたしました。

「おむすびの日」とは、「ごはんを食べよう国民運動推進協議会」(※2018年に米穀機構へ理念引き継ぎ)が2000年に制定した記念日です。1995年に発生した阪神・淡路大震災で、ボランティアによるおむすびの炊き出しが人々を大いに助けたことから、いつまでもこの善意を忘れないようにと、大震災の起きた1月17日に定められました。

 米穀機構は、2019年より「朝、ごはんをきちんと食べようキャンペーン」事業として、朝ごはんの欠食率の高い若い世代を中心に、朝ごはんの喫食向上を図るとともに、ごはんの適量摂取の必要性について正しい理解の促進、ごはんを中心とした日本型食生活の実践と普及を図るための活動をしてまいりました。

 本キャンペーン事業の一環として「おむすびの日」 プレス発表会を実施し、料理好きである壇蜜さんをゲストにお迎えして、ごはんを食べることの大切さや朝ごはんの重要性についてのトークセッション、ごはんを手軽に美味しく食べられるおむすびの新しいスタイルSTICK STOCK(スティックストック)の調理などを行いました。
フォトセッション
■主催者挨拶
 主催者を代表して、米穀機構 副理事長 木村良が登壇し「近年、ごはんのもつ意義、健康な食生活への理解は薄らいできており、朝食を食べない人が増えています。朝、ごはんを食べることの意味、災害時には、思うように食べたくても食べられないごはんの重要性をこの震災の日に改めて考え直してはと思い、本日の会を開催することにいたしました。この機会に、食料や危機管理の大切さを考え直していただくとともに、ごはんを食べることの重要性、おむすびのおいしさ、手軽さ、魅力をご紹介いただき、ごはんへの理解が一層深まるよう願っております。」と挨拶。

■「おむすび」の魅力とは?
 まずは、ゲストの壇蜜さんをお迎えして、阪神・淡路大震災発生当時を振り返りつつ、被災地で人々の心と健康を支えた「おむすび」にまつわる思い出を伺いました。「小さいとき、祖母がお弁当をつくってくれることが多かったです。遠足のとき、海苔を巻かない白いごはんのおむすびの真ん中に、花形にくりぬいたにんじんが真ん中に埋まっていて、それを見たときは飾りなのかどうか悩んで、そっと残した思い出があります。」とコメント。「手軽とか作りやすいとかいろいろ魅力があると思いますが、私たちの遺伝子に組み込まれているんだと感じています。小さいときにイラストなどでみた“白い大きなおむすび”が『何これ美味しそう!』と私たちの中でプラスの記憶として受け継がれてるのではないかと思っています。」と、語りました。

■「お米」に隠された魅力とは?朝ごはんの重要性を学ぶ
 その後、管理栄養士の柏原ゆきよ先生にもご登壇いただき、朝ごはんの影響や重要性についてのトークセッションを行いました。柏原先生は「朝ごはんは、眠っている間に下がった体温を上げ、自律神経や臓器の活動のスイッチを入れる役割として重要です。朝ごはんに何を食べるかで、体の反応は違い、糖質は私たちの体の中の一番のエネルギー源になるもので、特に脳機能においては大きな影響があります。朝ごはんをちゃんと食べることで集中力も違ってきます。」と朝ごはんの重要性を語りました。
 壇蜜さんは普段の朝食をきかれて「ほとんど、ごはんとみそ汁のセットが多いです。」とコメント、柏原先生はそれに対し「お米はゆっくり消化されるため、腹持ちが良く、みそ汁も、ごはんの力をさらに引き出してくれる理想的な組み合わせです。お米に足りない栄養素を補ったり、体温アップ効果が抜群。みそ汁は、お米の持つ整腸作用などをさらに高めてくれます。」とコメントしました。
 また最近話題の糖質制限について「糖質は生きていくうえで基本の栄養素です。抜いてしまうと体の機能全体が下がってしまうので、結果的には疲れやすくなり、かえって太りやすくなるなどデメリットがたくさんあります。日常にしっかりごはんを食べるということは重要なことだと思います。」とアドバイスを送りました。

■おむすびの新しいスタイルSTICK STOCK(スティックストック)とは?
 朝ごはんの重要性がわかっても、なかなか時間のない朝にしっかりと作るのは大変。そんな方でも手軽に美味しく食べられるSTICK STOCK(スティックストック)という新しいおむすびのスタイルを紹介しました。
 STICK STOCK(スティックストック)とは、手軽に栄養がとれるおむすびです。好きな具材をごはんで巻き、冷凍庫にストックできる上、食べるときは電子レンジで解凍し、海苔を巻いたらできあがり!と、とても簡単。
実際に壇蜜さんにステージ上で椎茸昆布とツナマヨ高菜を使って調理していただき、STICK STOCK(スティックストック)の手軽さを体験していただきました。体験後「小さい子でも出来そうですね。作りやすいのと、このまま冷凍庫に入れておけばいいので、かなりの時短になりそうですね。」とコメント。柏原先生は「ごはんだけだとたんぱく質が少し不足するため、具材で補うようにしましょう。おむすびというと和の食材のイメージが強いですが、洋風やエスニックなどどんな具材でも合います。おむすび=和と拘らず、いろんな具材を試してみてください。」とコメントしました。

 最後に柏原先生は「ごはんに対して控えめにしている方が多いですが、日本人はごはんが大好きで、食べるとほっとするという方もとても多いと思います。体に良いものなんだという安心感をもって、朝はごはんをしっかり食べようと感じて頂けたら嬉しいです。」とコメント。壇蜜さんは「今日、1月17日は『おむすびの日』ということで、この日が制定された背景は決して明るいものではないですが、人と人との心のつながりを忘れないようにしようという意味で、おむすびのの日は制定されたんだと思います。辛かった過去と明るい希望のある未来をちゃんと結べるような日にしたいと思っていますので、おむすび食べてそういった思いに気持ちもはせてまた明日から頑張ろうという気持ちになっていただけたらなと思います」と締めくくりました。

調理風景
トークセッション

【開催概要】
●主催 :公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構
●名称 :被災者の心と健康を支えたおむすびから考える、手軽に栄養が摂れる 「朝ごはん」とは?
     「おむすびの日」プレス発表会
●開催日:2019年1月17日(木) 13:00~14:00
●会場 :時事通信ホール (〒104-8178 東京都中央区銀座5-15-8 時事通信ビル2F)
●ゲスト:壇蜜さん
●登壇者:管理栄養士 柏原ゆきよさん
     公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構 副理事長 木村良

【機構概要】
●名称:公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構
●設立年月日:平成16年4月1日
●機構の目的:米穀の安定供給の確保を支援すること
●機構の会員:132会員(平成30年12月25日現在)
●事務所   :〒103-0001 東京都中央区日本橋小伝馬町15番15号
●事業概要:
Ⅰ 公益目的事業
    1 信用保証事業
    2 集荷円滑化対策事業
    3 米消費拡大事業
  4 情報提供事業
Ⅱ その他の事業
  1 もち米需給安定支援対策事業
  2 流通合理化推進事業
●ホームページ: http://www.komenet.jp/
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「食育健康サミット2018」~米を主食とした日本型食生活の有用性を示唆~ /release/201811280894 Thu, 29 Nov 2018 15:00:00 +0900 米穀安定供給確保支援機構 公益社団法人 日本医師会と公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構は、2018 年11 月15 日(木)、日本医師会館大講堂(東京・駒込)において、ごはんを主食とした日本型食生活の有用性等について考える「食育健康サミット2018」を開催、約560 人の医師、管理栄養士・栄養士等が参加しました。 公益社団法人 日本医師会
公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構
「健康長寿を迎えるための青・壮年期の健康管理と日本型食生活」
米を主食とした日本型食生活の有用性を示唆
『食育健康サミット2018』
公益社団法人 日本医師会公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構は、2018 年11 月15 日(木)、日本医師会館大講堂(東京・駒込)において、ごはんを主食とした日本型食生活の有用性等について考える「食育健康サミット2018」を開催、約560 人の医師、管理栄養士・栄養士等が参加しました。
 本サミットにおいては、働き盛りの青・壮年期は、その人自身の老年期に影響を及ぼすだけでなく、次世代の健康にも影響を与える重要な世代であるにもかかわらず、他の世代に比べて食事の内容がアンバランス、朝食を食べない等の課題が多いと考えられることから、青・壮年期からの運動習慣と適正な食生活への改善が必要であることや、米を中心とした日本型食生活の有用性が示唆されました。

【各講演の主なポイント】
●低炭水化物食による健康維持は否定的な成績が多い
日本医科大学名誉教授/複十字病院糖尿病・生活習慣病センター長  及川 眞一 先生
近年、糖質制限食が注目されたが、長期的な健康維持に貢献する成績はみられない。長期的な健康維持のためにはむしろ、様々な食材を組み合わせた食事が大切であり、これにはごはんを中心とした日本型食生活が適している。

●フレイル・認知症予防には運動と栄養の両面からの対策を
桜美林大学老年学総合研究所 所長  鈴木 隆雄 先生
フレイル対策は、運動、栄養、心の問題のどれかひとつではなく、トータル的な支援が必要。また、認知機能低下の予防において、ごはんを中心とした日本型食生活に代表されるバランスのよい食事が重要。

●加工食品と外食は食物の摂取内容に課題を残す
女子栄養大学栄養学部 教授  武見 ゆかり 先生
壮年期女性は肥満とやせの二極化がみられ、栄養素摂取のバランスに問題がある。加工度の高い調理済食品や菓子類などの利用が多い者ほど食物摂取内容が悪く、女性では肥満のリスク傾向が示された。

●体内時計を整えるためには朝食摂取を、遅い夕食は分けて摂取を
早稲田大学先進理工学部 教授/早稲田大学先端生命医科学センター長  柴田 重信 先生
体内時計リセットには、インスリン分泌を促す朝食摂取が必要。夕食を遅く摂る場合は、主食を夕方に摂り、主菜・副菜を遅い時間に摂ると、肥満予防や体内時計の夜型化防止に寄与する。

【食育健康サミット2018 開催概要】
■日 時: 2018年11月15日(木) 13:30~17:00 
■会 場: 日本医師会館 大講堂 
■テーマ:  「健康長寿を迎えるための青・壮年期の健康管理と日本型食生活」
■主 催: 公益社団法人日本医師会  公益社団法人米穀安定供給確保支援機構

【講演Ⅰ】
青・壮年期の健康課題と食事・運動-日本型食生活の医学的有用性を中心に-
日本医科大学名誉教授/複十字病院糖尿病・生活習慣病センター長 及川 眞一 先生
 近年、糖尿病が強く疑われる者は漸増しており、特に50歳代から急増している。しかし、この問題は50歳代で始まるわけではなく、青・壮年期からの肥満増加や運動量不足の影響を受けている。同時に、血糖値の急激な変動を引き起こす欠食も大きな要素だと考えられる。精白米の摂取が糖尿病発症のリスクになりうるという議論があるが、摂取のタイミングや量、組み合わせなどについては十分に検討されていない。たとえば、同じ量の精白米を摂っても、単独で食べるときと様々な食材を組み合わせて食べるときとで、血糖の上昇は大きく異なる。
 近年、糖質制限食が注目され、短期的にはよい結果が出ているものの、長期的には推奨する根拠となる結果はみられない。糖尿病や動脈硬化症の発症には、糖質が多すぎても少なすぎてもよくなく、適度な糖質を摂り、様々な食材を組み合わせたバランスのよい食事がやはり大切である。
「ごはんを中心とした日本型食生活」は、様々な食材を組み合わせる食事パターンに適している。

【講演Ⅱ】
壮年期からのフレイル・サルコペニア予防における食生活の意義
桜美林大学老年学総合研究所 所長 鈴木 隆雄 先生 
 高齢者の身体能力は年々向上しており、特に前期高齢者はヘルスリテラシーも高く、活動的な傾向がある。一方で、後期高齢者になると加齢にともない、ロコモティブシンドロームやサルコペニアなどの身体的虚弱、うつや認知症などの精神・心理的虚弱、孤独や閉じこもりなどの社会的虚弱が進み、健康と要介護の間の状態であるフレイルが問題となる。
 フレイルやプレフレイルには、運動、栄養、心の問題のどれかひとつではなく、トータルで良好な方向に向くように支援すると、状態を比較的悪化させないことがわかっている。認知症については、前段階である軽度認知障害(MCI)の時点での運動と栄養の両面からの対策が着目されている。中でも、ごはんを中心とした日本型食生活に代表されるバランスのよい食事が認知機能の低下を予防することが、国内外の研究から明らかにされている。

【講演Ⅲ】
壮年期女性の生活習慣と健康、特に日本型食生活の役割を中心に
女子栄養大学栄養学部 教授 武見 ゆかり 先生
 壮年期女性において、肥満とやせの二極化が進んでいる。健康日本21(第二次)の中間評価では、40~60歳代女性の肥満者(BMI 25kg/m2以上)は減少せず、50歳代女性では増加さえみられる。一方で、若い女性だけでなく壮年期女性においてもやせ(BMI 18.5kg/m2未満)の割合が増加傾向にある。
 壮年期の前段階である青年期では、たんぱく質や野菜・果物の摂取量が少なく、脂肪エネルギー比、特に飽和脂肪酸エネルギー比は高いなど、栄養素の摂取バランスに問題がある。その要因として、日本人の食物消費の7割余りを加工食品と外食が占めていることが考えられる。食品の加工の程度や加工目的による分類枠組み「NOVAシステム」において最も加工度の高い食品であるUPF(ultra-processed food)の摂取割合と、肥満、高血圧、メタボリックシンドロームとの関連が諸外国で報告されている。日本人においても、UPFの利用が多い者ほど栄養素のバランスが崩れ、野菜摂取量が少なく、女性では肥満のリスク傾向が示された。バランスのよい栄養素の摂取のためには、UPFの利用を控え、精製度の低い米・ごはんを主食として主菜と副菜を組み合わせた日本型の食事が推奨される。

【特別講演】
時間栄養学の観点から考える上手な炭水化物の摂り方
早稲田大学先進理工学部 教授/早稲田大学先端生命医科学センター長 柴田 重信 先生
 我々の体には、約24.5時間周期のリズムを刻む体内時計が備わっている。体内時計は脳と末梢組織の両方にあり、朝の光が脳の時計に強く影響して一日の時計を合わせる一方で、内臓など末梢の時計は食事で合わせることがわかっている。食後に血糖が増えると分泌されるインスリンは、血液中のブドウ糖を細胞に取り込んで血糖値を一定に保つ働きのほか、体内時計を調整するという働きもあるので、朝の光を浴びるだけでなく、朝食で十分な炭水化物(ごはんなど)を摂り、脳と末梢の時計を合わせる必要がある。一方で、夜遅い時間に糖質を食べると体内時計が夜型化してしまうため、夜遅い食事のときは炭水化物を控えめにする、あるいは主食は夕方に、主菜、副菜は遅い時間と、2回に分けて食べるなどの工夫が大切である。
 さらに、炭水化物の上手な摂り方としては、朝食に炭水化物と水溶性食物繊維を合わせて摂取すると血糖値の上昇が抑えられ、さらにセカンドミール効果※で昼食・夕食時の血糖値の上昇も穏やかになる。また、夕食での食物繊維の摂取に比較して朝食で摂取すると、糞便の短鎖脂肪酸を増やし便通をよくすることからも、朝食には食物繊維も含まれている玄米などを主食とした食事も適している。
※セカンドミール効果:1日の最初の食事が、次の食事(セカンドミール)後の血糖値に影響すること。

【パネルディスカッション】
座長の寺本民生先生の進行で、「健康長寿を迎えるための青・壮年期の健康管理と日本型食生活」をテーマに、特に参加者からの質問が多かった「青・壮年期の健康対策としての食生活と運動のあり方」「青・壮年期の栄養摂取のポイント」「健康長寿を迎えるための青・壮年期における“ごはんを主食とした日本型食生活”のよさ」について、パネリスト4 人の先生にそれぞれの知見に基づいたコメントをいただきました。

<青・壮年期の健康対策としての食生活と運動のあり方>
■武見先生は、偏りなく食物や栄養素の摂取目標を達成するためには、1日3回の食事が適していることを解説しました。目標達成に向けて、生活や経済力を鑑みて個人ができることから始めること、そして職場の体制整備も重要であると訴えました。

■柴田先生は、時間栄養学の観点から、同じ1日3食でも時間がずれると脳の体内時間と内臓の体内時計がずれてしまうと述べました。

■及川先生は、青年期の運動不足解消のためは、まず正しい運動の仕方や運動をする環境・状況づくりの大切さを知識として持ってもらうことが重要だと話しました。及川先生自身はスニーカーをはいて動きやすい服装で通勤するという状況を作り、最寄り駅から職場まで行き帰りとも歩き、汗をかくような運動をしていることを紹介しました。

■鈴木先生は、若い女性の摂取エネルギー量の低下傾向が続いていることに触れ、栄養不足、特にビタミンD摂取の不足が、高齢期で顕在化する運動器の老化を招いていることを示唆しました。さらに、戦後以来70年ぶりにくる病が発生していることについて、危機感を訴えました。

<青・壮年期の栄養摂取のポイント>
■武見先生は、「食事バランスガイド」はあくまでも成人向けであり、子ども向けではなく、高齢者も個人差が大きいため応用が必要であることを説明しました。

■鈴木先生は、フレイル予防のためのたんぱく質の摂り方について、動物性たんぱく質が重要であるものの、日常の生活機能を維持するための筋肉維持には摂取のタイミングまではこだわる必要はないと話しました。摂取目標量は体重1kgあたり1g/dayであり、高齢者に多い慢性腎不全の場合でも中等度未満であれば制限の必要はないが、中等度以上の場合は6~7割に抑えるべきであると説明しました。
また、糖質制限に関連して、これを食べるとこれによい(単品栄養主義)、これを食べたらいけない(単品排除主義)では栄養素の摂取バランスを崩すことに注意すべきだと訴えました。

■及川先生は、糖質制限食について、短期的には有用というデータが多くみられるものの、長期的には体重はむしろ増加すると説明しました。炭水化物は様々な食材を組み合わせて摂ることにより体重・血糖いずれの面でも問題はなく、糖質制限食を勧める必要はないと述べました。

■武見先生は、糖質制限として主食のごはんは減らして菓子を食べる女性もいるが、我々は主食であるごはんから糖質だけを摂っているわけではなく、食物繊維などの栄養素までも不足してしまう糖質制限のリスクを強調しました。

■柴田先生は、時間栄養学の観点から、体内時計をリセットするブドウ糖の働きを考慮して摂取する時間帯を決めるなど、効果的な糖質摂取について示唆しました。

<健康長寿を迎えるための青・壮年期における“ごはんを主食とした日本型食生活”のよさ>
■武見先生は、唯一味がない主食であるごはんは、ほかの食材と組み合わせやすく、栄養素の摂取バランスが整いやすいことを話しました。また、重湯からおかゆ、普通のごはんまで、食べ手の健康状態、咀嚼の問題に合わせた変化を家庭でも簡単に作りやすいというごはんのよさを再認識すべきだと述べました。

■座長の寺本先生は、何よりバランスのよい食事が大切であり、そのためにはごはんを中心に置いて考えるとよいと話しました。

【総括】
 帝京大学臨床研究センター センター長/寺本内科・歯科クリニック 内科院長 寺本 民生 先生
 最後に、座長の寺本先生は、生活習慣病を考える際には、その世代だけではなくてすべての世代がつながっているという考え方でみる必要があると述べました。
 青・壮年期にはたくさんの健康課題があるが、その中で食生活に注目すると、まず朝食の欠食をいかに抑えていくかが課題であり、インスリン分泌が体内時計を調節していることからも炭水化物の摂取が必要で、炭水化物を上手に摂るには栄養のバランスと摂取のタイミングが大切、それには多様な食材と組み合わせることができるごはんを主食とした日本型食生活を取り入れることが適切であると、このシンポジウムをまとめられました。
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『食育健康サミット2017』に医師・栄養士等約650名が参加 /release/201711218193 Fri, 24 Nov 2017 09:30:00 +0900 米穀安定供給確保支援機構 公益社団法人 日本医師会と公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構は、2017 年11 月9 日(木)、日本医師会館大講堂(東京・駒込)において、ごはんを主食とした日本型食生活の生活習慣病予防・治療における有用性等について考える「食育健康サミット2017」を開催、約650 人の医師・栄養士等が参加しました。 公益社団法人 日本医師会
公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構
「ライフステージにおける食生活と健康
~健やかな高齢社会の実現に向けた日本型食生活と運動~」
米を中心とした日本型食生活の意義を再認識
『食育健康サミット2017』
公益社団法人 日本医師会公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構は、2017 年11 月9 日(木)、日本医師会館大講堂(東京・駒込)において、ごはんを主食とした日本型食生活の生活習慣病予防・治療における有用性等について考える「食育健康サミット2017」を開催、約650 人の医師・栄養士等が参加しました。
 本サミットにおいては、ライフステージや性別により、発症する疾病が違うことから、一律的な生活習慣の改善ではなく、それぞれの世代に合わせた改善・対策が必要であり、米を中心とした日本型食生活の必要性が示唆されました。

基調講演等要旨
●健康寿命の延伸には、伝統的な日本食(The Japan Diet)”を再認識する必要
帝京大学臨床研究センター センター長/寺本内科・歯科クリニック 内科院長 寺本 民生 先生
肥満が急増しているが、1975年当時は米類・脂肪摂取量のバランスが均衡しており、生活習慣病の心配がなかった。これは米を中心とした日本型食生活の果たす役割が大きかった。

●若い女性の低栄養は次世代の健康リスクにつながる
早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構 招聘研究員/千葉大学客員教授 福岡 秀興 先生
女性のバランスのとれた必要十分な栄養摂取は、本人の一生の健康及び次世代の健康に不可欠である。炭水化物は遺伝子の働きを調節しており、妊娠初期に摂取量が少ないと児は小児期に体脂肪量がより増加し、肥満や糖尿病など将来の生活習慣病につながる可能性がある

●日本食の食事パターンは高齢者の認知機能の改善や要介護リスクを減少
東京都健康長寿医療センター 内科総括部長  荒木 厚 先生
高齢者の低栄養は認知機能低下、サルコペニア、フレイルと関係する。その予防には、米を主食として魚や肉などのたんぱく質や野菜、海藻を十分に摂取することが大切である。

●健康寿命延伸には、栄養と運動両面からのアプローチが重要
京都大学名誉教授/京都産業大学・中京大学客員教授  森谷 敏夫 先生
筋肉は最もエネルギーを多量に使う臓器であり、運動により筋肉は生成され、脳・心循環器機能を改善する。炭水化物はエネルギーの消費効率が高い。低炭水化物ダイエットは、心理面の悪化、血糖コントロール不良などの弊害も大きい。

【開催概要】
■日 時: 2017年11月9日(木) 13:30~17:00 
■主 催: 公益社団法人日本医師会  公益社団法人米穀安定供給確保支援機構
■会 場: 日本医師会館 大講堂 東京都文京区本駒込2-28-16

基調講演Ⅰ
テーマ:日本人のライフステージから見る疾病構造と食育の重要性
-“伝統的な日本食(The Japan Diet)”研究を踏まえて-
座長・講師:帝京大学臨床研究センター センター長/寺本内科・歯科クリニック 内科院長
寺本 民生 先生
内容:わが国の平均寿命は世界で有数であるものの、平均寿命と健康寿命の差である“不健康な期間”の問題が生じている。この問題の解決には、例えば若い女性や更年期女性の骨粗鬆症、妊婦の低栄養に伴う胎児期の生活習慣病発症の兆し、壮年男性のメタボリックシンドローム(メタボ)、高齢者のサルコペニアといった、年齢・性別も含めたライフステージに着目した疾病構造の理解が必要で、一律な生活習慣改善ではなく、ライフステージに合わせた対策が必要である。
 わが国では肥満が急増しているが、かつては肥満や骨粗鬆症などの疾患はきわめて少なかった。健康寿命の延伸には、かつての生活習慣に解決の糸口がある。特に食生活では、1975年当時は米類・脂肪摂取量のバランスが均衡していたものの、米類摂取量の減少と反比例して脂肪摂取量が増加、それに伴い肥満が急増している。つまり、米を中心とした日本型食生活が大きな役割を果たしていたのである。
 われわれが行った30~49歳男性に対し動物性脂肪や菓子類の多い食事から米、魚、大豆、野菜、海藻、きのこ等を組み合わせた日本食に変更した研究*では、日本食のほうが体重やコレステロール値などの改善がみられ、壮年期男性の肥満・メタボの改善に日本食が期待できる結果であった。このことから、米を中心とした“伝統的な日本食(The Japan Diet)”を再認識する必要がある。
*「日本食」摂取を目指す6週間の栄養教育介入が体格、糖・脂質代謝指標に及ぼす影響:A pilot study. J Atheroscler Thromb 2017; 24: 393-401.

基調講演Ⅱ
テーマ:若い女性の低栄養と次世代の健康リスク-炭水化物の役割-
講師:早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構 招聘研究員/千葉大学客員教授  福岡 秀興 先生
内容:若い女性の低栄養が経年的に進展している。低栄養は女性本人の健康だけでなく、次世代の健康にも悪影響をもたらす。
 わが国では「小さく産んで大きく育てる」ことがよいという社会的な風潮が今なお一部ではある。あまり知られていないが、やせて妊娠したり、妊娠中の体重増加を抑制したりすると、児は小さく産まれる傾向があり、将来的には肥満や糖尿病など多くの生活習慣病を発症するリスクが高くなり、この体質は世代を超えて伝達されやすい。現在若い女性及び妊婦の栄養状態は必ずしもよくなく、必要で十分な栄養を摂取する必要がある。中でも炭水化物は遺伝子機能の調節に働く重要な栄養素であり、妊娠初期に炭水化物摂取が少ないと児の肥満や糖尿病につながる。多様な栄養素をバランスよく摂取できるのが「米を中心とした日本型食生活」であり、次世代の健康を確保するうえでも有用である。

基調講演Ⅲ
テーマ:高齢者のフレイル・サルコペニアや認知機能低下を防ぐための低栄養対策
講師:東京都健康長寿医療センター 内科総括部長  荒木 厚 先生
内容:高齢者の低栄養は、認知機能低下、近年注目されているサルコペニア*、フレイル**とも関係している。高齢者の食事療法は高血圧や糖尿病等の合併症の予防、生活の質の維持・向上、認知症、うつ、サルコペニアなどの老年症候群の予防の観点から、きわめて重要である。
 認知機能を改善する可能性のある食事として、地中海食や米を主食とした日本食が報告されている。また、サルコペニアやフレイルは、タンパク質やビタミンなどの不足が発症や症状が進展することに関係しており、適切な筋肉の機能を保つためのタンパク質摂取や運動が必要である。日本食の食事パターンは魚や肉などから適正なたんぱく質を、野菜、海藻などからビタミンを摂取することができるので、要介護および後期高齢者の死亡リスクを減少させているのであろう。
*サルコペニア:筋肉量の低下と筋力の進行性の消失があり、身体機能の低下、QOL低下や死亡などの健康被害のリスクを伴う状態
**フレイル:ストレスによって要介護や死亡に陥りやすい状態

基調講演Ⅳ
テーマ:性・年齢を考慮した栄養と運動の役割 -高齢社会を視野に入れて-
講師:京都大学名誉教授/京都産業大学・中京大学客員教授  森谷 敏夫 先生
内容:高齢社会を視野に入れた健康管理には、栄養と運動両面からのアプローチが重要である。筋トレ直後のたんぱく質(必須アミノ酸)摂取により、高齢者でも筋タンパク合成が大幅に増加する。また、運動による筋肉の生成は、脳機能や心循環器機能も改善する。筋肉はわれわれの体の約5割を占め、エネルギーを最も多量に使う臓器である。
 低炭水化物ダイエットは短期的には体重が減るが、その実態は体内の水分が減っているだけである。それだけでなく、抑うつ・落ち込み・怒り・敵意など感情プロフィールの悪化をもたらす。さらに糖尿病の患者さんでは、朝食抜きにより昼食後の血糖コントロールが不良になるなど、弊害のほうが大きい。一方、米を中心としたバランスのよい食事は、エネルギーの消費効率にすぐれることなどから、メタボリックシンドロームの改善や自律神経活動の亢進に有効である。

パネルディスカッション
「ライフステージにおける食生活と健康~健やかな高齢社会の実現に向けた日本型食生活と運動~」をテーマに、特に参加者からの質問が多かった「高齢者」「女性」「糖質制限ダイエット」について、4 人の先生にそれぞれの知見に基づいたコメントをいただきました。

<高齢者の健康>
■荒木先生は、一律な減量はサルコペニアをもたらす危険性があるので、身体活動量の増加や食事療法の見直しを提案しました。また、中年期の肥満が認知症リスクとなることを紹介し、中年期の肥満対策が高齢期の健康維持に寄与すると話されました。
■森谷先生は、血流を増すことが骨と筋肉にとって重要であること、運動直後に牛乳やヨーグルトをとると筋肉量増強に効果的であることを紹介しました。また運動も大事だが、日常生活での身体活動も意識することが重要であると説明されました。

<女性の健康>
■福岡先生は、妊娠期に栄養を制限し過ぎると生まれてくる児は出生体重が低下することや、小さく産まれた子どもは生活習慣病を発症するリスクが高く、この傾向は世代を超えて受け継がれる懸念があるという新しい考え方を紹介しました。小さく産まれた妊婦さんは妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群になる可能性があるとのことです。それゆえ女性の一生及び次世代の健康を考える上で栄養がきわめて重要であることを何度も強調されました。
■荒木先生は、飢餓の年に生まれた子どもは将来の生活習慣病発症率が高いというオランダの疫学調査を紹介し、妊娠中の栄養状態の重要性を語りました。
■森谷先生は、運動は自律神経の機能改善、体重調整にも寄与するので、女性は更年期の前から運動習慣を持つことを提案しました。また、膝に痛みがある人のため、座ったままできる運動も紹介されました。

<糖質制限ダイエット>
■荒木先生は、糖質制限食の効果は一過性であり、過度の糖質制限が死亡リスクを上昇させることを話されました。特に高齢者については、タンパク質・脂質の摂取が多くなることによる腎機能への影響を懸念しました。
■福岡先生は、グルコース(ブドウ糖)が遺伝子の働きを調節する重要な物質であることを示し、妊娠中に炭水化物を制限した食事をとると児の疾病リスクが高くなると強調されました。
■森谷先生は、ダイエットはそもそも「正しい栄養」という意味であり、体重減少を目的とするのではなく、食事を見直して運動をすることにより、体脂肪を減らしていくべきだと語りました。

<ごはんを中心とした日本型食生活について>
■福岡先生は、胎児の健全な発育には、多様な栄養素をバランスよく必要十分量とることが大事であることを改めて強調しました。ごはんを中心とした日本食はその意味で理想的な食であると紹介しました。
■荒木先生は、高齢者の栄養管理にはタンパク質だけでなく他の栄養成分もきちんと補う必要性に触れ、食品の多様性を保つことのできる、米を主食とした日本食の有用性を語りました。
■森谷先生は、タンパク質の供給源として、朝食にごはんを中心とした和食を推奨しました。また、筋肉が糖質を燃焼させる臓器であることに触れ、燃焼効率の高いごはん食の有用性を強調しました。
■座長の寺本先生は、乳児期の重湯、おかゆ、ごはん、そして、高齢期になっておかゆのように、世代を超えて形状をかえて食べ続けられること、ごはんは粒のまま食べるので、咀嚼力が鍛えられることなどを挙げ、ごはん食の有用性について話されました。

■最後に、座長の寺本先生から、生活の基礎をつくっているのはごはんに、魚、野菜などを組み合わせて食べる日本食と日々の身体活動であることを認識し、平均寿命・健康寿命ともに世界有数であるこの日本の伝統を引き継いでいくことが重要であるとまとめられました。
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『食育健康サミット2016』に、655人の医師・栄養士等が参加 /release/201611216468 Tue, 22 Nov 2016 11:30:31 +0900 米穀安定供給確保支援機構  公益社団法人 日本医師会と公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構は、2016年11月10日(木)に、日本医師会館大講堂(東京・駒込)において、ごはんを主食とした日本型食生活の生活習慣病予防・治療にお... 公益社団法人 日本医師会
公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構
栄養や肥満症、糖尿病、運動身体活動の専門家4人が登壇
肥満、糖尿病の予防・重症化予防につながる「ごはんを主食とした食生活」を提案
『食育健康サミット2016』に、655人の医師・栄養士等が参加
テーマ:健康寿命延伸にむけた、肥満、糖尿病の予防・重症化予防
-日本型食生活の役割-
 公益社団法人 日本医師会と公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構は、2016年11月10日(木)に、日本医師会館大講堂(東京・駒込)において、ごはんを主食とした日本型食生活の生活習慣病予防・治療における有用性等について考える「食育健康サミット」を開催しました。

 これは、医師、栄養士などの方々を対象に毎年開催されるサミットで、本年度は「健康寿命延伸にむけた、肥満、糖尿病の予防・重症化予防-日本型食生活の役割」をテーマに開催しました。東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科 教授 門脇 孝 先生など4人の専門家による最新の研究を基にした講演とパネルディスカッションを実施。会場に集まった参加者は、肥満症や糖尿病の治療にあたる医師や栄養士など655人で、熱心に講演に耳を傾ける姿が見られました。

テーマ「健康寿命延伸にむけた、肥満、糖尿病の予防・重症化予防-日本型食生活の役割」について
 健康寿命とは、健康上の問題で、日常生活が制限されることなく生活できる期間を意味します。健康寿命延伸のためには、循環器疾患や糖尿病などの生活習慣病の予防が重要とされ、生活習慣病の主なリスクファクターとして肥満が挙げられます。肥満の予防には、生活習慣、特に身体活動・運動と食事の管理が重要になってきます。
 食事は、個人の身体状況や嗜好性などを考慮して、楽しみながら実践し、継続していけるよう、安全で、食文化や食習慣にも配慮することが大切です。
 そこで、本年度の食育健康サミットでは、健康寿命延伸にむけて、肥満、糖尿病の予防、重症化予防のため、身体活動・運動の役割と、適正なエネルギー量で、適正なエネルギー産生栄養素のバランスを図る食事を提供できる日本型食生活の役割について考えました。

 基 調 講 演 

4人の専門家を講師に招き、肥満、糖尿病の予防・重症化予防を目的とした、食事の管理と身体活動・運動について、各分野における最新の研究結果、日ごろの診療や栄養指導・運動指導に有用なデータをご紹介いただきました。

講演Ⅰ
テーマ:食事摂取基準 -栄養管理のコアとしてのガイドライン
講 師:東京大学大学院医学系研究科社会予防疫学分野  教授 佐々木 敏 先生
内 容:厚生労働省から発表されている「食事摂取基準」は、栄養管理の基盤となるガイドラインである。最新版の『日本人の食事摂取基準(2015年版)』では、エネルギー管理はこれまでのエネルギー必要量からBMI※の変化で管理することに変更された。どのくらいのBMI が望ましいのか、BMI と総死亡率との関連を調べた疫学研究を参考にして、目標とするBMIが年齢階級別に定められている。BMIの望ましい数値の上限はどの年齢でも24.9以下であるが、下限は年齢で異なり、70歳以上の高齢者では21.5以上と、高めに設定されている。※ BMI(body mass index)=体重(㎏)÷身長(m)2
日本人の栄養素摂取の課題は、食物繊維の不足と食塩の過剰摂取である。食物繊維の充足のためには、きちんと穀類や野菜、果物を摂取することを推奨する。また、食塩摂取量はここ30年で大きな変化が見られていない。高血圧の予防・改善のためにも、一段の減塩対策を行ってほしい。
栄養指導・食事管理においては、「PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクル」に基づく運用を勧めている。対象者の食事摂取状況の把握と評価を行い、個人に適したプランを策定し、より良い方向に導いていただきたい。

講演Ⅱ
テーマ:糖尿病の成因とその予防、治療のための健康的な食事と運動の勧め
講 師:東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科教授 門脇 孝先生
内 容:日本における糖尿病患者数は950万人で、予備群を含めると2,050万人。糖尿病の予防・治療には、原因である肥満と内蔵脂肪蓄積の改善が必要である。
糖尿病は、心筋梗塞や脳卒中、糖尿病性腎症など合併症を発症しやすい。また、糖尿病患者の多くは高齢者であることから、筋肉量が減少するサルコペニアにも注意が必要である。
予防と治療には、「運動と食事」による体重管理が効果的で、3~5%体重を減らすことより血糖値だけでなく血圧、中性脂肪等の血液中の脂質も改善される。日本肥満学会では、3kgの減量、3cmのウエスト周囲径の短縮を提唱する「サンサン運動」を展開している。食事療法のガイドラインとして、栄養素の摂取比率は、炭水化物がエネルギーの50~60%、たんぱく質が約20%以下、残りを脂質とするが、その比率は個人の病態や嗜好、年齢に応じて考慮が必要である。高脂肪食、特に肉等の飽和脂肪酸の多い食事は、レプチンというエネルギー消費を促進するホルモンの働きが弱くなり肥満を促進するが、通常の日本食では、多少の過食があったとしてもレプチンがきちんと分泌され、肥満を抑制している。運動療法では、インスリンの感受性を高める歩行等の有酸素運動と、スクワット等のレジスタンス運動(筋力を鍛える運動)の組み合わせを勧める。

講演Ⅲ
テーマ:肥満の予防と肥満症治療のための食事管理
講 師:公益財団法人 結核予防会 総合健診推進センター 所長 宮崎 滋 先生 
内 容:「肥満症診断ガイドライン2016」では、「肥満」と「肥満症」を区別している。「肥満」の定義は、BMIが25以上で脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積している状態である。「肥満症」は、肥満に起因して糖尿病や脂質異常症など健康障害を合併している治療すべき肥満を指す。さらにBMI35以上の肥満症を「高度肥満症」としている。
肥満症の治療の基本は食事療法で、6カ月かけて3%の体重減を目指す。減量の計算では、脂肪組織1kgを約7,200kcalと置き替える。1日に300kcalを削減すると1カ月で体脂肪1㎏の減量が可能である。
減量のための食事では、筋肉が減少するタイプの肥満「サルコペニア肥満」を避けるため、たんぱく質の摂取量を確保してほしい。また、炭水化物の制限は、長期的に見ると心筋梗塞など疾病のリスクを高めるので好ましくない。
ごはんを中心とした食事は、低エネルギーでいて満腹感が得られ、魚や野菜と組み合わせたバランスのよい献立を作りやすい。ごはんは食事誘発性熱産生を高めるという報告もあり、減量のための食事として推奨する。

講演Ⅳ
テーマ:肥満や糖尿病の予防・改善のための身体活動・運動
講 師:国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 健康増進研究部長 宮地 元彦 先生
内 容:運動・身体活動は、糖尿病の予防のみならず治療においても有効であることが多くの介入研究から証明されている。
糖尿病患者のための運動療法として、有酸素性運動にレジスタンス運動(筋力を鍛える運動)を組み合わせることが有効で、歩く等の中強度の運動を1日に20分~60分程度、少なくとも週に3日程度行うことを目安にしている。とはいえ、運動習慣を確立するのはむずかしい。意図をもって、余暇時間に計画的に行う運動だけでなく、家事や通勤歩行等の生活活動を含めた身体活動を増やす支援をしていくことが重要になる。厚生労働省は、「健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)」において、今より、毎日10分多く体を動かす「+10(プラス・テン)」を提案している。
中高年の方が減量をする際には、筋量あるいは筋力が低下しないように留意してほしい。筋量の向上には高強度、筋力の向上には中強度のレジスタンストレーニングが有効である。実施には、①鍛える筋や関節を意識して、②辛いと感じる程度で限界までやらない、③最低でも週2回、できれば毎日、④呼吸をとめずに、⑤体調の悪い時には、無理をせず、⑥疾患や痛みがあったら医師に相談をすることを念頭に実施してほしい。推奨できる種目は、スクワット、腕立て伏せ、上体起こし、上体反らしの4つが挙げられる。

 パネルディスカッション 

「健康寿命延伸にむけた、肥満、糖尿病の予防・重症化予防 -日本型食生活の役割」をテーマにしたパネルディスカッションは、参加者から寄せられた質問に、4人の先生がそれぞれの分野の知見に基づき回答をするスタイルで討議を進行しました。主なご発言要旨です。

<糖質制限食について>
■佐々木先生は、糖質制限食(炭水化物:全体のエネルギーの約45%、脂質:約40%、たんぱく質約15%)と脂質制限食(脂質:全体のエネルギーの約20~25%、炭水化物:約60~65%、たんぱく質約15%)の比較調査において、どちらの方法でも同じエネルギー量であれば、同様に減量効果が見られたことを紹介されました。
■宮崎先生は、日本人の平均寿命延伸の背景に、ごはんを基本とした日本型食生活があることを説明。糖質制限食により食事内容が高脂質食になり、心筋梗塞などの疾病リスクが高まることを懸念しました。

<食事で野菜を先に食べる食事法の有効性について>
■佐々木先生は、食事で野菜を先に食べると血糖値の上昇が抑えられるという研究がある一方、一つの食材をまとめて食べることで、早食いの傾向になることを指摘。ゆっくり食べる人ほど糖尿病罹患者が少なくなるという調査結果に触れ、時間をかけてごはんとおかずを交互に食べる“三角食べ”が持つ健康効果を紹介しました。
■座長の門脇先生は、食後の血糖上昇を防ぐ点からも、食物繊維摂取量を増やすことの重要性、よく噛んで食べる習慣のメリットを話されました。
■宮地先生は、よく噛む人は、食後の食事誘発性消費量が増えるという研究結果に触れ、ひとくちで20回以上噛む習慣を勧めました。

<減量指導の目標について>
■宮崎先生は、患者さんに対して、たんに痩せることだけを目的にせず、医療としての減量を提案することの大切さを語りました。肥満自体の解消は難しくても、肥満に伴う健康障害の改善を第一の目標に現体重の3%の減量を行う提案がなされました。

<肥満症とサルコペニアについて>
■宮崎先生は、高齢者の筋肉量が減少し脂肪が増加する「サルコペニア肥満」を危惧。カロリー制限をする際には、たんぱく質の摂取の確保が必須であることを語りました。
■佐々木先生は、高齢者のやせすぎを防ぐために、食事摂取基準におけるBMIの下限が高めに設定されていることを説明し、筋肉を保持するためのたんぱく質摂取量の充足が必要であると注意を促しました。

<効果的な運動療法について>
■宮地先生は、健康寿命延伸には、有酸素性運動とレジスタンス運動の組み合わせが最善であるものの、それぞれの効用が異なることを説明。減量と糖尿病の予防・改善には有酸素性運動、サルコペニアを伴う肥満の予防には、筋量を増やすレジスタンス運動が有効であると語りました。
また、減量指導の一環として身体活動量を客観的に把握することの重要性を語り、スマートフォンに搭載されている歩数計や活動量計の活用を勧めました。

<健康寿命延伸に向けた、日本型食生活の役割について>
■佐々木先生は、塩分を含まないごはんを低塩食として活用することを勧めました。また、ごはんを中心とした食事はバラエティが豊富で、個人の嗜好に合った食事の提案が可能であることも、メリットとして紹介しました。
■宮崎先生は、食事制限では間食をやめることが第一歩であることを説明。腹持ちのよいごはんを三食食べる習慣をつけることで、間食をなくす指導により健康を目指す減量が実現すると語りました。
■最後に、座長の門脇先生から、本サミットのまとめとして、日本型食生活が日本人の健康を支え、世界でも評価を得ている食のスタイルであると説明がありました。食事と合わせ、身体活動を活発化することで、健康寿命延伸につながると話されました。

【開催概要】

日  時:2016年11月10日(木)13:30~17:00
会  場:日本医師会館 大講堂 (東京都文京区本駒込2-28-16)
テーマ:「健康寿命延伸にむけた、肥満、糖尿病の予防・重症化予防-日本型食生活の役割」
主 催:公益社団法人 日本医師会 公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構
後 援:農林水産省 一般社団法人埼玉県医師会 公益社団法人千葉県医師会
    公益社団法人東京都医師会 公益社団法人神奈川県医師会 一般社団法人山梨県医師会
    一般社団法人日本血栓止血学会 特定非営利活動法人日本高血圧学会
    一般社団法人日本循環器学会 一般社団法人日本心臓病学会 
    一般社団法人日本腎臓学会 一般社団法人日本体力医学会 一般社団法人日本糖尿病学会
    一般社団法人日本動脈硬化学会 一般社団法人日本内科学会 一般社団法人日本肥満学会
    公益社団法人日本栄養士会 特定非営利活動法人日本栄養改善学会
    公益社団法人日本栄養・食糧学会 一般社団法人日本臨床栄養学会
内  容:
基調講演
講演Ⅰ 食事摂取基準 -栄養管理のコアとしてのガイドライン
    東京大学大学院医学系研究科社会予防疫学分野 教授    佐々木 敏 先生
講演Ⅱ 糖尿病の成因とその予防、治療のための健康的な食事と運動の勧め
    東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科 教授    門脇  孝 先生
講演Ⅲ  肥満の予防と肥満症治療のための食事管理
    公益財団法人 結核予防会 総合健診推進センター 所長  宮崎 滋 先生
講演Ⅳ 肥満や糖尿病の予防・改善のための身体活動・運動
    国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 健康増進研究部長
                              宮地 元彦 先生
パネルディスカッション
テーマ:健康寿命延伸にむけた、肥満、糖尿病の予防・重症化予防-日本型食生活の役割
座 長:東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科 教授    門脇 孝 先生
パネリスト:
      東京大学大学院医学系研究科社会予防疫学分野 教授  佐々木 敏 先生
      公益財団法人 結核予防会 総合健診推進センター 所長 宮崎 滋  先生
      国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 健康増進研究部長
                                宮地 元彦 先生
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『食育健康サミット2015』に医師・栄養士等608人が参加 /release/201511025165 Mon, 02 Nov 2015 13:00:23 +0900 米穀安定供給確保支援機構  公益社団法人 日本医師会と公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構は、2015年10月22日(木)に、日本医師会館大講堂(東京・駒込)において、ごはんを主食とした日本型食生活の生活習慣病予防・治療にお... 公益社団法人 日本医師会
公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構
医学、栄養学、食品機能学、公衆衛生学の専門家4人が登壇
血管の老化を防ぎ、しなやかな血管を保つ
日本人に適した「ごはんを主食とした食生活」を提案
『食育健康サミット2015』に医師・栄養士等608人が参加
テーマ:脂質の質を考慮した血管管理 ― 健康寿命延伸のために ―
 公益社団法人 日本医師会と公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構は、2015年10月22日(木)に、日本医師会館大講堂(東京・駒込)において、ごはんを主食とした日本型食生活の生活習慣病予防・治療における有用性等について考える「食育健康サミット」を開催しました。

 これは、医師、栄養士などの方々を対象に毎年開催されるサミットで、本年度は「脂質の質を考慮した血管管理 ― 健康寿命延伸のために ―」をテーマに開催しました。
 帝京大学臨床研究センター センター長・寺本民生先生など4人の専門家による最新の研究を基にした講演とパネルディスカッションを実施。会場に集まった参加者は、肥満や生活習慣病の予防や治療にあたる医師や栄養士など608人で、熱心に講演に耳を傾ける姿が見られました。

テーマ:「脂質の質を考慮した血管管理 ― 健康寿命延伸のために ―」について
 厚生労働省では、肥満・生活習慣病の予防などのため、「日本人の食事摂取基準(2015年版)」において、エネルギー産生栄養素バランスとして、“たんぱく質”、“脂質”、“炭水化物”の目標量を比率で示し、弾力的な運用ができるようにしました。また、脂質の構成成分である脂肪酸については、質に配慮して、飽和脂肪酸の目標値を決め、その過剰摂取を控えることを明確にするとともに、LDL-コレステロールが正常値の場合のコレステロールの摂取については、その上限値を削除しました。
 血管、特に、動脈の障害は、心臓病や脳血管疾患などによる死亡という問題だけでなく、寝たきりや認知症など生活の質を著しく落とす原因にもなるため、動脈硬化の予防が焦点になります。その際、食事のあり方としては、エネルギー収支の安定とともに、必要な栄養素を過不足なく摂取すること、脂質については、コレステロールと個々の脂肪酸のバランスに留意することが大切になります。
 そこで、本年度の食育健康サミットでは、肥満・生活習慣病予防のために、血管の老化を防ぎ、しなやかな血管を保つという観点から、脂質の質を考慮した日本型食生活の意義について考えました。


 基 調 講 演 

4人の専門家を講師に招き、健康寿命延伸のための脂質の質を考慮した血管管理について、各分野における最新の研究結果、日頃の診療や栄養指導・運動指導に有用なデータをご紹介いただきました。

講演Ⅰ
テーマ:健康寿命延伸のための包括的管理 -動脈硬化の予防を中心に-
講 師:帝京大学臨床研究センター センター長  寺本 民生 先生
内 容:健康寿命延伸のために血管を健康に保つことは重要なポイントである。平均寿命と健康寿命の差である不健康な期間に、特に問題になるのが介護であるが、介護の状態を招く原因の第一位は心・脳血管疾患である。かつて日本人は動脈硬化・心筋梗塞の少ない国民であったが、食の欧米化の影響により、そのリスクを高めるコレステロールや脂肪摂取量は、上昇傾向が続き、特に若い世代の過剰摂取が危惧される。このような状況のなか、本年、脳・心血管病予防のガイドラインとなる「脳心血管病予防に関する包括的リスク管理チャート」が発表された。治療、食事・運動など生活指導の指針として活用いただきたい。
血管に関連する疾患は、長い年月を経て発症するので、若い世代からの食事のあり方が大切になる。塩分を控えた日本食(The Japan Diet)は、魚や大豆など予防につながる食材を上手にとりいれることのできる有益な食のスタイルである。

講演Ⅱ
テーマ:脂質管理における日本食の意義
講 師:日本女子大学家政学部食物学科 教授 丸山 千寿子 先生
内 容:脂質異常症の食事療法の第一は、適正なエネルギー摂取量を守り、肥満にならないこと、内臓脂肪を蓄積させないこと。その上で、たんぱく質・脂質・炭水化物のエネルギー産生栄養素のバランスを整える工夫をしてほしい。
脂質の種類でみると、飽和脂肪酸を控え、コレステロールの代謝を促進する多価不飽和脂肪酸、中性脂肪の代謝に影響するn-3系多価不飽和脂肪酸の摂取が望ましい。加えて食物繊維の摂取も効果がある。
具体的な食材では、近年、摂取量が増えているバラ肉やひき肉のような脂の多い肉やバターなどの油脂類は避け、n-3系多価不飽和脂肪酸を豊富に含む青背の魚の摂取を勧めたい。日本人の伝統的な食事は、魚をさまざまな調理法でとり、海藻、きのこ、こんにゃくなどから食物繊維やミネラルがとれて栄養バランスがよい。効率よく脂質異常症を予防するといえるだろう。

講演Ⅲ
テーマ:日本食を基盤とした肥満・生活習慣病を防ぐ食事
講 師:東北大学大学院農学研究科食品機能健康科学講座 准教授 都築   毅 先生 
内 容:食品に含まれる個々の成分の機能性に着目するのではなく、食事全体を丸ごと評価するという視点で、介入研究等を行い、日本食とアメリカ食の比較では、日本食のほうが脂質・糖質代謝が活発化し、内臓のストレスが低くて、酸化ストレスも低く、脂肪もためないという健康有益性が高いことがわかった。次に、いつ頃の日本食が健康維持のためによいかを調べた。1960年と1975年、1990年、2005年の食事を実験動物に与え、遺伝子発現を網羅的に解析する研究を行った。その結果、1975年の日本食がもっとも有益で、内臓のストレス性が低く、エネルギー消費を促し、肥満を抑制することがわかった。また、コレステロール値が低く、生活習慣病や老化性疾患の抑制、寿命延伸も認められた。1975年に摂取された食事は欧米化の影響が少なく、ごはんを中心に、減塩につながる出汁や、n-3系多価不飽和脂肪酸のEPAやDHAを含む青背の魚、緑茶のような伝統的な食材に加え、卵や乳製品も適度にとり入れられている。近年、日本食はそのあり方が変化してきたが、このようにお米をベースに多種類の食材をバランスよくとるスタイルを推奨したい。

講演Ⅳ
テーマ:動脈硬化の予防と身体活動・運動の効果
講 師:東京医科大学公衆衛生学分野 主任教授 井上  茂 先生
内 容:「脳心血管病予防に関する包括的リスク管理チャート」では、“有酸素運動(歩行・水泳など)を中心に、中強度(3METs=歩行程度)以上の強さで、定期的に(毎日30分以上)運動する”ことを勧めている。有酸素運動は、脂質代謝の面ではHDLコレステロールを増やす効果があり動脈硬化の予防に有益である。また、運動というと有酸素運動に注目しがちだが、ロコモティブシンドロームや介護予防につながるレジスタンス運動(筋力を鍛える運動)や、関節可動域の維持・向上やけがの予防にもつながる柔軟運動もあり、食事同様に運動もバランスよく行ってほしい。
    さらに、運動療法以外の時間の過ごし方にも注意を払ってほしい。最近の研究によると、ある程度の運動療法を実施していても、その他の生活が座りっぱなしでは、やはり動脈硬化の危険の高いことが示されている。軽い立仕事や、日常生活でこまめに歩きまわることも健康維持に役立つ。
    公衆衛生の立場からは最近、人々の活動量を高める地域環境が話題になっている。歩いて暮らせる地域など活動性が高まるようなウォーカビリティのある環境整備が期待される。

 パネルディスカッション 

「脂質の質を考慮した血管管理 ― 健康寿命延伸のために」をテーマにしたパネルディスカッションは、参加者から寄せられた質問に4人の先生がそれぞれの分野の知見に基づき回答をするスタイルで討議を進行しました。主なご発言要旨です。

<糖質制限食について>
■丸山先生は、糖質制限により体重を落とす効果はあるものの、制限の割合が問題であると指摘。主食の割合を極端に低くすると、脂質摂取量が増え、健康維持にさまざまなリスクを伴うと注意を喚起しました。
■続いて、都築先生は、糖質を減らすと、摂取する食材が圧倒的に減り栄養バランスが偏ることを指摘し、個人で実践した場合の栄養不足を懸念しました。

<脂肪酸の質・種類について>
■丸山先生からは、飽和脂肪酸の摂取を控え、n-3系多価不飽和脂肪酸の摂取が推奨されました。後者は日本人が伝統的に食してきたもので、食材として魚や大豆油・菜種油・エゴマ油といった植物性の油があげられました。また、加熱の方法として、焼き物、揚げ物などを時間をかけて調理をすると脂肪酸に変化が生じるため、短時間で調理をすることや刺身などシンプルで素材を活かした調理法が勧められました。
■続いて都築先生も、研究で健康への有益性が最も高かった1975年の食事では、食材をそのまま活かした食べ方をしていた。その方が食材に含まれる成分が生かされるので、調理法の選び方も大切であると話しました。


<コレステロール摂取量について>
■座長の寺本先生は、「日本人の食事摂取基準(2015年版)」で、コレステロールの摂取の上限値が削除されたことに触れ、コレステロールが正常な方は、コレステロールの摂取を制限することはないが、コレステロールが高い人、あるいは食事による摂取に反応する方々には、やはりコレステロールの制限が必要であると話しました。
■丸山先生は、コレステロールというと鶏卵の摂取を制限する人が多いが、イカ、タコ、スルメ、魚卵など海産物でもコレステロールの多いものがある。鶏卵は、それ自体は栄養価がすぐれた食材であるので、絶対量に配慮し、バターなどの飽和脂肪酸と一緒に食べないなど食べ合わせる食材とのバランスをとりながら摂取することを提案しました。
■都築先生は、コレステロールの吸収率は個人差が大きいことに留意し、上限が撤廃されても、個々の対策が重要であると注意を促しました。


<トランス脂肪酸について>
■寺本先生は、トランス脂肪酸はビスケットやケーキ、ポップコーンといったものに含まれ、少しずつではあるが、摂取量も増えてきている。トランス脂肪酸自身はLDLコレステロールを上げ、HDLコレステロールを下げるという作用があり、炎症を引き起こしやすいものであるともいわれているので、その摂取は抑えた方がよいと注意喚起されました。
■丸山先生は、トランス脂肪酸のリスクについてのデータはまだ十分ではないが、工業的に作られた食材には注意を払うべきであり、安心なものを手作りすることが対策となると話しました。また、同成分が多く含まれる菓子パンなどを好む、若い世代での健康への影響を懸念しました。

【開催概要】
 
日  時:2015年10月22日(木)13:30~17:00

会  場:日本医師会館 大講堂 (東京都文京区本駒込2-28-16)

テーマ:「脂質の質を考慮した血管管理~健康寿命延伸のために~」

主 催:公益社団法人 日本医師会 公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構

後 援:農林水産省、一般社団法人埼玉県医師会、公益社団法人千葉県医師会、
公益社団法人東京都医師会、公益社団法人神奈川県医師会、
一般社団法人山梨県医師会、一般社団法人日本血栓止血学会、
特定非営利活動法人日本高血圧学会、一般社団法人日本循環器学会、
一般社団法人日本心臓病学会、一般社団法人日本腎臓学会、
一般社団法人日本体力医学会、一般社団法人日本糖尿病学会、
一般社団法人日本動脈硬化学会、一般社団法人日本内科学会、
一般社団法人日本肥満学会、公益社団法人日本栄養士会、
特定非営利活動法人日本栄養改善学会、公益社団法人日本栄養・食糧学会、
一般社団法人日本臨床栄養学会

内  容:・基調講演
講演Ⅰ 健康寿命延伸のための包括的管理
    -動脈硬化の予防を中心に
    帝京大学臨床研究センター センター長     寺本 民生 先生
講演Ⅱ 脂質管理における日本食の意義
    日本女子大学家政学部食物学科 教授      丸山 千寿子 先生
講演Ⅲ  日本食を基盤とした肥満・生活習慣病を防ぐ食事
           東北大学大学院農学研究科食品機能健康科学講座 准教授 
                           都築   毅 先生
講演Ⅳ 動脈硬化の予防と身体活動・運動の効果
     東京医科大学公衆衛生学分野 主任教授    井上  茂 先生

・パネルディスカッション
テーマ:脂質の質を考慮した血管管理-健康寿命延伸のために
座 長:帝京大学臨床研究センター センター長       寺本 民生 先生
パネリスト:
               東京医科大学公衆衛生学分野 主任教授    井上  茂 先生
                 東北大学大学院農学研究科食品機能健康科学講座 准教授
                                                        都築   毅 先生
                 日本女子大学家政学部食物学科 教授   丸山 千寿子 先生
                                                          (50音順) 
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食育健康サミット2014「性・年齢別疾病の発症予防・重症化予防と日本型食生活の役割」 /release/201412106199 Wed, 10 Dec 2014 17:30:09 +0900 米穀安定供給確保支援機構  公益社団法人 日本医師会と公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構は、2014年11月27日(木)に、日本医師会館大講堂(東京・駒込)において、ごはんを主食とした日本型食生活の有用性等について考える「... 公益社団法人 日本医師会
公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構
性・年齢別の栄養状態に応じ、疾病予防につながる
ごはんを主食とした「日本型食生活」を提案
食育健康サミット2014
「性・年齢別疾病の発症予防・重症化予防と日本型食生活の役割」
 公益社団法人 日本医師会と公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構は、2014年11月27日(木)に、日本医師会館大講堂(東京・駒込)において、ごはんを主食とした日本型食生活の有用性等について考える「食育健康サミット」を開催いたしました。

 本サミットは、医師、栄養士等の方々を対象に毎年開催されるもので、本年度は「性・年齢別疾病の発症予防・重症化予防と日本型食生活の役割」をテーマに開催いたしました。神奈川県立保健福祉大学学長・中村 丁次先生他3名の専門家による最新の研究を基にした講演とパネルディスカッションを実施。会場に集まった参加者は、疾病の予防・治療や食事・栄養指導にあたる医師や栄養士等724名で、熱心に講演に耳を傾ける姿が多く見られました。


**テーマ「性・年齢別疾病の発症予防・重症化予防と日本型食生活の役割」**

【講演Ⅰ】
テーマ:生活習慣病の発症予防・重症化予防のための食事処方
    -性・年齢別の栄養問題を踏まえて
講師:神奈川県立保健福祉大学 学長 中村 丁次 先生
 近年、食事の欧米化と運動不足により、肥満や非感染性慢性疾患である生活習慣病が増大している。一方、若年女子や高齢者にやせが出現し、我が国の栄養状態は、過剰栄養と低栄養が混在する「栄養障害の二重負荷」状態になっている。このような中、本年3月に厚生労働省から、国民の健康の保持・増進、生活習慣病の予防のための参照するエネルギー及び栄養素の基準を示す「日本人の食事摂取基準(2015年版)」が公表された。
 今回の改正点として、エネルギーの摂取量及び消費量のバランスの維持を示す指標として、「体格(BMI:body mass index)」と体重変化が採用された。「たんぱく質・脂質・炭水化物」を、「エネルギー産生栄養素」とし、これらの構成成分の総エネルギー摂取量に占めるべき割合(%エネルギー)を示した。これらの栄養素の中で、推奨量が示されているのはたんぱく質だけなので、炭水化物と脂質がエネルギー比率として示されている。低炭水化物食にしても、低脂肪食にしてもおのおの利点と課題がある。
 個々人の栄養状態やリスクを考慮して、個別に対応することと同時に、極端に栄養素バランスを崩さないようにするために、ごはん中心とした日本食を継続することが重要である。

※参考図表は画像欄よりご確認頂けます。

【講演Ⅱ】
テーマ:若い女性のやせ志向と危惧される次世代の生活習慣病リスク
講師:早稲田大学総合研究機構研究院 教授 福岡 秀興 先生
 日本で低出生体重児(出生体重2500g未満の児)の頻度は増加しており(2012年9.6%)、妊婦の栄養状態が劣悪化していると考えられる。実際20歳代、30歳代女性では、やせ(BMI:18.5kg/m2以下)の頻度は高く(2012年:20歳代約22%、30歳代約17%)、一日平均エネルギー摂取量は1700kcal以下と低い。また、妊婦の栄養摂取状況をみると、胎児発育のために多くのエネルギーが必要であるにも関わらず、妊娠前とほぼ同じ少ない量で全期間を推移している方や、遺伝子発現系を制御する栄養素の著しく不足している例も多い。妊娠前の食習慣の重要性を示すものといえる。「小さく産んで大きく育てる」ことが良いとする考え方が今もなおあると伝聞されているが、「望ましくない栄養状態で胎児が発育すると生活習慣病の素因が形成され、運動不足・過栄養やストレス等のマイナスの生活習慣が負荷されることで疾病が発症する。」といわれており、今は次世代の健康が危惧される。
 妊娠前半に炭水化物摂取量が少ない場合は、6歳、9歳での体脂肪量の増加、肥満が起こることも報告され始めており、次世代の健康と疾病予防を考えると、妊娠前から妊娠中のエネルギー、米穀類を含めた栄養の重要性を広く周知・指導していくことが、健康な次世代を確保するために極めて大切である。

【講演Ⅲ】
テーマ:中高年の肥満対策と生活習慣病予防のための食事処方
講師:あいち健康の森健康科学総合センター センター長 津下 一代 先生
 エネルギー収支バランスの維持に着目した「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、50~69歳の中高年のBMIの目標値として、男女ともBMI20.0~24.9kg/m2としている。BMIがこの範囲を超えて大きくなるほど、糖尿病や循環器疾患等の発症率、総死亡率が増加する。
 平成24年国民健康・栄養調査報告によると、中高年男性の約3割、女性の約2割が肥満に該当していた。
 中高年期では筋肉量減少により基礎代謝が減少するだけでなく、生活活動量が減少するためエネルギー消費量が減少し、推定エネルギー必要量は30~40歳代より100kcal低い。しかし、食事摂取量はむしろ20~40歳代よりも50~60歳代の方が50kcal程度高く、結果的にエネルギー過剰となり、脂肪蓄積につながっていると考えられる。
 都市部を対象としたコホート研究では米飯により糖尿病の有病率の増加は見られないこと、米飯を主食として主菜、副菜、汁から構成される和食では、栄養素のバランスがとりやすいことから、メタボリックシンドロームなど肥満の是正が必要な人に対しても、米飯をきちんと食べることにより間食を減らすことができ、減量につながった事例も少なくない。

【講演Ⅳ】
テーマ:高齢者の介護予防・虚弱(フレイル)予防のための食の在り方
講師:名古屋大学大学院医学系研究科地域在宅医療学・老年科学
                          教授 葛谷 雅文 先生
 高度成長期以降、日本での少なくとも成人の栄養の問題は生活習慣病の視点から過栄養がクローズアップされてきた。しかし、今後超高齢社会における栄養の問題は、先の過栄養の問題だけではなく、健康寿命の延伸延長、介護予防の視点から後期高齢者が陥りやすい「低栄養」「栄養欠乏」の問題の重要性が高まっている。
 今後爆発的に増加することが予測されている後期高齢者、超高齢者が要介護状態に陥る原因として、実は脳血管障害ならびに生活習慣病を基盤としたものよりも、むしろ認知症(認知症自体も生活習慣病との関連性が取りざたされてはいるが)、骨折・転倒、衰弱(フレイル・サルコペニア)などの老年症候群に関連する要因が多くなる。これらの老年症候群のうち、栄養状態を保つことにより、要介護に陥る時期を延ばすことができるものがかなり存在する。
日本人が長寿なのは日本食が理にかなった食事のためである、との意見も聞く。米にはもちろん炭水化物だけでなく、良質なたんぱく質やビタミンを含み、副菜との関係で栄養バランスがとりやすい主食である。日本食の健康寿命への影響に関して見直してもよい時期に来ているかもしれない。


**「食育健康サミット2014」開催概要**

日時: 2014年11月27日(木)13:30~17:00

会場: 日本医師会館 大講堂 (東京都文京区本駒込2-28-16)

テーマ:性・年齢別疾病の発症予防・重症化予防と日本型食生活の役割

主催: 公益社団法人 日本医師会 公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構

後援: 農林水産省、一般社団法人埼玉県医師会、公益社団法人千葉県医師会、
    公益社団法人東京都医師会、公益社団法人神奈川県医師会、
    一般社団法人山梨県医師会、一般社団法人日本血栓止血学会、
    特定非営利活動法人日本高血圧学会、一般社団法人日本循環器学会、
    日本心臓病学会、一般社団法人日本腎臓学会、一般社団法人日本糖尿病学会、
    日本DOHaD研究会、一般社団法人日本動脈硬化学会、一般社団法人日本内科学会、
    一般社団法人日本肥満学会、公益社団法人日本栄養士会、
    特定非営利活動法人日本栄養改善学会、公益社団法人日本栄養・食糧学会、
    一般社団法人日本臨床栄養学会

内容: ◆基調講演
     講演Ⅰ 生活習慣病の発症予防・重症化予防のための食事処方
         -性・年齢別の栄養問題を踏まえて
                 神奈川県立保健福祉大学 学長 中村 丁次 先生
     講演Ⅱ 若い女性のやせ志向と危惧される次世代の生活習慣病リスク
              早稲田大学総合研究機構研究院 教授 福岡 秀興 先生
     講演Ⅲ 中高年の肥満対策と生活習慣病予防のための食事処方
        あいち健康の森健康科学総合センター センター長 津下 一代 先生
     講演Ⅳ 高齢者の介護予防・虚弱(フレイル)予防のための食の在り方
           名古屋大学大学院医学系研究科地域在宅医療学・老年科学
                             教授 葛谷 雅文 先生
    ◆パネルディスカッション
     テーマ:性・年齢別疾病の発症予防・重症化予防と日本型食生活の役割
     座長:神奈川県立保健福祉大学 学長 中村 丁次 先生
     パネリスト:
      名古屋大学大学院医学系研究科地域在宅医療学・老年科学
                             教授 葛谷 雅文 先生
        あいち健康の森健康科学総合センター センター長 津下 一代 先生
              早稲田大学総合研究機構研究院 教授 福岡 秀興 先生
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『食育健康サミット2013』に、750名の医師・栄養士等が参加 /release/201312116934 Wed, 11 Dec 2013 14:30:02 +0900 米穀安定供給確保支援機構 公益社団法人 日本医師会と公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構は、2013年12月5日(木)に、日本医師会館大講堂(東京・駒込)において、ごはんを主食とした日本型食生活の生活習慣病予防・治療における有用性等について考える「食育健康サミット」を開催いたしました。 公益社団法人 日本医師会
公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構
肥満、生活習慣病の専門家4名が登壇
日本糖尿病学会のガイドラインを基に、
日本人に適した「ごはんを主食とした食生活」を提案
『食育健康サミット2013』に、750名の医師・栄養士等が参加
テーマ:肥満、生活習慣病の予防・改善と食事処方-日本型食生活の意義-
◇日  時:12月5日(木)13:30~17:00
◇会  場:日本医師会館 大講堂 (東京都文京区本駒込2-28-16)
公益社団法人 日本医師会と公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構は、2013年12月5日(木)に、日本医師会館大講堂(東京・駒込)において、ごはんを主食とした日本型食生活の生活習慣病予防・治療における有用性等について考える「食育健康サミット」を開催いたしました。

本サミットは、医師、栄養士等の方々を対象に毎年開催されるもので、本年度は「肥満、生活習慣病の予防・改善と食事処方-日本型食生活の意義-」をテーマに開催いたしました。帝京大学臨床研究センターセンター長・寺本 民生先生他3名の専門家による最新の研究を基にした講演とパネルディスカッションを実施。会場に集まった参加者は、肥満や生活習慣病の治療にあたる医師や栄養士等750名で、熱心に講演に耳を傾ける姿が多く見られました。

テーマ「肥満、生活習慣病の予防・改善と食事処方-日本型食生活の意義-」について
国民健康・栄養調査によると、男性の3割、女性の2割は肥満という結果がでています。肥満は各種生活習慣病の発症要因の1つであり、脂質異常症や糖尿病、高血圧症などの生活習慣病は、さらに生活機能の低下をもたらす重症化のリスクを抱えています。
肥満やこれら生活習慣病の増加には、運動不足とともに、日本人の食生活の変化、とりわけ食生活の欧米化が強く関わっていると考えられます。
そこで、今回は、日本糖尿病学会が本年3月に発表した「日本人の糖尿病の食事療法」をもとに、炭水化物(糖質)と脂質の摂取バランスの観点から日本人にふさわしい、肥満・脂質異常症・糖尿病予防のための食事処方と肥満是正のための運動処方を取り上げ、ごはんを主食とした日本型食生活の意義について考えました。

【基調講演】

4名の専門家に、肥満、生活習慣病の予防・改善について、各分野における最新の研究結果をもとに、栄養指導・運動指導に有用な情報をご紹介いただきました。

講演Ⅰ
テーマ:脂質異常症の治療・予防のための生活習慣の改善
     -動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012に基づいて-
講 師:帝京大学臨床研究センター センター長  寺本 民生先生
内 容:脳血管疾患は、介護の状態を招く原因の第一位。そのため動脈硬化の予防・改善は重要である。治療の柱はLDLコレステロール値の低減と肥満の改善で、不飽和脂肪酸とコレステロールの摂取量抑制がポイントとなる。
日本動脈硬化学会では、食事処方に日本の伝統食(The Japan Diet)を推奨している。エネルギーやコレステロールを低減できるだけでなく、伝統的な和食食材の魚や大豆製品には心筋梗塞発症率を下げる効果もあり、和食の素晴らしさを再確認していただきたい。
今後、生活習慣病の改善には、社会システムによるサポートも重要になるだろう。どんな食事を食べたらどのような効果があるのか、エビデンスのある情報提供を行い、効果的な治療・予防を進めていただきたい。

講演Ⅱ
テーマ:糖尿病の予防・治療のための食事の在り方とその課題
     -2型糖尿病における日本人の食事療法の意義を踏まえて-
講 師:東京慈恵会医科大学内科学講座 糖尿病・代謝・内分泌内科  主任教授   宇都宮 一典先生
内 容:糖尿病は合併症を引き起こす疾病、すなわち慢性的な多臓器不全に至るもので、これを阻止することが治療の最大の目標である。食事療法の課題は、日本人の食嗜好が多様化し、病態も欧米化していることであり、個別化した対応が今後ますます必要とされる。
食事処方では、適正なエネルギーと栄養素の充足が原則で、それを継続して実行するにはごはんを主食とした伝統食が最も適する。極端な炭水化物制限食は、有効性ならびに安全性ともに多くの懸念があり、日本糖尿病学会の声明では注意を喚起している。今後、患者の嗜好や病態の変化にも柔軟に対応しつつ、食事療法の在り方について考えていきたい。

講演Ⅲ
テーマ:肥満 特に内臓脂肪蓄積型肥満是正のための食事管理
講 師:公益財団法人結核予防会新山手病院生活習慣病センター センター長  宮崎 滋先生
内 容:肥満症は健康に深刻な影響を与え、BMI値25以上になると死亡率が上昇し、糖尿病、高血圧症を招く。最近の研究ではがんを罹患しやすいこともわかってきた。治療のターゲットは内臓脂肪で、食事と運動による減量を指示する。3%程度の減量でも、さまざまな健康の指標となる数値が改善されるので、ぜひ食事内容の改善や、朝食を食べる、早食いをしないなど食べ方を再考してほしい。
指導で推奨するのは、伝統的な和食。「ごはん+一汁三菜」の組み合わせは、低エネルギ
ーで栄養のバランスがよい。また、魚や野菜、植物性たんぱく質と組み合わせ、バリエーションに富んだ食事がとれる。肥満予防・改善のために、ごはんを主食とした日本の食文化を再評価していただきたい。

講演Ⅳ
テーマ:肥満 特に内臓脂肪蓄積型肥満是正のための運動の理論と実際
講 師:慶應義塾大学スポーツ医学研究センター教授  勝川 史憲先生
内 容: 肥満症の改善には、食事と同様に運動も効果を上げる。「毎日60分×中強度」で運動すると、減量した体重を維持でき、生活習慣病のリスクを低減できる。実際の指導は、最初はウォーキングを推奨する。息がはずみ汗ばむようなペースで歩くよう指示する。ただ、歩行だけでは継続が難しく、楽しみや目標につながる動機づけも重要である。
1960年以降に生まれた世代は食の欧米化が進み、肥満のプロフィールも上の世代と異なっている。ごはんを主食とする日本型食生活は、必要栄養素を充足し、なおかつエネルギー必要量まで余裕を持たせることができ、その余裕分を好きな食事に充てる「自由裁量カロリー」を得ることができる。運動と日本型食生活の組み合わせは、肥満や栄養素不足の予防に有用である。

【パネルディスカッション】 

「肥満、生活習慣病の予防・改善と食事処方-日本型食生活の意義-」をテーマにしたパネルディスカッションは、参加者から寄せられた質問に4名の先生がそれぞれの分野の知見に基づき回答をするスタイルで討議を進行しました。
中でも、昨今、話題になっている低炭水化物の食事処方についての質問が多かったことから、時間を割いて、以下のような説明や意見交換が行われました。

<低炭水化物の食事処方>
■宇都宮先生は、糖尿病治療の立場から、食事療法は、まず、総エネルギーの適正化であることが大切で、これに配慮せず、炭水化物のみを極端に制限することは推奨できないと発言されました。さらに、その結果生じる高たんぱく・高脂質食がもたらす身体への悪影響、継続が難しい点も指摘されました。ただし、適正なエネルギーを図るために、柔軟に対応してよいとの説明がありました。
■続いて、宮崎先生からは、肥満症治療の立場から、食事における「おかず」の比率が増えていることがエネルギーの過剰摂取につながっていると指摘。摂取エネルギーの調整には、主食である「ごはん」の量を抑えるのではなく、おかずの量と質の再考によるバランス調整が必要との提案がなされました。
■勝川先生は、減量体重の長期維持者の食事が低脂肪食であるというエビデンスを示した上で、日本でのデータが乏しいことを指摘され、今後の研究が課題であると説明されました。

<食事指導のポイント>
■宇都宮先生からは、食事処方をする際は、エネルギーや栄養素量だけでなく、患者や家族の食の嗜好を理解し、食を楽しめるように個別の対応をすることが大切であるとの提案がありました。
■宮崎先生からは、継続性を重視した処方を行うこと、また、ソーシャルサポート(医療者からの情報提供など)の必要性が強調されました。
■勝川先生は、減量の見通し(大幅な減量は必要ないこと,むしろ減量体重の維持が大切)を伝える重要性を説明。減量の維持継続には、運動は楽しさそれ自体を目的にすることが大切であり、運動と併せて食事(おいしい/食欲を満たす/調理が簡単/バリエーション豊富な日本型の食生活)による体重管理を行うことを勧められました。

<ごはんを主食にした和食の価値の再確認>
最後に座長の寺本先生から、本サミットのまとめとして、食の欧米化を背景とする、肥満や生活習慣病を予防・改善するために、「日本の伝統の食文化を基軸とした栄養指導」の提案がなされました。
「和食」が12月4日にユネスコの無形文化遺産に指定された折でもあり、ごはんを主食とする和食の価値(低脂肪/バリエーションが豊富で、バランスよく栄養が摂取できる/生活習慣病予防効果のある魚や大豆食品と合わせやすい など)を再認識する機会でもあると語られました。また、和食を基軸としながら、時代の変化とともに多様化する食の嗜好性にも柔軟に対応し、楽しみのある食事処方を患者とともに実現していくことが提案されました。

【開催概要】
日  時:2013年12月5日(木)13:30~17:00

会  場:日本医師会館 大講堂 (東京都文京区本駒込2-28-16)

テーマ:肥満、生活習慣病の予防・改善と食事処方-日本型食生活の意義-

主 催:公益社団法人 日本医師会 公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構

後 援:
農林水産省 一般社団法人埼玉県医師会 公益社団法人千葉県医師会
公益社団法人東京都医師会 公益社団法人神奈川県医師会 社団法人山梨県医師会 
特定非営利活動法人日本高血圧学会 一般社団法人日本循環器学会 
一般社団法人日本腎臓学会 一般社団法人日本糖尿病学会 
一般社団法人日本動脈硬化学会 一般社団法人日本内科学会 
一般社団法人日本血栓止血学会 日本心臓病学会 一般社団法人日本肥満学会
公益社団法人日本栄養士会 公益社団法人日本栄養・食糧学会 
特定非営利活動法人日本栄養改善学会 一般社団法人日本臨床栄養学会

内  容:
・基調講演
 講演Ⅰ 脂質異常症の治療・予防のための生活習慣の改善
 -動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012に基づいて-
 帝京大学臨床研究センターセンター長 寺本 民生先生

 講演Ⅱ 糖尿病の予防・治療のための食事の在り方とその課題
 -2型糖尿病における日本人の食事療法の意義を踏まえて-
 東京慈恵会医科大学内科学講座 糖尿病・代謝・内分泌内科 主任教授 宇都宮 一 典先生

 講演Ⅲ 肥満 特に内臓脂肪蓄積型肥満是正のための食事管理
 公益財団法人結核予防会新山手病院生活習慣病センター センター長 宮崎 滋先生

 講演Ⅳ 肥満 特に内臓脂肪蓄積型肥満是正のための運動の理論と実際
 慶應義塾大学スポーツ医学研究センター教授  勝川 史憲先生

・パネルディスカッション
 テーマ:肥満、生活習慣病の予防・改善と食事処方-日本型食生活の意義-
 座 長:帝京大学臨床研究センターセンター長 寺本 民生先生
 パネリスト:
   東京慈恵会医科大学内科学講座 糖尿病・代謝・内分泌内科主任教授  宇都宮 一典先生
   慶應義塾大学スポーツ医学研究センター教授 勝川 史憲先生
 公益財団法人結核予防会新山手病院生活習慣病センター センター長  宮崎  滋先生
                                                               (50音順)
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