法人別リリース Tue, 10 Dec 2024 15:30:00 +0900 hourly 1 誰も取り残さない社会をテーマにクリスマス特別イベントを12月21日に開催盲導犬の里富士ハーネス /release/202412081309 Tue, 10 Dec 2024 15:30:00 +0900 日本盲導犬協会 公益財団法人日本盲導犬協会(理事長:金髙雅仁)は、日本盲導犬総合センター(以後、富士ハーネス)にて冬の特別イベント「富士ハーネスクリスマスナイト2024」を開催します。 「誰も取り残さない社会」をテー...  


公益財団法人日本盲導犬協会(理事長:金髙雅仁)は、日本盲導犬総合センター(以後、富士ハーネス)にて冬の特別イベント「富士ハーネスクリスマスナイト2024」を開催します。
 
「誰も取り残さない社会」をテーマに、盲導犬や視覚障害に関する特別デモンストレーションのほか、参加者が自らが作成したスカイランタンを富士ハーネスの夜空に向かって打ち上げます。また、当日は公募で集めたクリスマスツリーの展示、各種キッチンカーの出店などもあります。誰もが気軽に参加でき、SNSユーザーや写真家の皆さんにもピッタリなイベントです。
 
このイベントを通して、多くの方が富士ハーネスへ足を運び、盲導犬や視覚障害に関して興味を持っていただけることを期待します。ぜひ、多くの皆様にご参加いただけるよう、イベント告知や取材をお願い致します。
 
富士ハーネスクリスマスナイト2024
■日時:2024年12月21日(土)10:00~18:00 ※17:00スカイランタン打ち上げ
■開催場所
日本盲導犬総合センター 盲導犬の里 富士ハーネス(静岡県富士宮市人穴381)
■入場料:無料 ※どなたでもご参加いただけます。途中入退場可能。
■詳細内容
10:00 開館 
11:00~11:40 盲導犬デモンストレーション&施設ガイド
12:00~16:30 スカイランタンを作ろう!
14:00~14:40 盲導犬デモンストレーション&施設ガイド
16:30~17:00 打ち上げ前特別デモンストレーション
17:00~17:10 スカイランタン打ち上げ式
18:00 閉館
■イベント特設サイト
https://www.moudouken.net/fuji-harness/event/article/winter-event2024/
 
協力:日本スカイランタン協会® 使用許可番号JSA045278S
日本スカイランタン協会®様より本催事および活動にご協力を頂きました。
※日本スカイランタン協会®は株式会社エクスプラウド®の登録商標です。
公式サイト:https://www.skylanternassociation.com/
 
 
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日本盲導犬協会が事業従事者の認識を初調査~盲導犬ユーザーを「受け入れる」意思を持つ人は半数にとどまる /release/202412081306 Mon, 09 Dec 2024 13:00:00 +0900 日本盲導犬協会 2023年、公益財団法人日本盲導犬協会(理事長:金髙雅仁)が、盲導犬使用者(以下、ユーザー)237人を対象に実施したアンケートにおいて、この1年間での「盲導犬同伴での受け入れ拒否の有無」について聞いた... 公益財団法人 日本盲導犬協会


 2023年、公益財団法人日本盲導犬協会(理事長:金髙雅仁)が、盲導犬使用者(以下、ユーザー)237人を対象に実施したアンケートにおいて、この1年間での「盲導犬同伴での受け入れ拒否の有無」について聞いたところ、「受け入れ拒否にあった」と回答したユーザーが103人、延べ208件の拒否が発生していることがわかりました。具体的な発生場所としては、飲食店が最多で、次いで交通機関、宿泊施設と続き、多くのユーザーが活動の制限を受けている現状があります。 
 こうした受け入れ拒否の原因を探るため、日本盲導犬協会では、2024年8月に、事業所で働く従業員を対象にした『盲導犬および視覚障害に関する意識調査』を実施しました。法律の認知度、受け入れへの意識、視覚障害に対する認識などを聞く中で、受け入れ拒否につながる要因も見えてきました。 
本報告では、47項目に及ぶアンケート結果の中から、データを抜粋して報告します。
 
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【調査概要】
・調査名:盲導犬および視覚障害に関する意識調査 
・調査対象:下記のいずれかの業種に従事する全国の20~79歳の男女 
飲食業/宿泊業/医療業/小売業/不動産賃貸業/生活関連サービス・娯楽業/交通機関(タクシー、バス、鉄道/その他) 
・地域:47都道府県 
・調査方法:インターネット(オンライン)調査 
・スクリーニング調査 有効回答数:約15,000人 
・本調査 有効回答数:975人 
※全国15,000人にスクリーニング調査を行い、うち975人分の回答を有効回答として分析。
※各業種一定のサンプル数を確保するため、均等回収に近い形で回収を実施。 
・質問内容:アンケート47項目 
・回収期間:2024年8月28日~9月2日 
・実施機関:株式会社Quest Research 
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結果1.法律の認識不足で盲導犬受け入れに不安の声、約7割が法律を知らず4割が受け入れを躊躇   2002年5月に成立した身体障害者補助犬法(以下、補助犬法)では、障害者の自立と社会参加を促進するために、不特定多数の人が利用する施設、乗り物において、盲導犬同伴での利用を受け入れることが義務付けられています。そこで補助犬法の認知を聞いてみたところ、全体の66.9%が「補助犬法の存在を知らない」と回答しました。「補助犬法の存在を知っており、法律の内容もほぼ理解している」という回答は、交通機関(鉄道)を除きすべての業種で1割を下回りました。(図1) 

 
 また、盲導犬同伴での利用を拒否することは、障害者差別解消法(以下、差別解消法)における、「障害を理由とする差別的取り扱い」に該当し禁止されていますが、差別解消法の認知についても、全体の70.5%が「差別解消法を知らない」と回答しました。「差別解消法の存在を知っており、法律の内容をほぼ理解している」という回答は、補助犬法同様どの業種も1割を下回り、いずれの法律も認知が進んでいないことが明らかになりました。(図2) 

 
 さらに、受け入れに対する意識について聞いたところ、補助犬法で盲導犬同伴での利用が義務付けられていることについて、全体の77.5%が「賛成」と回答し、いずれの業種も「賛成」の回答が7割を上回りました。(図3) 

 
 「盲導犬同伴での利用を拒むことが、不当な差別的取扱いに該当すると思うか」という質問でも、全体の68.5%が差別に「該当する」と回答し、小売業を除く業種で6割を上回りました。(図4)  

 
 しかし、今後ユーザーの利用を受け入れるかを聞いてみたところ、「受け入れる」という回答は全体の52.6%にとどまり、6.7%が「受け入れない」、40.7%が「どちらとも言えない」と回答しました。飲食業、医療業、小売業、不動産賃貸業、生活関連サービス・娯楽業の5業種で「受け入れる」の回答が5割を下回り、「受け入れる」の割合がもっと高かった交通機関(鉄道)でも65.9%にとどまりました。(図5)

 
 
考察1  法律の認知度が低くとどまる中で、盲導犬同伴での利用には回答者の多くが賛同し、受け入れ拒否は「差別に該当する」と認識していました。その一方で、実際に受け入れる意思を持つ人は約半数にとどまり、理解はしているものの躊躇している様子がうかがえます。受け入れる意思が半数にとどまる要因はなにか?この要因を紐解くことが受け入れ拒否の解消につながると考えます。 
 
 
結果2.盲導犬受け入れが進まない背景に、知識不足が影響しているか   盲導犬同伴での入店、入場を「受け入れない」とする背景に何があるのかを探るため、盲導犬に対するイメージについて具体的に聞いてみました。
 
 「盲導犬が入ることは不衛生だ」、「邪魔だ」、「周りのお客様に迷惑だ」で、飲食業の「とてもそう思う/ややそう思う」の回答がそれぞれ25~29%と最も多く、「盲導犬が座っていたり待機したりしていた場所が汚れる」は、生活関連サービス・娯楽業の16.3%、「畳や床を傷つける」は、宿泊業の18.1%が最も多い結果となりました。(図6-1,2,3,4,5)





 
 盲導犬が自分の隣にいたらどう思うかの自由回答においても、「食品を扱っているので心配」「噛んだり吠えたりされるのではないかと不安」「アレルギーの人に迷惑がかかると思う」という回答があり、業種別に差はあるものの、盲導犬を受け入れることに対して、何かしらの不安を抱いていることがうかがえました。
ユーザーは、訓練でブラッシングやシャンプーなどの犬の衛生管理のスキルを習得し、排泄を含む行動管理を適切に行っています。しかし、ユーザーに、犬を管理する義務があることを知らない人は全体の74.7%にのぼりました。(図7)

 
 
考察2  盲導犬に対して「施設を汚す」「他のお客様の邪魔になる」など負のイメージや不安を抱いている人が一定数いることがうかがえます。その結果、盲導犬同伴での利用を受け入れると施設や利用者に悪影響を及ぼすと懸念し、受け入れに消極的になっていることが推測されます。そうした負のイメージや不安を払しょくするために、犬に対するユーザーの管理義務やそのスキルを理解してもらうことが必要です。
さらには、実際に受け入れがスムースにいったケースや、同業者の事例を伝えることで、具体的な対応をイメージできるようになり、受け入れに対する不安を軽減できるのではないかと考えます。 
 
 
結果3. 視覚障害者への接客にも高いハードルが   今年4月の改正障害者差別解消法の施行により、民間事業者における合理的配慮の提供が「努力義務」から「義務」へ変わりました。ユーザーをはじめとする視覚障害者が社会参加をする上で生じる「障壁(バリア)」を取り除くために、「見えない・見えにくい」ことに対する正しい理解がより一層求められる中、視覚障害者をどのようにとらえているか詳しく聞いてみました。 
 
 まずは、視覚障害者に対する認識に関して、「視覚障害者の見えにくさが人により異なることを知っているか」を聞いたところ、全体の65.6%が「知っている」と回答しました。(図8)

 
 「視覚障害者全員が点字を読めるわけではない、ということを知っているか」を聞いたところ、全体の51.1%が「知っている」と回答しました。 (図9)

 
 また、盲導犬ユーザーや視覚障害者への「接客」について、「誘導(席や目的地などへ)」に対して懸念を抱いている回答者は、小売業が35.3%と最も高く、生活関連サービス・娯楽業が31.8%と続きました。(図10-1)

 
 「情報提供(商品・サービスの説明など)」に対して懸念を抱いている回答者は、生活関連サービス・娯楽業が35.5%と最も高く、小売業が33.6%と続き、「コミュニケーション」に対する懸念も同様に、生活関連サービス・娯楽業が31.8%と最も高く、不動産賃貸業が28.8%と続きました。(図10-2,3)
 

 

 
 
 「勤め先が視覚障害のお客様が利用しやすい場所だと思いますか」という質問では、全体の68.7%が「利用しやすいと思わない」と回答しました。(図11)

 
 その理由としては、「段差が多い」「バリアフリーではない」「売り場の通路に物が多く置かれている」といった誘導への懸念と思われる意見や、「目が見えることを前提としたポップや説明書を使用している」「商品の販売が券売機で視覚障害者対応でないため」といった情報提供への懸念が多く見られました。
 「そもそも視覚障害者が利用したことがない」という回答もあり、実際にユーザーが施設を利用したことがあるかを聞いてみたところ、全体の81.7%が「ユーザーの利用経験がない」と回答しました。「ユーザーの利用経験がある」と回答した人を業種別で見てみると、交通機関(鉄道)が最も高く56.1%、次いで交通機関(タクシー)の32.4%、交通機関(バス)の30.0%と続きました。(図12)

 
 
考察3  視覚障害者に接する機会の少なさ、それに伴う自身の接客スキルへの不安、さらには、職場の広さや設備といった環境面の課題も加わって、一定数の人が、視覚障害者への接客に対して高いハードルを感じていることがわかりました。視覚障害への理解を深める機会、誘導方法などのスキルを習得する機会があれば、不安の軽減につながるのではないかと考えます。 
 
 
まとめ   今回の調査結果から、盲導犬同伴の視覚障害者を拒否してしまう要因として、法律が十分に認知されていないことや、盲導犬に対する負のイメージが一定数存在することが明らかになりました。
さらには、視覚障害者への接客対応についても、知識や経験の不足から生じる不安があることが見えてきました。「そういったお客様への接客の仕方について、会社としてのマニュアルがない」、「対象のお客様に対する社員教育がない」といった意見もあり、現場の従業員が不安を抱えたまま自己判断で対応せざるを得ない現状があるのかもしれません。 
 これらの不安を解消するために、盲導犬や視覚障害に関する正しい情報を、受け入れ事業者の従業員にまで届けることが急務です。今後も日本盲導犬協会では、様々な形の広報活動を展開し、より広く、多くの人に情報を発信していきます。 

 
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 日本盲導犬協会では、事業者への理解促進のための取り組みを拡充すべく、「盲導犬ユーザー受け入れ・接客セミナー」のオンデマンド配信をはじめました。セミナー動画は、当協会YouTubeチャンネルにて限定配信しています。
●盲導犬ユーザー受け入れ・接客セミナー(基礎編) 
内容:盲導犬・視覚障害について、身体障害者補助犬法と盲導犬ユーザーの受け入れについて 
●盲導犬ユーザー受け入れ・接客セミナー(応用編) 
内容:障害者差別解消法について、盲導犬ユーザー・視覚障害者への接客・誘導の具体例の紹介 
※応用編は業種別(商業施設・小売店、医療機関、宿泊施設、タクシー)に動画があります。 
 
視聴をご希望の場合は、以下HPの申込フォームより、お問い合わせください。
https://www.moudouken.net/news/article/241128/
 
また、将来的に受け入れ拒否をゼロにしていくためには、事業者への取り組みだけでなく、未来を担う子供たちへの教育も重要と考え、2023年から、盲導犬子ども向け動画サイト『にちもうジュニア』をオープンし、子供たちがいつでもどこでも気軽に学べる環境を整えました。 
この度、『にちもうジュニア』にて、新たに11本の動画を公開しました。すでに公開されている盲導犬についての動画などに加え、盲導犬の一生・視覚障害・訓練士の仕事・ボランティアについてなど、誰でもわかりやすい動画です。
●盲導犬子ども向け動画サイト『にちもうジュニア』

 
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「誰も取り残さない社会」をテーマに クリスマス特別イベントを12月21日に開催 盲導犬の里 富士ハーネス /release/202412081311 Mon, 09 Dec 2024 12:19:18 +0900 日本盲導犬協会 公益財団法人日本盲導犬協会(理事長:金髙雅仁)は、日本盲導犬総合センター(以後、富士ハーネス)にて冬の特別イベント「富士ハーネスクリスマスナイト2024」を開催します。 「誰も取り残さない社会」をテー...  
公益財団法人日本盲導犬協会(理事長:金髙雅仁)は、日本盲導犬総合センター(以後、富士ハーネス)にて冬の特別イベント「富士ハーネスクリスマスナイト2024」を開催します。
 
「誰も取り残さない社会」をテーマに、盲導犬や視覚障害に関する特別デモンストレーションのほか、参加者が自らが作成したLEDスカイランタン®を富士ハーネスの夜空に向かって打ち上げます。また、当日は公募で集めたクリスマスツリーの展示、各種キッチンカーの出店などもあります。誰もが気軽に参加でき、SNSユーザーや写真家の皆さんにもピッタリなイベントです。
 
このイベントを通して、多くの方が富士ハーネスへ足を運び、盲導犬や視覚障害に関して興味を持っていただけることを期待します。ぜひ、多くの皆様にご参加いただけるよう、イベント告知や取材をお願い致します。
 
富士ハーネスクリスマスナイト2024
■日時:2024年12月21日(土)10:00~18:00 ※17:00スカイランタン®打ち上げ
■開催場所
日本盲導犬総合センター 盲導犬の里 富士ハーネス(静岡県富士宮市人穴381)
■入場料:無料 ※どなたでもご参加いただけます。途中入退場可能。
■詳細内容
10:00 開館 
11:00~11:40 盲導犬デモンストレーション&施設ガイド
12:00~16:30 スカイランタン®を作ろう!
14:00~14:40 盲導犬デモンストレーション&施設ガイド
16:30~17:00 打ち上げ前特別デモンストレーション
17:00~17:10 スカイランタン®打ち上げ式
18:00 閉館
■イベント特設サイト
https://www.moudouken.net/fuji-harness/event/article/winter-event2024/
 
協力:日本スカイランタン協会® 使用許可番号JSA045278S
日本スカイランタン協会®様より本催事および活動にご協力を頂きました。
※スカイランタン®は日本スカイランタン協会®を主催する株式会社エクスプラウドの登録商標です。
公式サイト:https://www.skylanternassociation.com/
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視覚障害者の安全な外出をテーマに夏特別イベント 富士ハーネスサマーミーティング2024を開催 /release/202407254189 Fri, 26 Jul 2024 13:30:00 +0900 日本盲導犬協会 公益財団法人 日本盲導犬協会(金髙雅仁理事長)は、「誰もが暮らしやすい社会づくり」を目指し、日本盲導犬総合センター(以後、富士ハーネス)にて夏の特別イベントを開催します。『視覚障害者の安全な外出』を...
公益財団法人 日本盲導犬協会(金髙雅仁理事長)は、「誰もが暮らしやすい社会づくり」を目指し、日本盲導犬総合センター(以後、富士ハーネス)にて夏の特別イベントを開催します。『視覚障害者の安全な外出』をテーマに、公的機関や専門企業・団体を招き、盲導犬や視覚障害について学べるスペシャルイベント「富士ハーネスサマーミーティング2024」を開催します。
 
スペシャルイベント当日は、盲導犬や視覚障害などに興味がある方ない方関係なく、気軽に参加できる様々なイベントやブースを用意しています。
視覚障害者の外出にもつながる、国内オートバイメーカーのバイク車両展示や、クライミング映画の無料上映、映画視聴者限定のキャンプなど、アウトドア好きな方にももってこいのイベントです。
 
このイベントを通して、多くの方が富士ハーネスへ足を運んでくれることを期待します。ぜひ、多くの皆様にご参加いただけるよう、イベント告知や取材をお願い致します。
 
富士ハーネスサマーミーティング2024
■日時:2024年8月10日(土)~11日(日)
■開催場所
日本盲導犬総合センター 盲導犬の里 富士ハーネス(静岡県富士宮市人穴381)
■入場料:無料 ※どなたでもご参加いただけます。途中入退場可能。
■詳細内容
①地元警察、映画出演者、国内オートバイメーカーとの特別デモンストレーション
②「ライフ・イズ・クライミング!※」の無料上映(※各回50名限定、事前予約)
※全盲でクライマーの小林幸一郎さんと、そのサイトガイドである鈴木直哉さんが主演の、クライミングロードムービー
③今夏リニューアルした、富士ハーネス内の展示見学(常時可能)
④国内オートバイメーカーによる、バイクの展示会、写真撮影
⑤視覚障害者向け、補助輪付きオートバイの展示、写真撮影
⑥食事提供(キッチンカー) など
 
■駐車場:100台程度
■協力企業・団体
・富士宮警察署交通課
・NPO法人モンキーマジック
・株式会社桜井ホンダ
・ヤマハ発動機販売株式会社
・一般社団法人SSP
・各種キッチンカー 等
 

詳細→ https://www.moudouken.net/fuji-harness/event/article/summer-event2024/
 
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日本盲導犬協会が『歩行訓練事業助成金交付』事業を開始 /release/202407173703 Thu, 18 Jul 2024 10:00:00 +0900 日本盲導犬協会    公益財団法人 日本盲導犬協会(金髙雅仁理事長)は、「目の見えない人、見えにくい人が、行きたい時に、行きたい場所へ行くことができるように、私たちは、安全で快適な盲導犬との歩行を提供します」を使命... 公益財団法人 日本盲導犬協会

 
 公益財団法人 日本盲導犬協会(金髙雅仁理事長)は、「目の見えない人、見えにくい人が、行きたい時に、行きたい場所へ行くことができるように、私たちは、安全で快適な盲導犬との歩行を提供します」を使命とし、半世紀以上にわたり盲導犬育成事業を通じて視覚障害者の自立支援に貢献してきました。
 このたび当協会では『歩行訓練事業助成金交付』事業を開始することとなり、7月1日から、2025年度交付分の申請受付を開始しました。この助成金制度は、将来盲導犬を使用することで更なる社会参加と自立促進が期待される視覚障害者に、白杖等の歩行訓練を行う事業者を後押しするものです。
 人生半ばで視覚障害が生じた人にとって、早い段階で白杖歩行訓練などの支援を受けることは、その後の生活の質の維持につながります。しかし、そうした福祉サービスを提供する事業者の財源や人材の不足などから、歩行訓練を希望する視覚障害者へ十分な訓練が提供できていない現状があります。
 盲導犬ユーザーの場合も、多くは白杖での歩行を経験した後で盲導犬取得に至っていますが、「もっと早く白杖や盲導犬等の支援情報を知りたかった」という声が少なくありません。
 協会では、必要とする視覚障害者に支援情報を届けられるよう活動すると同時に、本助成金を活用して一人でも多くの視覚障害者が歩行訓練を受けられるようになることを願っています。単独で歩行できる視覚障害者が増加することで、潜在的な盲導犬へのニーズが拡大していくことも期待しています。
  協会の新たな事業を紹介いただき、助成金公募の情報を広く報道いただけますよう宜しくお願いいたします。
 
 
 
募集期間 2024年7月1日から2024年9月30日まで(当日消印有効)
 
 
応募対象 視覚障害者の自立支援活動等を行う非営利の民間団体もしくは個人
 
 
対象となる事業 ・2025年4月1日から2026年3月31日までの事業
・視覚障害者への生活訓練等指導者養成課程等を履修した者が行う白杖等の歩行訓練事業で、国内で行うもの
 
 
■詳細は下記協会公式ホームページより、ご確認いただけます。

 
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【公益財団法人 日本盲導犬協会】理事長交代のお知らせ /release/202406132157 Mon, 17 Jun 2024 10:00:00 +0900 日本盲導犬協会 公益財団法人 日本盲導犬協会(横浜市港北区)は、2024年6月14日付で、前理事長の井上幸彦が退任し、同日付で、金髙雅仁が理事長に就任したことをお知らせいたします。       【公益財団法人 日本... 日本盲導犬協会
公益財団法人 日本盲導犬協会(横浜市港北区)は、2024年6月14日付で、前理事長の井上幸彦が退任し、同日付で、金髙雅仁が理事長に就任したことをお知らせいたします。
 
 
 
【公益財団法人 日本盲導犬協会 新 理事長】
 
 1.就任日: 2024年6月14日付
 
 2.氏名:  金髙 雅仁(かねたか まさひと)
 
 
 
新役員の詳細については、下記よりご確認いただけます。
公益財団法人 日本盲導犬協会 役員名簿
https://www.moudouken.net/about/financial-info/
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【国際盲導犬の日】 持続可能な盲導犬育成事業へ向け    「飼育ボランティア」の安定確保が課題に /release/202404239874 Wed, 24 Apr 2024 10:00:00 +0900 日本盲導犬協会  公益財団法人 日本盲導犬協会(井上幸彦理事長)は、目の見えない人、見えにくい人が、行きたい時に、行きたい場所へ行くことができるように、盲導犬との安全で快適な歩行を提供しています。  日本国内には8... 日本盲導犬協会
 公益財団法人 日本盲導犬協会(井上幸彦理事長)は、目の見えない人、見えにくい人が、行きたい時に、行きたい場所へ行くことができるように、盲導犬との安全で快適な歩行を提供しています。
 日本国内には836頭(2023年3月末現在)の盲導犬が活動していて、昨年度協会では、新たに34頭の盲導犬を送りだしました。その育成は多くのボランティアによって支えられていて、協会では現在およそ3,000人が活動しています。しかし、盲導犬候補の子犬や盲導犬の親犬、また盲導犬を引退した犬たちなどを家庭で飼育する「飼育ボランティア」の数は、決して十分とはいえません。更には、盲導犬には向かないと判断された犬たち(キャリアチェンジ犬)を引き取り、家庭犬として飼育するボランティアも必要です。
 こうした飼育ボランティアへの申し込みは一定数あるものの、協会の方針に沿って実際に飼育をお願いできる家庭は、減少しているのが実情です。見えない人、見えにくい人を誰一人取り残さない、持続可能な盲導犬育成事業へ向け、協会では、ボランティアへの協力を広く呼びかけています。ぜひ実情を取材し、報道していただけますようお願いいたします。
 

盲導犬引退犬(左)、キャリアチェンジ犬(右)と暮らすボランティア家族。
「犬たちとの生活は、大変なことよりも楽しいことの方が多いです」
 
 
 
盲導犬の一生に関わる飼育ボランティア  犬の成長過程に沿って、以下のように様々な飼育ボランティアが関わっています。

 
■ボランティアが飼育する犬の頭数(2024年4月現在)
繁殖犬 48頭 盲導犬候補の子犬 90頭 盲導犬・繁殖犬の引退犬 238頭 PR犬(盲導犬についての広報活動を協会職員と行う) 11頭 キャリアチェンジ犬 799頭  
 
「犬たちの尊厳」を重んじて、最善の飼育環境を模索する  日本盲導犬協会では、盲導犬としての資質をもつ親犬(繁殖犬)から、毎年100頭前後の盲導犬候補の子犬が誕生します。生後2か月から1歳前後まで、パピーウォーカー(以降、PW)の家庭で飼育され、人間社会で暮らしていくルールなどを学んでいきます。
 1歳になって訓練を開始しますが、すべての犬が盲導犬になるわけではありません。性格や健康面などの理由から、盲導犬に向かないと判断されるキャリアチェンジ犬(以降、CC犬)は年間に4~50頭いて、一般のご家庭に譲渡しています。
 協会では、育成方針や動物福祉の観点から、協力いただく飼育ボランティアについて、一定の条件を定めています。動物福祉に基づいて行われる盲導犬育成事業において、1頭1頭の犬に尊厳をもって対応することは、重要な理念です。飼育をお願いした家庭で、犬が生涯を通して安心して過ごすことができるのかを、しっかりと見極めます。犬だけでなく、ボランティアの方の思いも大切にしなければなりません。
 CC犬をボランティアに譲渡する際には、犬の性格に合った家庭をマッチングするようにしています。例えば、屋外で過ごしたり刺激のあることが好きな犬であれば、犬を連れて頻繁に外出する家庭をマッチングさせるようにします。反対に、家の中でゆっくり過ごすことが好きな犬であれば、それに合う家庭をマッチングするなど、人、犬双方にとって最善の組み合わせになるよう最大限の配慮をしていきます。
 
 
飼育ボランティアの待機者数は必要な数を大幅に下回る  しかし、ボランティアを希望する家庭にも、それぞれ希望や条件があるほか、留守が多いなど犬の飼育に適さないケースも多く、年々マッチングが難しくなっています。CC犬飼育ボランティアであれば、1頭につき複数の候補が必要で、常時100家族以上確保する必要があります。現在200家族近くの申し込みがあるものの、実際に協会の方針に沿って飼育をお願いできる家族は、その3分の1程度と必要な数を大幅に下回っているのが現状です。
 また、盲導犬を安定的に育成するために、毎年盲導犬候補の子犬を100頭、確実にボランティアへ委託しなければなりません。そのため、いつでも協力いただけるPWは、協会全体で年間100家族必要です。しかし必要な数の2割程度しかいない訓練センターもあり、厳しい状況が続いています。
 さらに、繁殖犬飼育ボランティアについては、毎年10頭程度が繁殖犬となるため、年間に10家族が必要ですが、全く申し込みがないこともあります。
 
 持続可能な盲導犬育成事業には「飼育ボランティア」の協力が必要不可欠です。日本盲導犬協会では、協会の理念に共感し、協力いただけるボランティアを募集しています。目の見えない人、見えにくい人が安心して盲導犬と歩み続けられるよう、多くの方に盲導犬育成事業に参加していただきたいと考えています。
 
ボランティアの基本条件、各訓練センターの募集状況は協会ホームページをご覧ください。
↓こちらから

 
 
 
 ************ボランティア活動の様子*************
 
パピーウォーカー  

現在5頭目の子犬と暮らすベテランのボランティア家族。1頭目と3頭目は盲導犬に、2頭目はCC犬になりました。写真は4頭目の犬と一緒に初詣へ出かけた際の思い出のショット。
「家族は普段、仕事、学校、部活と別の生活をしているけれど、“盲導犬候補の子犬を育てる”という一つのことにみんなで向かうことができます」
「その犬に合った道を訓練士が見極めてくれるので、みんな幸せに過ごしている姿が目に浮かびます」
 
 

月1回訓練センターで行われる「パピーレクチャー」の様子。PWは子犬と一緒に参加して、犬との関わり方について学びます。協会職員に、育成に関する相談もできます
 
 
 
繁殖犬飼育ボランティア
盲導犬の親犬を飼育し、繁殖の時期などに協会に連れて来る役割があります。引退後も継続して飼育して頂きます。
「犬の体調管理やけがの予防などに日頃から気を配っています。ちょっとした変化も見逃さないことが大切です」
「この子にとって初となる赤ちゃんを一家全員で見に行った際には、本当に幸せな気分に包まれました」
 
 
【国際盲導犬の日とは?】
1989年4月26日(水曜日)に国際盲導犬連盟(本部イギリス)が設立されたことを記念して、毎年4月の最終水曜日を「国際盲導犬の日」と制定しました。世界各国の盲導犬育成団体と共に、盲導犬への理解促進へ向けた普及活動を積極的に行う日です。
・世界で活動する盲導犬の数 19,557頭
・盲導犬育成事業に協力するボランティアの数 38,348人
※国際盲導犬連盟による集計(2023年12月31日現在)
 
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障害を理由とする差別は解消されているのか? 盲導犬ユーザー受け入れ拒否の実態報告 /release/202403228370 Mon, 25 Mar 2024 10:00:00 +0900 日本盲導犬協会 スーパーのセルフレジでタッチパネル操作のサポートを受ける盲導犬ユーザー (2024年3月マルエツ 板橋南町店にて)      障害者差別解消法施行から8年、身体障害者補助犬法施行からは20年以上が経... 公益財団法人 日本盲導犬協会
スーパーのセルフレジでタッチパネル操作のサポートを受ける盲導犬ユーザー
(2024年3月マルエツ 板橋南町店にて)
 
 
 障害者差別解消法施行から8年、身体障害者補助犬法施行からは20年以上が経過していますが、法律に対する社会の理解は進んでいるのか? その実態を把握するために、公益財団法人日本盲導犬協会(井上幸彦理事長)は、盲導犬同伴での受け入れ拒否について使用者(以降ユーザー)に聞き取り調査を実施し、毎年集計、公開をしています。2023年の集計では、1年間で「受け入れ拒否にあった」と回答したユーザーが103人いて全体の44%に上りました。更に「障害を理由とする差別があった」と回答した人が81人(34%)いて、盲導犬同伴での受け入れ拒否の他にも、社会参加を阻む障壁が多数あることが明らかになりました。
 今年4月1日、改正障害者差別解消法の施行により、これまで努力義務だった民間事業者による合理的配慮の提供が義務となります。これによって盲導犬ユーザーへの理解と対応がより一層求められることになります。今回の調査結果を多くの方へ伝えることにより、誰もが暮らしやすい社会へ向け、盲導犬や視覚障害に対するより一層の理解と法の周知を訴えたいと考えます。
ぜひ報道いただけますよう宜しくお願いいたします。
 
 
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盲導犬同伴での受け入れ拒否が無くならない実態について、当協会が盲導犬ユーザーを対象に行った聞き取り調査の結果を、以下の通りまとめました。
 
 
【調査概要】(2016年から毎年集計、8回目)
調査対象  :日本盲導犬協会所属のユーザー(盲導犬使用者)
対象者   :237人(回答数236人)
調査対象期間:2023年1月1日~12月31日
調査方法  :職員による電話とメールを使った聞き取り
質問内容:
 Q:盲導犬の受け入れ拒否に何回あいましたか
 Q:盲導犬受け入れ拒否を含む障害を理由とする差別にあいましたか
 Q:障害に対する人々の理解に変化があったと思いますか
 Q:あなたにとって、社会参加の障壁だと感じることは何ですか(複数回答可)
 
 
結果1  盲導犬同伴を理由にした「受け入れ拒否」については、103人(44%)が「ある」と回答しました。経年変化をみるとコロナ禍で減少した数値が前回増加し、今回はほぼ横ばいです。(グラフ1、2)
 
     【グラフ1】受け入れ拒否にあったか

 
   【グラフ2】受け入れ拒否にあった割合の推移

 
 「あった」と答えた人へ拒否の回数を尋ねたところ、延べ208件発生していることが分かりました。前々回184件→前回196件→今回208件と増加しています。
 208件の受け入れ拒否が起こった場所を見てみると、飲食店が114件(55%)で最多、交通機関の25件(12%)、宿泊施設が18件(9%)と続きました。(グラフ3)
 
    【グラフ3】拒否のあった場所の内訳

 
 
 
<受け入れ拒否対応の事例>
 208件のうち50件は、ユーザー自身の説明では理解が得られず、ユーザーの要請に応じて協会が問題解決へ向けて対応しています。対応例の中から、交通機関・宿泊施設・飲食店の事例を挙げます。
 
■事例1:「盲導犬とはいえ犬は乗せられない」というタクシー(神奈川県内)
 駅前ロータリーにて、ユーザーがタクシーを利用しようとしたところ「犬はダメ」と乗務員が拒否。盲導犬だと説明するが、「盲導犬とはいえ、犬は乗せられない」と理解を得られなかった。やむを得ず、次に待つタクシー乗務員に尋ねたところ、問題なく乗車できた。後日、問い合わせると、タクシー会社は「乗務員の教育不足だった」と謝罪。全乗務員に盲導犬ユーザーへの対応について周知がなされた。
 
■事例2:「盲導犬はお断りしています」とスタッフ毎に対応が異なる宿泊施設(宮城県内)
 ユーザーが予約のため電話をすると、「宿泊可能だが、ネット予約だと安くなる」と紹介され、一旦電話を切った。しかし、予約サイトの操作が難しくネット予約は断念。再度電話をしたところ、先程とは別のスタッフが出て「盲導犬はお断りしています」と断られた。協会が担当スタッフに事情を聞くと、「私の認識不足で断ってしまった」とのこと。管理者からはスタッフの教育不足について謝罪があり、再発防止を約束した。
 
■事例3:「犬はダメ。ビル管理事務所に聞かないとわからない」という飲食店(愛知県内)
 商業施設ビルテナントのパン屋にて。店内を動き回るには狭いと知ったユーザーは、商品選びを店員に依頼。クレジット決済のため、盲導犬を同伴して店内に入ろうとすると「犬はダメ」と断られる。ユーザーが法律について説明したが、「ビル管理事務所に聞かないとわからない」という回答だった。後日、確認したところ、ビル管理事務所は「補助犬同伴は可能」と理解していたが、パン屋本社は法律を認知していなかったため、店舗にも周知されていなかった。パン屋本社は、速やかにグループ全店への研修を実施し、再発防止の対策を行った。
 
■事例4:「視覚障害者の対応が分からない。犬を理由に断った」という医療機関(広島県内)
 皮膚科クリニックを初めて利用しようとユーザー家族が問い合わせると、「エレベーターに犬を乗せられないからダメ」と拒否。階段を使うなど、代案を伝えても「建物を管理している病院へ聞いて欲しい」と話を遮られた。同日に協会が連絡し、事情を聞くと「実は、視覚障害者の対応をしたことがなく、難しそうだから犬を理由に断ろうと思った」という話だった。盲導犬のことだけでなく、「本人のサインが必要な場合はどうするのか」など、視覚障害者への対応についても細かに説明し、利用可能となった。
 
 
考察1 ①受け入れ拒否にあったユーザーの割合は、コロナ禍以降40%前後の横這いで推移していますが、今回拒否にあった103人のうち、複数回だった人が60人(58%)いました。7回拒否にあった人もいて、受け入れ拒否はユーザーの日常的な行動を左右し、社会参加への意欲を削ぐ深刻な障壁となっています。
 
②拒否の原因としては、「従業員の教育不足」や「受け入れの義務を知らない」など、法律の認識不足が70%以上を占めました。市民を対象に2023年7月協会が実施した『盲導犬および視覚障害に関する意識調査』でも、「身体障害者補助犬法を知らない」と回答した人が74.4%に上っていて、受け入れ拒否の解消には、法律の周知と理解が欠かせないことが鮮明になりました。
 
③ 業種別では、交通機関としてタクシーの乗車拒否が23件と目立ちました。盲導犬同伴だとわかるとドアを開けてもらえなかったり、予約段階で断られたりしたケースも。事業者と連携して、ドライバー一人ひとりに法律の理解を浸透させる必要があります。
 
2023年7月25日、東京タクシーセンターで行われたドライバー向け研修会で、
21人を対象に声かけや誘導の仕方をレクチャーしました
 
 
 
結果2  ここ1年間で「障害を理由とする差別があった」と回答したのは81人(34%)で、調査開始時から横ばいで推移しています。(グラフ4、5)
 「差別があった」とする回答者からは、「クリニックで、通院するなら他の患者がいない時間帯にと求められた」「視覚障害を理由に配布物の冊子を貰えず、アンケート回答も不要だと言われた」などがありました。
 
   【グラフ4】障害を理由とする差別にあったか

 
    【グラフ5】差別にあった人の推移

 
 
 ここ1年間の「障害に対する人々の理解や考え方の変化」を尋ねたところ、「変化はなかった」148人(62%)が最多でした(グラフ6)。回答者からは、「良い変化もあるが、受け入れ拒否もあるので変化はない」「周囲の人は良く理解していて、変化はない」「理解が無いまま変化はない」などがありました。
 一方「良い方へ変化した」と答えた80人(34%)からは、「電車やバス、買い物中など周囲からの声かけが増えた」「道に迷ったときに声をかけられることが複数回あった」「視覚障害者への声かけ方法を知ってくれている」などがありました。
 
 【グラフ6】障害に対する人々の理解に変化があったか

 
 
 具体的に「社会参加の障壁だと感じること」を尋ねたところ、様々な意見があがり、社会のあらゆる場面で壁が存在していることが分かりました。以下に抜粋します。
 
 「タッチパネルが増え、不便に感じる」
 「クレジットカードの決済端末がタッチパネルだと、店員に暗証番号を伝えるしかない」
 「マイナンバーカード読み取り機のタッチパネル操作ができない」
 「色々な場面でアプリの利用を求められるが、視覚障害者には使いづらい」
 「歩道がない。車との距離が近く、怖い思いをする」
 「通勤中、歩道や点字ブロック上に駐車されている車があり歩きづらい」
 「水がセルフサービスの飲食店が増えている。店員にお願いしたところ『私たちがすること
  ではないので』と断られた」
 「盲導犬だと説明し入店できたが、店員に『周りに迷惑をかけないように』と言われた」
 「まだまだ受け入れ拒否があり、新しい所へ行くには勇気がいる。もっと気軽に出かけたい」
 「賃貸住宅だと盲導犬を理由に断られる。法律を説明しても理解を得られないことも」
 「有料のセミナーに参加した際、視覚障害への配慮は出来ないと言われ、内容は2/3程度
  しか理解できなかった。ヘルパー同席も認められない場合がある」
 「就労面で、視覚障害者、盲導犬というだけで断られる」
 「障害者への対応が分からない人が多い。聞いて貰えれば答えるのに、聞かれない」
 「商品説明や会計時のおつりの受け渡しを、自分ではなく同行しているヘルパーにされる」
 「通りすがりに、犬が可哀想だと言われる。心理的障壁が一番ある」
 
 
考察2  社会参加の障壁について、コメントで目立ったのは「タッチパネル画面の操作ができない」とする内容で、80人(34%)の回答がありました。ICT技術の進化が加速する一方で、視覚障害者への配慮が追いつかず、情報・文化面での障壁が急激に増えていることが分かりました。
 他には、「セミナー参加時に配慮が無い」などの制度的な障壁、「路上駐車があって歩きにくい」などの物理的障壁がありました。更には「『盲導犬がかわいそう』と言われ悲しい気持ちになった」「自分ではなく同行ヘルパーに話しかけられた」といった心理的障壁も含まれていました。
 こうした日常に潜む障壁を取り除くためには、事業者による合理的配慮の提供が不可欠です。事業者の理解に加え「視覚障害者への対応は難しそう」と、実際に対応する人が消極的にならないよう、合理的配慮の具体的事例を示すなど、不安を軽減していく取り組みも必要であると考えます。社会の一人ひとりの気づきによって、心理的障壁の多くが解消されると考えられます。
 
 
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【社会理解へ向けた活動】
 日本盲導犬協会では、誰もが自分らしく暮らせる社会の実現には、法律や合理的配慮等の周知が急務であると考え、各種セミナーにおいて合理的配慮の具体事例を示す他、YouTube上でも盲導犬や視覚障害の基礎知識を紹介する様々な動画を公開しています。この調査結果を受けて、こうした情報発信をさらに強化していきます。
 
<日本盲導犬協会公式YouTubeチャンネル>
動画『【入門】盲導犬ユーザーが施設に来たらどうする?~セミナー事前学習動画~』
盲導犬や視覚障害の基礎知識、法律や障害のとらえ方、サポート方法などを事業者向けにわかりやすくまとめています。

 
<Webサイト>
盲導犬子ども向け動画サイト『にちもうジュニア』
子供たちが盲導犬や視覚障害について楽しく学べる動画や、教育関係者の学習指導に役立つ動画を公開しています。
https://www.moudouken.net/nichimou-jr/
 
<その他>
※「盲導犬受け入れ拒否対応事例集」をホームページでも公開しています。https://www.moudouken.net/special/case-study/
 

 
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いつでもどこでも楽しく学べる! 日本盲導犬協会が「こども向け動画サイト」を公開 /release/202402297300 Mon, 04 Mar 2024 10:00:00 +0900 日本盲導犬協会    公益財団法人 日本盲導犬協会(井上幸彦理事長)は、盲導犬育成事業の推進と同時に、盲導犬や視覚障害について社会の理解を促進するための活動に力を入れています。 中でも未来を担う子供たちへの教育は重...  公益財団法人 日本盲導犬協会
https://www.moudouken.net/

 
 公益財団法人 日本盲導犬協会(井上幸彦理事長)は、盲導犬育成事業の推進と同時に、盲導犬や視覚障害について社会の理解を促進するための活動に力を入れています。
中でも未来を担う子供たちへの教育は重要です。盲導犬を通して、子供たちが共生社会について考える機会となるよう、協会では小中学校での講義の他、オンライン授業の開催など、様々な活動を展開してきました。
 この度、子供たちがより一層学びを深めていけるよう盲導犬こども向け動画サイト『にちもうジュニア』(以下、にちもうジュニア)を3月5日(火)に公開いたします。本Webサイトでは、子供たちが自ら興味をもって学んでいけるよう、盲導犬の基本的な情報はもちろん、盲導犬ユーザーの声や暮らしぶりも紹介します。
 更には、教員はじめ教育関係者向けに、盲導犬に関する法律の解説など学習指導に役立つ動画も公開しています。
 本動画サイトを広くご紹介いただけますよう、宜しくお願いいたします。
 
 
 
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◆動画サイト『にちもうジュニア』の魅力
 「夏休みの自由研究・授業の調べ学習で盲導犬や視覚障害について勉強したい」
 「ユーザーに話を聞きたい」
本サイトは、そんな子供たちの声から誕生しました。
いつでも、楽しく!自ら学んでいけるように、ガイド役のキャラクターが登場!
キャラクターの「むすび」が、子供たちの目線で様々な疑問を投げかけます。
子供たちの知りたい!に対して、「にちもう広報ちゃん」が、分かりやすく解説します。
 
 
 
◆動画内容
今回は4本の動画、盲導犬の役割や歴史など盲導犬の基本を知る「盲導犬ってなあに」、ユーザーの声や暮らしに触れる「みっちゃく!盲導犬ユーザーの1日」「教えて!盲導犬ユーザー」、教員向けの「盲導犬ユーザーに関する法律」を公開します。今後、随時新しい動画を展開する予定です。
 

「みっちゃく!盲導犬ユーザーの1日」の中で、通勤する盲導犬ユーザーと盲導犬。テーマ別に10分程度の動画で楽しく分かりやすく紹介します。
 
 
 
◆動画を自由に使って学びを広げる
子供たちが授業で発表するとき、教員が盲導犬や視覚障害者について授業で取り上げるとき、
さらに教材として動画をリンクするなど、教育目的であれば自由に活用することができます。
 
 
動画サイトはこちら  ※3月5日(火)公開 
https://www.moudouken.net/nichimou-jr/

 
 
 
◆日本盲導犬協会では、子供たちの学びをサポートする活動を展開しています
 
2024年度「全国一斉盲導犬教室」開催決定
盲導犬の里富士ハーネスから生配信!盲導犬や視覚障害について学ぶことができるオンライン授業です。
 
 ①2024年10月2日(水)  10:30~11:15
 ②2024年10月2日(水)  13:30~14:15
 ③2024年10月3日(木)  10:30~11:15
 ④2024年10月3日(木)  13:30~14:15
 
申し込み・詳細は以下リンクより
https://www.moudouken.net/news/article/2024kyoshitsu/

 
 
 
 全国一斉盲導犬教室の様子。子供たちに盲導犬や視覚障害について講義を行う他、盲導犬の作業の実演、視覚障害者への対応方法などもレクチャーします。
 
 
その他、各種イベントも行っています。
https://www.moudouken.net/event/

 
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日本盲導犬協会が社会の「盲導犬や視覚障害に対する認識」を初調査 /release/202309280359 Fri, 29 Sep 2023 16:00:00 +0900 日本盲導犬協会      公益財団法人 日本盲導犬協会(理事長:井上幸彦)は、今年7月、市民を対象とした『盲導犬および視覚障害に関する意識調査』を初めて実施しました。  その背景には、盲導犬を同伴して施設を利用する... 公益財団法人日本盲導犬協会
 
 
 公益財団法人 日本盲導犬協会(理事長:井上幸彦)は、今年7月、市民を対象とした『盲導犬および視覚障害に関する意識調査』を初めて実施しました。
 その背景には、盲導犬を同伴して施設を利用する際の受け入れ拒否が後を絶たず、盲導犬の使用者である盲導犬ユーザー(以下、ユーザー)の多くが活動の制限を受けている現状があります。本調査では、目の見えない人・目の見えにくい人(以下、視覚障害者)が暮らしやすい社会となるよう、受け入れを阻む要因を明らかにし、円滑な受け入れや視覚障害者へのサポートが広がるには何が必要なのかを探るために、市民に対して大規模なアンケートを行いました。
 その結果から、社会の理解をより一層深め、盲導犬の受け入れ拒否を解消していくために有効な手立ても見えてきました。
 本報告では、47項目に及ぶアンケート結果の中から、データを抜粋して報告します。
 
【調査概要】
・調査名:盲導犬および視覚障害に関する意識調査
・目的:盲導犬や視覚障害、また盲導犬の受け入れ等に対する認識の把握
・回収日:2023年7月21日
・対象: 20歳~79歳の男女1,098人
・地域: 47都道府県
・方法:インターネット調査
・質問内容:アンケート47項目
①盲導犬について ②視覚障害について ③盲導犬の受け入れについて
・調査実施機関:株式会社Quest
※経年変化を調査するため、今後も定期的なアンケートの実施を計画しています
 
 
 
1.補助犬法は「知らない」、マスメディアによる発信が効果的か
 
 2002年5月に成立した身体障害者補助犬法(以下、補助犬法)により、視覚障害者が施設などを利用する際に盲導犬を同伴することが認められています。しかし盲導犬ユーザーからは、受け入れ拒否に関する相談が多数寄せられています。改めて補助犬法の認知と理解について聞きました。
 「身体障害者補助犬法を知っているか」に対して、「知らない」と回答した人が74.4%、「存在は知っているが内容は知らない」が21.5%、「法律の内容をほぼ理解している」という人は4.1%でした。
 
【図1】Q33.補助犬法を知っているか

 
 
 法律が広く認識されるための方法を探るために、「補助犬法をどのようなところで見聞きすると意識されると思うか」(複数回答)と聞いたところ、「テレビ番組で見る」が最多で37.2%、「ニュース報道で見聞きする」が36.1%となりました。一方で、「意識する場面はない」とする回答も36.8%で上位となりました。
 
【図2】Q34.補助犬法をどこで見聞きすると意識されると思うか(複数回答)

 
 
 障害者の自立と社会参加を促進するために、補助犬法では施設等での盲導犬同伴による受け入れが義務付けられています。これについて賛否を聞いたところ、賛成が77.8%、反対は2.7%でした。
 また、「自分の利用する店に盲導犬を受け入れて欲しいか」に対して、「受け入れて欲しい」が91.7%でした。
 
【図3】Q43.補助犬法が定める店や病院での盲導犬の受け入れ義務について賛成か反対か

 
 
【図4】Q46.自分の利用する店に盲導犬を受け入れて欲しいか

 
 
 一方で、受け入れ拒否につながる潜在的な不安を探るため、補助犬法への懸念について聞きました。「受け入れる店側への配慮が足りないと思う」に対して「とてもそう思う」「そう思う」が40.4%、「アレルギーのある人への配慮が足りないと思う」が38.9%、「犬嫌いの人への配慮が足りないと思う」が29.2%でした。
 
【図5】Q45.補助犬法についてどのように感じるか

 
 
<考察>
 以上の結果から、補助犬法成立から20年以上が経ってもなお、法律の認知や理解促進には余地があることが分かりました。しかし、法律の認知度が高くない状況にもかかわらず、施設等での盲導犬の受け入れ義務には回答者の多くが賛同しており、盲導犬同伴での施設利用については、一定の理解が得られているようでした。
 一方で、2016年から協会が実施してきた『盲導犬ユーザー受け入れ拒否の実態報告』によると、過去1年間で「受け入れ拒否にあった」と回答する人が、平均値で50.5%に達しています。盲導犬同伴受け入れを義務付ける補助犬法に対して、店の利用者や経営者への配慮を懸念する人もいて、誰もが安心して対応できるような理解には至っていないようです。
 法律の趣旨を浸透させるためには、マスメディアによる発信等、人々の意識が高まりやすい方法を用いて、さらなる情報発信をしていく必要があると考えます。
 
 
 
2.ユーザーによる盲導犬の管理について 「知らない」ことが懸念の要因に
 
 これらの懸念がなぜ生まれるのか、盲導犬に対するイメージや、受け入れ拒否につながる要因について、具体的に聞いてみました。
 
 盲導犬へのイメージを聞くと「頭が良い、利口だ」が76.8%(複数回答)で最上位でした。次に、建物や電車などに盲導犬が入ることへのイメージや懸念について聞きました。各項目で50%以上が「全くそう思わない」と答えた一方で、「場所が汚れる」8.1%、「畳や床を傷つける」8.1%、「不衛生」8.1%、「邪魔だ」7.1%など、何かしらの良くない影響があると考える人が少数ながらいました。
 
【図6】Q17.盲導犬と聞いてイメージすること(複数回答)

 
 
【図7】Q31.建物や電車に盲導犬が入ることへのイメージ
 
 
 日本盲導犬協会が注目したのは、盲導犬の衛生面や行動面の管理に関する人々の認識です。ユーザーには、盲導犬の衛生・行動管理をする法的な義務があるため、訓練でスキルを習得した上で、日々のブラッシングなどの衛生管理や排泄を含む行動管理を自身で行っています。しかし、アンケートによると、ユーザーに盲導犬を管理する義務があることを知らない人は全体の84.0%にのぼりました。
 
【図8】Q39.ユーザーに犬の管理をする法的義務があることを知っているか

 
 
 また、ユーザーが盲導犬を世話することについて、「シャンプーやブラッシングなど衛生管理が行き届かないのではないか」と感じる人が17.4%、「排泄物の管理が行き届かないのではないか」と感じる人が16.3%いました。実際、ユーザーは、盲導犬の排泄のリズムを把握し、適切な場所で指示によって排泄をさせています。「盲導犬は排泄物で施設を汚すことがない」、ということを知っているかを聞いたところ、「知らない」が68.1%という結果でした。
 
【図9】Q30.ユーザーが盲導犬を世話することついて、どう感じるか

 
 
【図10】 Q14.盲導犬は、排泄物で施設を汚すことがないことを知っているか 

 
 
<考察>
 今回の結果からは、盲導犬同伴を受け入れることが施設側に悪影響を及ぼすとイメージする人は少数に留まりました。しかし、実際に盲導犬が自分の隣にいたらどう思うかの自由回答においても、「飲食店だと少し不衛生で嫌」「かまれたりしないか不安」「大きくて邪魔」という回答があり、個人が抱く様々なイメージが懸念へと繋がっている可能性が伺えます。
 こうしたことから、ユーザーが自身で盲導犬を管理できるスキルを身に着けていること、盲導犬は衛生面、行動面共に十分に管理されていることなど、あまり知られていない情報を社会に広く伝えていくことで、「場所が汚れる」「不衛生」などのイメージを払拭して、受け入れ拒否を防ぐことができるのではないかと考えます。
 


 
3.SDGsが目指す「誰一人取り残さない」社会へ向け、
  視覚障害理解が重要なカギに
 
 盲導犬同伴の視覚障害者を拒否してしまう背景には、様々な「懸念」があり、いずれも情報の不足が要因のひとつであることがわかってきました。
 2024年4月から、障害者差別解消法における合理的配慮の提供が、民間企業においても義務となります。視覚障害者が活動する際に障壁となる「社会に存在する障害」をなくしていくために、様々な場面で合理的配慮が求められます。盲導犬同伴での受け入れも、そのひとつです。その他、どのような配慮が必要なのか検討するにあたって、視覚障害者をどのようにとらえているのかについても聞いてみました。
 
 「視覚障害者の見えにくさが人により異なることを知っているか」に対して、60.3%が「知っている」と答えました。どのような見え方を知っているか聞いたところ、全く見えない「盲」の状態は94.3%と、ほとんどの人が知っているのに対して、視野がせまい「視野狭窄」は72.5%、見えにくい「ロービジョン」は63.9%と認知度が下がります。
 
 
【図11】Q22.視覚障害者の見えにくさが人により異なることを知っているか

 
 
【図12】Q23.視覚障害についてどのような見え方を知っているか

 
 
 その他、視覚障害者に対して抱いているイメージを把握するために、情報獲得方法について聞きました。「視覚障害者全員が点字を読めるわけではない、ということを知っているか」という問に対して「知っている」と答えたのは48.4%でした。
 
【図13】Q25.視覚障害者全員が点字を読めるわけではないことを知っているか

 
 
 視覚障害者へのサポートについて聞いたところ、「声をかけたことがあるか」に対して「ある」と答えた人は14.5%にとどまりました。「視覚障害者に声をかけることに抵抗があるか」に対して、54.1%が「ある」と答え、「声をかけると驚かせてしまいそう」「声のかけ方がわからない」「話しかけていいのか不安」といった意見がありました。
 一方で、「困っている視覚障害者に出会ったらサポートしたいか」聞いたところ、「とてもそう思う」「まあまあそう思う」と回答した人が80.6%に及びました。サポートの意思はあるものの、半数を超える人が視覚障害者への接し方について不安を感じていました。
 
【図14】Q26.視覚障害者へサポートのために声をかけたことがあるか

 
 
【図15】 Q27. 視覚障害者に声をかけることに抵抗があるか 

 
 
【図16】Q29.視覚障害者に出会ったらサポートしたいと思うか

 
 
 「目の見え方や体の状態に関わらず全ての人が等しくお店を利用したり、サービスを受けるべきだと思うか」聞いてみました。「とてもそう思う」「ややそう思う」と答えた人が全体の87.4%に達していました。
 
【図17】Q42.見え方や体の状態に関わらず等しくお店やサービスを利用できるべきだと思うか

 
 
 
<考察>
 視覚障害者に対しては、「盲」の状態で、点字を読んでいる、などの一定の固定的なイメージを抱いていることがわかります。視覚障害に関する情報も十分に行き渡っていないことが推測されます。
 SDGsで謳われている「誰一人取り残さない社会」の基となる考え方には、多くの人が賛同していました。障害の有無によって社会活動に差が生じることに対して、大多数の人がそうあってはならないと考え、そのためのサポートにも意欲的でした。実際のアクションへと結びつけていくためには、サポートする側の不安を取り除き、視覚障害者、サポートする人が互いに「相手を知り、理解すること」が重要であると言えます。まずは、視覚障害者に声をかけ、コミュニケーションの中で理解を深めていく必要があると考えます。
 
 
<まとめ>
 今回のアンケート結果から、盲導犬同伴での受け入れ拒否の背景にある様々な要因を分析しました。盲導犬や視覚障害者に関する情報が十分ではなく、「知らない」ことから様々な不安が生まれ、これによって拒否が発生している、という現状が浮き彫りになってきました。
 さらに視覚障害理解についても聞き、合理的配慮について考える際、何が障害になっているのか、考察してみました。誰一人取り残さない社会を実現するためには、相手を知り、理解すること、相互のコミュニケーションがカギになることが、本調査からも見えてきました。
 広く社会に、視覚障害や盲導犬に関する情報を届けていくために、広報活動は極めて重要です。日本盲導犬協会では、今後も様々なメディアを活用して、視覚障害および盲導犬に関する情報を発信していきます。
 
 
<日本盲導犬協会公式YouTubeチャンネル>
動画『【入門】盲導犬ユーザーが施設に来たらどうする?~セミナー事前学習動画~』を公開
https://youtu.be/wj3P-JhyzF4

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盲導犬ユーザーのことをもっと知ろう! 夏休み子ども向けイベント開催 /release/202307217347 Mon, 24 Jul 2023 10:00:00 +0900 日本盲導犬協会 公益財団法人日本盲導犬協会(井上幸彦理事長)は、盲導犬との暮らし、視覚障害について知ることから「共生社会」を一緒に考えるイベントとして、日本盲導犬総合センター(愛称:富士ハーネス)で盲導犬ユーザーや... 公益財団法人 日本盲導犬協会
公益財団法人日本盲導犬協会(井上幸彦理事長)は、盲導犬との暮らし、視覚障害について知ることから「共生社会」を一緒に考えるイベントとして、日本盲導犬総合センター(愛称:富士ハーネス)で盲導犬ユーザーや視覚障害について学べる夏休みイベントを開催します。当日は盲導犬ユーザーと職員が見えない、見えにくいとはどういう状態か、日常生活の様子を交えながら説明し「誰もが暮らしやすい社会」について問いかけます。
この取り組みを通して、子どもたちはもちろん社会全体で盲導犬や視覚障害への理解がより一層進むことを期待します。
 
【イベント詳細】
1.土日祝日特別イベント 
■開催日時:7/22~8/27の期間中の土日祝日
■開催場所:日本盲導犬総合センター(静岡県富士宮市人穴381)
 
<盲導犬ユーザーサポート体験> 13:00~14:30
盲導犬ユーザーが参加し、盲導犬との歩行や生活について紹介します。参加者が盲導犬ユーザーへのサポート(誘導や口頭説明)を体験できるコーナーもあり、盲導犬ユーザーをより身近に感じられるイベントです。
 

 
 
<盲導犬ユーザー体験> 15:00~16:00 ※予約制
参加者(対象:小学3年生以上)が盲導犬ユーザー役となり、目の見えない、見えにくい状態で歩き、生活の一部を体験します。体験を通し参加者が盲導犬ユーザーや視覚障害について理解を深めることで社会の多様性に触れ、誰もが暮らしやすい社会について考えるイベントです。
 
 

 
2.夏休み盲導犬教室2023
■7月30日(日)14:00~15:00
■本イベントは、日本盲導犬協会公式YouTubeチャンネルにて生配信します。
盲導犬ユーザーが参加し、盲導犬との歩行や視覚障害について紹介します。また、バックヤードツアーも開催し、普段は入ることが出来ない子犬棟なども見ることができます。
 

 ■配信URL
https://youtube.com/live/e-ZNdWDhysQ       
↓こちらからも視聴できます

 
3.盲導犬自由研究コンテスト2023
視覚障害をテーマとする夏休みの自由研究作品を募集しています。
応募作品は期間中富士ハーネス館内に展示され、優秀作品には10月8日開催の表彰式(場所:富士ハーネス)にて賞状および記念品を贈呈します。たくさんのご応募をお待ちしています。
 

 
↓各イベントの詳細はこちらよりご確認ください

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タクシー乗車拒否ゼロを目指して「ドライバー研修」を実施 /release/202307127093 Wed, 19 Jul 2023 10:00:00 +0900 日本盲導犬協会   タクシーに乗車する盲導犬ユーザー   公益財団法人日本盲導犬協会(理事長 井上幸彦)神奈川訓練センターでは、「誰もが安心して外出できる社会」を目指し活動しています。身体障害者補助犬法の制定から2... 公益財団法人 日本盲導犬協会
 
タクシーに乗車する盲導犬ユーザー
 
公益財団法人日本盲導犬協会(理事長 井上幸彦)神奈川訓練センターでは、「誰もが安心して外出できる社会」を目指し活動しています。身体障害者補助犬法の制定から20年が経過した現在も、施設等における盲導犬同伴での「受け入れ拒否」が多数発生しています。2022年に日本盲導犬協会のユーザーより寄せられた受け入れ拒否196件のうち、公共交通機関(タクシー)の乗車拒否が24件(全体の12%)、このうち4件が東京都内で発生していました 。
盲導犬ユーザーにとって、なくてはならない交通手段であるタクシーを安心して利用できるよう、この度公益財団法人東京タクシーセンターと連携して、ドライバー向けに盲導犬ユーザーのタクシー利用時における対応方法の実演研修を実施することとなりました。
この取り組みを、ぜひご取材いただけますようよろしくお願いいたします。 
 
※2022年の受け入れ拒否の実態データについて、詳細は下記より確認できます。
/release/202303214104
 
 
【講義名】  自主ユニバーサルドライバー研修
       ※本研修内で実施 
 
【日 時】 7月25日 (火) 13:00~13:50
 
【主 催】 公益財団法人東京タクシーセンター
      協力:公益財団法人日本盲導犬協会
 
【場 所】 公益財団法人東京タクシーセンター
      (東京都江東区南砂7-3-3)
 
【内 容】 詳細は、別紙の公益財団法人東京タクシーセンター
                     リリースを参照ください。
      ※日本盲導犬協会神奈川訓練センターの職員3名が講師として参加。
       そのうち盲導犬ユーザーでもある職員1名が、具体的な接客方法を示しながら、
       接客模擬体験を実施します。
 
 
 
日本盲導犬協会では、タクシー事業者をはじめ様々な業種へ向け、受け入れ促進のためのセミナー・研修を実施しています。
 
 
行政の障害福祉課職員を対象に、視覚障害のある方への対応についてセミナーを実施
(2023年5月 神奈川県内の市役所にて)
 
 
スーパーの新人職員研修で、盲導犬ユーザーへの対応方法をレクチャー。
実際の店内を想定してユーザーをサポートしながら歩きます
(2023年4月 都内スーパーでの研修会の様子)
 
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5月22日はほじょ犬の日   協会公式YouTubeチャンネルで『盲導犬新ユニット出発式』動画を公開 /release/202305185717 Mon, 22 May 2023 10:30:00 +0900 日本盲導犬協会 公益財団法人日本盲導犬協会(理事長:井上幸彦)は、新たに盲導犬との生活をスタートさせた方々の門出を祝い、 「盲導犬新ユニット出発式」を毎年開催しています。 この度、式典の模様を紹介する動画を、協会公... 公益財団法人 日本盲導犬協会
公益財団法人日本盲導犬協会(理事長:井上幸彦)は、新たに盲導犬との生活をスタートさせた方々の門出を祝い、 「盲導犬新ユニット出発式」を毎年開催しています。
この度、式典の模様を紹介する動画を、協会公式YouTubeチャンネルで公開いたしました。
全国4か所にある訓練センターで、それぞれ盲導犬との歩行方法を学んだ後、昨年度新たに、ユーザー(使用者)と盲導犬36組が歩き始めました。盲導犬育成事業を支える支援者らが見守る中、式典に参加した盲導犬ユーザー(以下、ユーザー)からは盲導犬と歩く喜び、日々の暮らしぶりや生活の変化、夢や抱負などが語られました。
一見華やかな式典ですが、そこに辿り着くまで「決して平たんな道のりではなかった」と、ユーザーは語ります。実際に、目が見えない、見えにくい状態になって、福祉の支援も情報もなく外出もままならない、という方が大勢いるのが現状です。「相談先がわからなかった」「もっと早く盲導犬のことを知っていたら仕事を辞めずにすんだ」など、切実な声が聞かれました。
たくさんの人の手によって育まれ誕生した盲導犬たちの姿はもちろん、気持ち新たに歩み出したユーザーの思いを多くの方にご覧いただきたいと思います。ぜひ報道いただけますよう、よろしくお願いいたします。
 
◆5月22日は「ほじょ犬の日」◆
2002年のこの日「身体障害者補助犬法」が成立したことから、5月22日は「ほじょ犬の日」とされています。視覚障害のある人が街なかを安全に歩けるようにサポートする盲導犬、肢体不自由のある人の日常生活動作をサポートする介助犬、聴覚障害のある人に生活の中の必要な音を知らせる聴導犬を身体障害者補助犬(補助犬)と呼びます。ユーザーが交通機関や施設などに、ほじょ犬を同伴して入場、入店することが法律で認められています。
 
盲導犬新ユニット出発式概要
【開催日】
2022年12月6日 日本盲導犬総合センター出発式 於:日本盲導犬総合センター(盲導犬の里 富士ハーネス)
2022年12月9日 仙台訓練センター出発式 於:TKPガーデンシティPREMIUM仙台西口
2023年2月24日 神奈川訓練センター出発式 於:新横浜グレイスホテル
2023年3月3日  島根あさひ訓練センター出発式 於:ホテルグランヴィア広島
【参加者】ユーザー、支援企業・団体、協会役職員等
【主 催】 公益財団法人日本盲導犬協会 
 
※以下より動画をご覧になれます。
https://www.youtube.com/playlist?list=PLiZEhdSGwiHeVqzOJNx4lH4nPpa0erxAu

 
【出発式の様子】
100人近い方が参加した式典もありました。普段はユーザーと会う機会が少ない支援者のみなさんが、直接ユーザーと顔を合わせて話を聞くことができる貴重な場にもなっています。ユーザーのコメントに「こちらが力をもらった」と涙を拭う支援者もいました。
 
 

神奈川訓練センターの出発式では10頭の盲導犬が整然と並ぶ姿に注目が集まりました
 
 
  
「街中で困っていると声を掛けてくれることが増えました」
 「スーパーへ買い物に行き、好きな食材を買ってご飯を作るのがとても楽しいです」
「朝4時の散歩でも、盲導犬なら喜んで付き合ってくれます」
                 (ユーザーの声を一部抜粋)
 
 

 記念品である、犬の名前入りカラー(首輪)と名前入りの盾を受け取るユーザー
 
ユーザーの声をぜひお聞きください。
 
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アジア初!日本盲導犬協会の多和田悟訓練士が国際盲導犬連盟よりケン・ロード賞を受賞 /release/202305165638 Wed, 17 May 2023 10:40:00 +0900 日本盲導犬協会   アジア初!日本盲導犬協会の多和田悟訓練士が 国際盲導犬連盟よりケン・ロード賞を受賞   公益財団法人 日本盲導犬協会(井上幸彦理事長)は、「目の見えない人、見えにくい人が、行きたい時に、行きたい... 公益財団法人 日本盲導犬協会
 
アジア初!日本盲導犬協会の多和田悟訓練士が
国際盲導犬連盟よりケン・ロード賞を受賞  
公益財団法人 日本盲導犬協会(井上幸彦理事長)は、「目の見えない人、見えにくい人が、行きたい時に、行きたい場所へ行くことができるように、私たちは、安全で快適な盲導犬との歩行を提供します」その使命に沿って半世紀以上にわたり、盲導犬育成事業を通じた視覚障害者の自立支援に貢献してきました。
盲導犬訓練士であり当協会常任理事でもある多和田悟氏が、4月27~29日カナダのバンクーバーで行われた国際盲導犬連盟*のカンファレンス(学術大会)において、世界の盲導犬育成事業における功績をたたえる「ケン・ロード賞」を受賞しました。国際盲導犬連盟の共同設立者の一人であり、40年以上盲導犬事業に貢献し、南アフリカ盲導犬協会のCEOを務めたケン・ロード氏の名を冠したこの賞は、国際的な盲導犬事業に長年貢献した人を称えるものです。
多和田氏は49年に渡るその功績が認められ、アジア初の受賞者となりました。国内においても、書籍「盲導犬クイールの一生」で主人公として描かれるなど、盲導犬の周知や理解促進に大きな影響を与えています。
 
   
    (左)授賞式で国際盲導犬連盟理事長ウィリアム・ソーントン氏 (右から2番目) らと
       喜びを分かち合う多和田氏(中央)
    (右)表彰盾には「盲導犬事業に対する多大な貢献を称えて」と記載されています
 
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【多和田 悟(たわだ さとる)プロフィール】
 

 
1952年12月6日生まれ、出身は滋賀県近江八幡市。1974年より日本盲導犬協会小金井訓練所で盲導犬訓練に携わり、以来1982年関西盲導犬協会訓練部長、1995年オーストラリア・クイーンズランド盲導犬協会で繁殖と訓練のマネージャーなどを歴任し2002年帰国。再び関西盲導犬協会に勤務した後、2004年から日本盲導犬協会盲導犬訓練士学校教務長、2009年、訓練育成責任者、2012年協会理事に就任。国際盲導犬連盟のアセッサー(査察員)として世界各国の盲導犬施設を査察、国際の舞台でも活躍している。
書籍「盲導犬クイールの一生」(著者:秋元良平、 石黒謙吾/出版:文藝春秋)では、主人公として描かれ、2003年、松竹映画「クイール」(2004年3月公開)の盲導犬指導を監修。「犬と話をつけるには」(文藝春秋)他著作もある。
 
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【業績】
 
1974年21歳で盲導犬協会の門を叩いてから40年以上にわたり、盲導犬育成の現場で多くの視覚障害者へ盲導犬歩行指導を行ってきた。盲導犬創成期、主流であった力ずくで犬に服従を求める「調教」による盲導犬育成に限界を感じ、視覚障害者がより使いやすい盲導犬の育成へ向け、新たな「訓練」理論を築く。
訓練の中で、2人で1頭の盲導犬を使用して歩くタンデム歩行を開発した。これによって夫婦等でどちらかが歩行を諦めることなく、一緒に出かけることも可能となった。また当時盲導犬の対象は、全盲で職に就いている人に限られていたのに対し、ロービジョン(見えにく状態)の方や主婦などにも拡げ盲導犬を提供した。見えないことで歩行に不便を感じているすべての人を対象とし、一人ひとりの課題と向き合いながら、視覚障害者の歩行文化をつくりあげてきた。
動物福祉から外れた旧態然としたやり方を改め、ユーザーが代替したくなるような理想的な盲導犬の育成を学ぶため1982年渡英。盲導犬繁殖の世界的権威であり盲導犬の発展に多大なる貢献をしたデレク・フリーマン氏と出会う。そこには「盲導犬になるために生まれてきた犬たち」が存在したのである。その出会いから、盲導犬を褒めて育てる陽性強化へとシフトし、パーソナルベース*からタスクベース**の訓練へと進化させた。さらに現在は、犬との相互作用の中で犬の素質を認め、人も犬も互いに成長していく「教育」を行う。多和田氏が長年かけて確立したこの育成ポリシーは、現在日本盲導犬協会だけでなく、盲導犬訓練のスタンダードとして国内外多くの団体へも浸透しつつある。
盲導犬育成を通じて視覚障害者の歩行支援にあたる人材を安定的に確保するため2004年開校した日本盲導犬協会付設盲導犬訓練士学校では、教務長として後進の育成にもあたる。そこから巣立った多くの訓練士は現在盲導犬育成現場をけん引するまでに成長している。白杖歩行指導員としての資格も有し、視覚障害者の歩行支援を包括的に担うプロフェッショナルとして、視覚障害リハビリテーションにおける盲導犬の可能性を追求し続ける。
※パーソナルベース:人との個別の関係性において犬が作業をする
※※タスクベース:相手を問わず科目中心に犬が作業をする
 
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【多和田悟氏からのコメント 】 
 
IGDFには1986年の創設準備会議の段階から携わってきました。盲導犬業界における国際的な協力関係の重要性に対する思いは、その当時から変わっていません。当協会がまだ加盟団体ではなかった1994年には、加盟団体の査察を行う査察員の一人に任命されました。今まで査察に訪れた協会は、17団体。その度各国の取り組みや成果を持ち帰ってきました。これからも世界と協調しながら、日本独特の歩みを進めていきたいと思っております。
 
◆国際盲導犬連盟(International Guide Dog Federation=IGDF)
1989年、国際盲導犬連盟が設立。目の見えない人、見えにくい人々の独立した歩行手段として、盲導犬の提供を推進する加盟団体の取り組みを支援している。
世界35か国、97の盲導犬育成団体が加盟。盲導犬育成に関するスタンダードを制定し、その基準を満たしていることが加盟の条件となり、加盟団体は5年に一度の査察を通過することが求められている。
訓練技術や繁殖、資金調達など盲導犬育成に関わるあらゆる分野に関する発表と交流の場として2年に一度カンファレンスを開催している。
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障害を理由とする差別は解消されているのか? 盲導犬ユーザー受け入れ拒否の実態報告 /release/202303214104 Wed, 22 Mar 2023 10:00:00 +0900 日本盲導犬協会 大型ショッピングモールで買い物を楽しむ盲導犬ユーザー(2021年7月宮城県仙台市)   障害者差別解消法施行から7年、身体障害者補助犬法施行からは20年以上が経過していますが、法律に対する社会の理解... 公益財団法人 日本盲導犬協会

大型ショッピングモールで買い物を楽しむ盲導犬ユーザー(2021年7月宮城県仙台市)
 
障害者差別解消法施行から7年、身体障害者補助犬法施行からは20年以上が経過していますが、法律に対する社会の理解は進んでいるのか? その実態を把握するために、公益財団法人日本盲導犬協会(井上幸彦理事長)は、盲導犬同伴での受け入れ拒否について使用者(以降ユーザー)に聞き取り調査を実施し、毎年集計、公開をしています。2022年の集計では、1年間で「受け入れ拒否にあった」と回答したユーザーが100人いて全体の45%に上りました。更に「障害を理由とする差別があった」と回答した人が71人(32%)いて、盲導犬同伴での受け入れ拒否の他にも、社会参加を阻む障壁が多数あることが明らかになりました。
こうした実態を多くの方へ伝えることにより、誰もが暮らしやすい社会へ向け、盲導犬や視覚障害に対するより一層の理解と法の周知を訴えたいと考えます。
 
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盲導犬同伴での受け入れ拒否が無くならない実態について、日本盲導犬協会が盲導犬ユーザーを対象に行った聞き取り調査の結果を、以下の通りまとめました。
 
【調査概要】(2016年から毎年集計、7回目)
調査対象:日本盲導犬協会所属のユーザー(盲導犬使用者)
対象者:221人 ※回答数:218人
調査対象期間:2022年1月1日~12月31日
調査方法:職員による電話とメールを使った聞き取り
質問内容:Q、盲導犬の受け入れ拒否に何回あいましたか
     Q、盲導犬受け入れ拒否を含む障害を理由とする差別にあいましたか
     Q、障害に対する人々の理解に変化があったと思いますか
     Q、あなたにとって、社会参加の障壁だと感じることは何ですか(複数回答可)


【結果】
①受け入れ拒否は増加 盲導犬同伴を理由にした「受け入れ拒否」については、100人(45%)が「ある」と回答。コロナ禍になって前々回41%→前回35%と減少傾向にあった数値が、今回45%と3年ぶりに増加しています。(グラフ1、2参照)
「ある」と答えた人の中には、10回以上受け入れ拒否にあった人がいる一方で、「ない」という人からは、「コロナ禍で外出を控えている」「受け入れてもらえる店にしか行かない」など外出を制限している様子が伺えました。
 
【グラフ1】受け入れ拒否にあったか      
   
 
【グラフ2】受け入れ拒否にあった割合の推移 
 
 
「ある」と答えた人へ拒否の回数を尋ねたところ、延べ196件発生していることが分かりました。前々回234件→前回184件から今回196件と増加しています。
 
 
②拒否の多かった業種は飲食店が最多 昨年発生した196件の受け入れ拒否が起こった場所を見てみると、飲食店が92件(47%)で最多、宿泊施設が25件(13%)、交通機関の24件(12%)が続き、飲食店が最多となりました。コロナ禍が落ち着いたことで社会活動が再開し、飲食店へ行く機会が多くなったと推測されます。(グラフ3参照)
 
【グラフ3】拒否のあった場所の内訳
 
 
経年の推移を見るために、ユーザーから要請があり、問題解決に向け協会が対応した「相談案件」の内訳で比較してみます。今回の調査で受け入れ拒否が起きた場所の割合で1位は飲食店で15件(29%)、コロナ禍の影響で割合は減少しているものの、昨年を除き常に最多で推移しています。2位は医療機関で、12件(24%)の相談が寄せられ年々増加傾向にあります。3位は交通機関の5件(10%)と続きます。(グラフ4、5参照)
受け入れ拒否をした事業者に拒否の理由を尋ねると、「受け入れの義務を知らなかった」「受け入れの義務が従業員へ周知されていない」「受け入れ方を誤解していた」など例年と変わらない回答があり、障害者差別解消法や身体障害者補助犬法の周知が進んでいないことが分かりました。
 
【グラフ4】拒否のあった場所の内訳(相談案件)
  
 
【グラフ5】拒否のあった場所の推移(相談案件)

 
<受け入れ拒否対応の事例>
盲導犬同伴で受け入れ拒否にあい、ユーザー自身の説明では理解が得られなかった場合、ユーザーの要請に応じて協会が問題解決へ向けて対応する「アドボカシー活動」を2005年2月から展開しています。医療機関・飲食店・宿泊施設での事例を挙げます。
 
■事例1:「盲導犬は入れないので他の病院へ行ってほしい」と言われた(埼玉県内)
インフルエンザワクチンを接種しようと内科クリニックを訪問。受付で「待合室の端で待って」と言われ待機していたところ、医師がやってきて「盲導犬は入れないので他の病院へ行ってほしい」と言われた。幸い別の医療機関でワクチンの接種はできたが、今後は当該クリニックを利用したいとユーザーから協会へ相談があった。地域の行政職員からクリニックに指導をしてもらえるよう、ユーザー自身が行政窓口へ連絡を入れる。行政からの指導の後、協会からも連絡を入れたところ、「今後受け入れ拒否をしないように気を付ける」「同伴可ステッカーも貼る」との回答が得られた。
 
■事例2:店舗責任者に確認するも「犬はダメ」と言われた(広島県内)
ユーザーが駅ビル内の飲食店へ家族と訪問したところ「犬はダメです」と店員に断られた。
盲導犬である旨を伝えたところ、店長へ確認を取ったが、同じく「犬はダメ」と断られたため店を後にした。後日、協会から連絡を入れ確認したところ、当日は店長が不在で、スタッフが、「駅ビル全体が盲導犬同伴不可」と誤解し拒否をしてしまった、とのことであった。謝罪と共に今後の受け入れを約束した。
駅ビルの管理会社にも確認したところ、受け入れについては各店舗の判断に委ねている状況であった。今後は全店舗で受け入れが徹底されるよう、理解促進に努めたいと回答を得た。
 
■事例3:電話予約で「衛生上入ることはできない」と告げられる(山形県内)
家族旅行のため、旅館に予約の電話を入れると「衛生上入ることはできない」との回答。盲導犬の役割、衛生管理について説明したが理解を得られなかった。協会が断った理由を聞くと「今まで受け入れたことが無い」「アレルギーのお客様がいるかもしれない」「他の利用者のことも考えてほしい」との回答で、受け入れの義務や盲導犬の衛生管理についての説明にも聞く耳をもたなかったため、行政窓口へ協力を仰いだ。後日行政職員が旅館を訪問し受け入れへの理解を促したところ、「今後は受け入れに協力する」との回答であった。
 
 今年2月、盲導犬ユーザーのスムーズな受け入れとサービス向上を目的に、株式会社マルエツで実施された視覚障害者への接客体験イベントの様子(マルエツ板橋南町店にて)
 
 
③障害を理由とする差別は30%台で推移 ここ1年間で「障害を理由とする差別があった」と回答したのは71人(32%)で、調査開始時から36%(2016年)→33%(2017年)→36%(2018年)と横ばいで推移しています。(グラフ6参照)
「あった」と答えた人からは「見えないなら行き先を説明できないだろうと、タクシーで乗車拒否された」「総合病院で事前に院内の案内を依頼したが断られた」など、心無い言葉や態度に苦悩する様子が浮かび上がってきます。
 
【グラフ6】障害を理由とする差別があったか

 
 
④障害に対する人々の理解は進んでいない ここ1年間の「障害に対する人々の理解や考え方の変化」を尋ねたところ、79人(36%)が「良い変化があったと感じる」と回答しました。推移をみると、26%(2016年)→49%(2017年)→44%(2018年)→36%(今回)と減少傾向にあり、理解が進んでいない現状が見えます。(グラフ7参照)
「変化した」と答えた人からは、「適度な距離感で声を掛けてもらうことが増えた」「盲導犬には触らないなどの理解が高まった」「助けを頼まなくても手を貸してくれる」などがありました。
一方「変化はなかった」と答えた131人(59%)からは、「法律や正しい知識が周知されていないことに変わりはない」「外出を控えているため変化は感じない」などの意見がありました。
 
【グラフ7】障害に対する人々の理解に変化があったか

 
⑤あらゆる場面で「社会の障壁」を感じている 具体的に「社会参加の障壁だと感じること」を尋ねたところ、様々な意見があがり、社会のあらゆる場面で壁が存在していることが分かりました。
 
「狭い道に路上駐車されていると通りづらい。迷っていたら邪魔だと言われた」 「盲導犬同伴の受け入れ拒否が多い」
「常に盲導犬同伴を断られた時のことを想定して行動しなければならず時々辛くなる」
「契約書を目で見て読めないことを理由に、契約を拒否された」
「飲食店の注文、レジ会計、病院での受付、家電などタッチパネルの物が増え、困ることが多い」
「音声でのスマートフォン操作には時間がかかり、決済画面などでタイムアウトしてしまう」
「音声読み上げ機能での操作に対応していないwebページが多い」
「ロービジョン(見えづらい視覚の状態)が理解されず、物をじっと見ていると不審者扱いされた」
「本人ではなくヘルパーなどの同行者に話しかけられる」
「目が見えなくてかわいそうと言われる」
こうしたコメントから、ICT技術の進化でタッチパネルが増え、視覚障害者への配慮が追い付いていないといった情報・文化的障壁が新たに生まれていることが分かってきました。契約書を読めないなどの制度的障壁、路上駐車があって歩きにくいなど物理的障壁他、見えなくて「かわいそう」と言われたり、自分ではなく同行者に話かけられる、といった心理的障壁も含まれていました。こうした障壁の多くは、社会の一人ひとりの気づきによって解消されると考えられます。
 
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【社会理解へ向けた活動】
日本盲導犬協会は、誰もが自由に社会参加できる共生社会の実現には、事業者への法律の周知が急務であると考えています。そのため各種セミナーを実施する他、法律の解説や盲導犬ユーザーが施設を利用する際の接客ポイントを紹介する動画をYouTube上で公開しています。この調査結果を受けて、こうした情報発信をさらに強化していきます。
 
<日本盲導犬協会公式YouTubeチャンネル>
動画『【入門】盲導犬ユーザーが施設に来たらどうする?~セミナー事前学習動画~』を公開

盲導犬や視覚障害の基礎知識、法律や障害のとらえ方、サポート方法などをわかりやすくまとめてあります。店舗など事業者向けに作成した動画ですが、一般の方にもおすすめです。ぜひご覧ください。
 
※日本盲導犬協会ホームページでも「盲導犬受け入れ拒否対応事例集」を公開しています。https://www.moudouken.net/special/case-study/
 

 
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視覚障害児とその家族を支援する 夏の一大イベント「ワン!ぱくっ子サマースクール」開催 /release/202209025938 Wed, 28 Sep 2022 11:00:00 +0900 日本盲導犬協会 公益財団法人 日本盲導犬協会(井上幸彦理事長)は盲導犬の育成だけではなく、視覚障害リハビリテーション事業にも注力し、目の見えない、見えにくい人の生活の質(QOL)向上と充実を目指しています。視覚障害... 公益財団法人 日本盲導犬協会


公益財団法人 日本盲導犬協会(井上幸彦理事長)は盲導犬の育成だけではなく、視覚障害リハビリテーション事業にも注力し、目の見えない、見えにくい人の生活の質(QOL)向上と充実を目指しています。視覚障害リハビリテーションとは、目の見えない、見えにくい状態になっても、さまざまな機器や用具を活用する、視覚以外の感覚などを生かした身体の使い方に変える、社会サービスを利用するなどして、視覚に障害があることで「できにくくなったこと」を「できる」ようサポートをすることです。盲導犬や白杖での歩行訓練、音声パソコンなどIT機器訓練、調理や裁縫ほか日常生活訓練などが挙げられます。
 
協会では視覚障害リハビリテーションの一環として、2003年から夏休みの特別企画「ワン!ぱくっ子サマースクール」を開催しています。視覚に障害のある小学生とその家族が数組合同で行う活動で、2泊3日の期間中、親から離れて子供同士でさまざまなプログラムを経験することで、自立心を養い、自分の可能性を再発見することを目的としています。これまでに延べ145人の児童とその家族が参加しており、買い物や料理など日常に役立つ生活体験から、カヌーやキャンプ、乗馬など普段はなかなか挑戦できないようなことまで、毎年工夫を凝らしたプログラムを用意しています。
新型コロナウイルス感染防止のため、2020年、2021年は中止を余儀なくされましたが、今年は感染対策を講じたうえで、7月29日から仙台訓練センターで実施しました。このたびはその様子をお届けします。
 
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「ワン!ぱくっ子サマースクール in 仙台」 (2022年度) 
開催レポート  
■イベント概要
開催日程:2022年7月29日(金)~31日(日)
開催場所:公益財団法人日本盲導犬協会 仙台訓練センター
参加者:12人(視覚障害児6人、障害児の家族6人)
 
■開催レポート
◎1日目(7月29日)
13:00~ 開会式(オリエンテーション/仙台訓練センターの館内探索)

オリエンテーションでは、参加者と協会職員が一人ずつ自己紹介を行いました。
初対面の人を前に緊張して話せず、同行した母親に代わりに挨拶をしてもらう子供もいました。しかし、最終日にはみんなの前でしっかりと感想を述べるなど、子供たちは著しい成長を見せました。
15:00~ 犬のブラッシング体験

参加した障害児6人が2チームに分かれ、犬のブラッシングを体験。ブラッシングをして、犬の抜けた毛の量が多いチームが勝利というゲーム対抗戦を行いました。まずは、6頭の中から1頭を選定するところから勝負スタート。「おとなしい犬はブラッシングしやすい」と黒色のラブラドール・レトリーバーを選択したチームと、「たくさんの量が取れるのは、毛の長いゴールデン・レトリーバーだ」とそれぞれ推測し、犬を選びました。
犬が苦手で触れるのが怖い子供もいましたが、職員にアドバイスをもらいながらチームメイトへブラッシング方法の指示や意見を出すなど、チームみんなで協力し合いながら対決に参加、盛り上がりました。
18:30~ 夕食・入浴・就寝
 
◎2日目(7月30日)
6:15~ 朝食
8:30~ SUP(サップ)体験

今年は、専用のボードに乗ってパドルを漕いで水面を進むアクティビティー「SUP(サップ)」にもチャレンジ。
職員が後ろに付き添いながらボードに乗って大海原へ。海の広さやボードの大きさなどが把握できず、当初は怖がっていた子供もいましたが、前日行ったレクチャーの成果もあり、全員がボードに立って乗ることができました。波に揺られながらボードに寝転がったり、思い思いに楽しむ様子もみられました。
13:30~ 昼食
昼食後、親同士の交流会
「ワン!ぱくっ子サマースクール」は、視覚障害児だけでなく、その家族同士の交流も図ることで、生活に役立つ情報の共有、精神的な面においても支えられるような関係を築くことも目的としています。またアイマスクを装着して料理するなどの体験も行い、家族が視覚障害についてより理解する機会も創出しています。
当日は、職員から子供の成長過程にあったサポート方法などを聞いたり、参加した親同士で子供たちの普段の様子などについて語り合いました。
16:00~ 白杖・盲導犬歩行体験

初めて白杖歩行を体験した子供は、白杖を使うことで障害物の高さなどが分かるのだと、便利さを実感していました。普段は周りの目が気になり、白杖歩行を躊躇してしまうこともある子供たちですが、みんなで一緒に楽しく体験をすることで、抵抗感を無くし、新たな歩行手段の一つとして考える大きなきっかけにつながります。また犬が怖くて触ることができなかった子供も、歩行体験では犬と一緒に歩くことができ、苦手を克服していました。
18:00~ 夕食
19:30~ 花火

花火に点火をした後、どのように火が広がっていくのか、実際に手で火を触り、確認をすることはできません。そのため、点火前、職員が作成した模型をもとに、真っすぐ火が出る、丸く広がるものなど花火の種類や形状についてみんなで確認をしました。
花火を知らない、音などから怖いと感じていた子供もいましたが、花火の構造を理解できたことで、子供たちは花火を思う存分に楽しむことができ、ひと夏の思い出となりました。
20:30~ 入浴・就寝
 
◎3日目(7月31日)
7:00~ 野菜収穫体験

仙台訓練センター近くの畑に行き、みんなで夏野菜を収穫。毎年恒例のプログラムです。 野菜がどんな風に育っているのか、ハサミを用いて実った野菜を収穫する方法など、職員が手引きしながら教えていきました。子供たちは、野菜の葉、茎などの大きさや高さ、においなど感じ取っていました。
また収穫した野菜は、この日の朝食で食べました。子供たちは「おいしかった」と言って、食べきれなかった野菜をうれしそうに持って帰っていました。
8:00~ 朝食
9:30~ お菓子(クッキー)づくり

例年は家族全員での参加も受け付けていましたが、今年度は障害児1人につき家族1人のみとしました。参加できなかった家族へのお土産にココアクッキーを作り、プレゼント用のラッピングにも挑戦。 ココアクッキーは、一工程ずつ作業を確認しながら作っていき、参加した障害児全員が上手に焼き上げることができました。トレイ(おぼん)の上で作業をすれば、小麦粉や砂糖がこぼれても確認できる、処理がしやすいなどのアドバイスも受け、子供たちは「家でも作ってみたい」「お父さんに食べて欲しい」と胸を膨らませていました。
12:30~ 閉会式・解散
 
■参加者の声
事後のアンケートでは、参加した障害児全員が「楽しかった」と回答しました。
以下、感想を抜粋して紹介します。
・1か月やりたいくらい楽しかった
・盲導犬ともっといろいろなことをやってみたかった。犬のお世話をする方法などもっと知りたい
・妹やお父さんにもアイマスクで盲導犬体験して欲しい。見えない怖さをいろんな人に知ってほしい
 
また後日、「ワン!ぱくっ子サマースクール」での思い出をポスターに描いてくれた子供もいました。


家族からは「普段は友達から教えてもらったり手伝ってもらうことが多いですが、今回は(自分から)教えてあげたい!手伝いたい!と積極的な子供の姿が見れてうれしかった」「親と離れて過ごす経験は、子供にとって精神的にも強くなるのだと感じた」「視覚障害者は、世の中の当たり前の存在であるものの、なかなか理解が得られず、親としてどのようにしたらいいのか悩む日々だった。こんなにも愛情を注いでくれる人たちがいることを知り、子供の将来がより楽しみになった」などの声が寄せられました。
 
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私たち日本盲導犬協会は、これからも視覚障害者の自立と社会参加のために、視覚障害リハビリテーションの拡充を図り、誰ひとり取り残さない社会を目指していきます。
 
協会では、他にもさまざまな視覚障害リハビリテーションを提供しています。
▶詳しくは、【こちら
 
協会では、他にもさまざまなイベントやセミナーを開催しています。
▶詳しくは、【こちら
 
※視覚障害リハビリテーションを希望される方は、最寄りの訓練センターまでお問い合わせください※
(日本盲導犬総合センター)0544-29-1010
(神奈川訓練センター)045-590-1595  
(仙台訓練センター)022-226-3910   
(島根あさひ訓練センター)0855-45-8311
 
 
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日本盲導犬協会創立55周年  目の見えない、見えにくい人を誰一人取り残さない社会を目指します /release/202208094923 Wed, 10 Aug 2022 10:30:00 +0900 日本盲導犬協会   公益財団法人 日本盲導犬協会(井上幸彦理事長)は、2022年8月10日に創立55周年を迎えました。 「目の見えない人、見えにくい人が、行きたい時に、行きたい場所へ行くことができるように、私たちは... 公益財団法人 日本盲導犬協会

 
公益財団法人 日本盲導犬協会(井上幸彦理事長)は、2022年8月10日に創立55周年を迎えました。
「目の見えない人、見えにくい人が、行きたい時に、行きたい場所へ行くことができるように、私たちは、安全で快適な盲導犬との歩行を提供します」その使命に沿って半世紀以上にわたり、盲導犬育成事業を通じた視覚障害者の自立支援に貢献してきました。
 
このたび盲導犬や協会の歴史を振り返るとともに、今後の活動方針や「盲導犬の未来」についてまとめたリリースを配信いたします。盲導犬や協会に興味があって歴史や事業詳細を知りたいという方はもちろん、初めてという方にも楽しんでいただけるよう写真や動画を交え紹介しています。
 
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日本盲導犬協会創立55周年
目の見えない、見えにくい人を誰一人取り残さない社会を目指します
 
1967年8月10日、盲導犬育成団体としては日本で初めて厚生省(当時)より正式許可を受け、財団法人日本盲導犬協会が設立しました。2010年には公益財団法人となり今年で55周年を迎えました。
横浜市、仙台市、静岡県富士宮市、島根県浜田市の4つの訓練センターと広島市にサテライトを構え、国内最大の盲導犬育成団体です。2022年度末の国内実働数848頭のうち242頭(29%)が日本盲導犬協会育成の盲導犬で、実働数、年間育成頭数共に国内最多です。協会は、2021年新たに打ち出した中長期計画に沿って、盲導犬育成事業促進と視覚障害者が暮らしやすい社会環境の整備をさらに進めていきます。
 
 
年間育成頭数8頭からのスタート 設立の翌年1968年3月には、訓練を終えて8人の盲導犬ユーザーが誕生しました。盲導犬と共に渋谷駅付近で記念の街頭パレードを行う様子がメディアで大きく報道されました。当時はまだ盲導犬が珍しく、一緒に交通機関を利用することも許されませんでした。ユーザーらが署名活動をして、電車やタクシーの利用を訴える、そんな時代でした。
盲導犬普及のプラカードを掲げ渋谷の街を颯爽と歩くユーザー。
当時はシェパードが主流でした
 
1997年協会は横浜市に近代的な施設を構え、安定的な盲導犬育成へと漕ぎだしました。
▶国内盲導犬実働頭数(2021年度)は【こちら
 
 
「日本初」の挑戦を歴史に刻んで  
盲導犬訓練士を育てる日本初の学校開設 協会が真っ先に取り組んだのは、訓練士の育成です。それまでは、訓練士になるために見習いとして働きながら時間をかけて技術を習得していました。良質な盲導犬の育成には、安定的な訓練士の育成が欠かせないと、2004年4月神奈川訓練センター内に盲導犬訓練士学校を開設します。集中的に学び、訓練技術だけでなく広く知識や教養を身につけるため、3年間のカリキュラムが実施されました。応募倍率20倍の狭き門を突破し入学した第1期生は、その後協会職員となり、現在訓練育成現場をけん引するまでに成長しています。
 盲導犬訓練士学校第1期生入学式の様子。
希望を胸に真新しいハーネスを受け取りました
 
一時学生募集を休止していましたが今年4月、訓練士学校は新たな制度で再スタートを切りました。実践現場でより多様な経験を積めるよう、訓練士候補生は職員という立場で学びながら視覚障害福祉のプロフェッショナルを目指します。現在、訓練士学校在籍は4人、その成長が期待されます。
▶盲導犬訓練士学校の詳しい情報は【こちら
 盲導犬の基本的な仕事は、道路上の角・段差・障害物を教えること。
犬が楽しんで作業できるように「できたら褒める」を繰り返します
 
 
犬が人とのコミュニケーションを楽しめるように、遊びも交えながら教えていきます
 
 
「盲導犬」のことを、もっと知ってもらいたい
日本初 常時見学可能な訓練センター「富士ハーネス」から情報発信強化 良質な盲導犬の誕生には、繁殖犬の確保や繁殖技術の向上が求められます。犬の誕生から引退後のケア、看取りまで、盲導犬の一生をトータルケアできる施設として、2006年10月静岡県富士宮市に日本盲導犬総合センター「盲導犬の里・富士ハーネス」が誕生しました。
 雄大な富士山のふもとに位置する「富士ハーネス」。
自然豊かな環境で、生れたばかりの子犬や出産を控えた母犬、引退犬など様々な犬がのんびりと過ごしています
 
 富士ハーネスでは年間100頭近いパピーが誕生します。
その 一頭一頭が幸せであるよう、最善を尽くし育成にあたっています
 
盲導犬を通じて目の見えない、見えにくい人への理解を深めてもらいたいと、一般の方が自由に見学できる設備も整えました。盲導犬の仕事を紹介するデモンストレーション他様々な展示を通じて盲導犬や視覚障害について学ぶことができるとあって、夏休みやゴールデンウィークには大勢の子供たちで賑わいます。時期によっては子犬たちが元気に遊ぶ姿も見られます。
絶好のロケーションを生かして、【協会公式YouTubeチャンネル】用の動画撮影やイベントの生配信も実施。より多くの方に情報を届けられるよう、SNSも活用して情報発信を活発に行っています。
▶富士ハーネスから発信しているYouTube動画は 【こちら
 
 
刑務所で盲導犬候補の子犬を育成する日本初の試み 2009年4月法務省に協力して、受刑者が盲導犬候補のパピーを育成するという日本初の試み「島根あさひ盲導犬パピープロジェクト」がスタートしました。運用準備へむけ前年の2008年10月には島根あさひ訓練センターが開設。育成施設がなかった中国四国地域で盲導犬の育成、視覚障害リハビリテーションの拠点として期待が集まりました。ご支援に支えられている協会にとって、このプロジェクトは恩返しとして社会貢献の可能性を広げられます。プロジェクトでは、これまでに70頭のパピーを育成し、15頭の盲導犬が誕生しています。
▶「島根あさひ盲導犬パピープロジェクト」 の詳しい情報は【こちら
 島根あさひ社会復帰促進センターにて盲導犬候補のパピーを手渡された訓練生(受刑者)たち。
週末には一般家庭のボランティアがパピーを預かり、1歳になるまで共に育てます
 
 
国際盲導犬連盟セミナーを日本初開催 世界的にみると、近代盲導犬の歴史はドイツが発祥とされています。戦争で失明した兵士たちのために、軍用犬を訓練して提供したのがはじめと言われています。日本へ最初に盲導犬がやってきたのも、1939年ドイツからでした。
▶世界の盲導犬育成における詳しい歴史情報は 【こちら
 
その後イギリス、アメリカ等で訓練技術が確立され、国際盲導犬連盟(IGDF)が誕生します。1998年国際的な育成基準を満たしているとして、協会はIGDF加盟を許可されます。2014年IGDF第13回セミナーが日本で開催されることとなり、協会はホスト団体として世界23か国68の育成団体から訓練士や関係者を迎え、交流や研究発表大会の運営を行いました。アニマルウェルフェアに配慮した盲導犬育成の徹底など、協会は世界基準に沿って事業を進めています。
2021年開催の東京パラリンピックでは、海外から盲導犬連れで来日するパラアスリート4人に対して、日本国内でも盲導犬と活動ができるよう証明書を発行しサポートもしました。協会では、今年新たに国際部を立ち上げ、海外関係団体との連携を強化していきます。
▶協会ホームページ 英語版は 【こちら】 
2022年7月には英国盲導犬協会のスタッフが来日。
日本で訓練された犬と歩いてみて、違いを確認しました。
パピーのやりとり他今後の連携協会が期待されます
 
 
2017年創立50周年で盲導犬180頭が一堂に集う 2017年10月6日、協会創立50周年記念式典が京王プラザホテル(東京都新宿区)で開催されました。全国から盲導犬ユーザーも参加して、180頭の盲導犬が結集しました。これだけ多くの盲導犬が一堂に会した前例はなく、ホテルでは、犬の排泄場所の設置や案内など、万全の準備がされました。式典の間、盲導犬たちはパートナーの足元でいつもどおりリラックス。ホテルのスタッフが「おとなしく静かで、犬の存在を忘れる」と驚くほどでした。
ホテルでの盲導犬受け入れに、何の問題もないことが証明されることとなりました。
 50周年記念式典会場の様子。
ユーザーも盲導犬も正装姿で勢ぞろいしました
 
 
コロナ禍を乗り越え、目の見えない、見えにくい人を
「誰も取り残さない」ために ~新たな中長期計画始動 2020年は新型コロナウイルスが猛威をふるい、協会事業も少ながらず影響を受けることとなりました。その中でも様々な工夫をしながら、歩みを止めず事業を続けてきました。
2021年世界的にも対応が求められるSDGsの目標達成へ向け、協会でもその目的に沿った中長期計画を打ち出しました。目の見えない、見えにくい方々へ盲導犬を安定的に提供し、盲導犬と活動しやすい社会環境を整えるなど、2023年までに達成すべきゴールへ向け新たなスタートを切りました。
▶中長期計画の詳しい情報は 【こちら】 
 盲導犬と一緒にどこへでも。
その歩みを止めないよう社会の理解を広げていきます
 
この計画では、待機期間をつくることなく盲導犬を貸与できる持続可能な体制づくりと同時に、視覚障害者、盲導犬ユーザーが過ごしやすい社会環境をめざします。
そのためには、盲導犬訓練の充実の他に、目の見えない、見えにくい人に必要な情報とリハビリテーションを届けることも重要です。見えにくくなった人の相談に応じたり、白杖歩行や在宅でのパソコン・スマートフォン利用訓練など、生活する上での新たな技術を身につけるサポートを積極的に行っています。
▶視覚障害リハビリテーション事業の概要情報は 【こちら】 
仙台訓練センターで2004年から続く視覚障害児向けプログラム「ワン!ぱくっ子サマースクール」で野菜の収穫に挑戦する子供たち
 
また、盲導犬や視覚障害に対する社会の理解も欠かせません。協会では、コロナ禍でも視覚障害者を取り残さないよう、市民のみなさんへ声かけのサポートを呼びかたり、事業者向けには、盲導犬の受け入れセミナーを多数実施。さらには未来をつくる子供たちへむけた講演を積極的に行っています。
▶イベント・セミナーの情報は 【こちら】 
 
 
盲導犬の未来って? 昨今テクノロジーの発展はめざましく、視覚障害者のサポート機器も開発が進みます。スマートフォンアプリと連動した点字ブロック、スマート電子白杖など、テクノロジーによって、誰も取り残さない社会が促進されることは喜ばしいことです。
協会では、日本科学未来館館長であり工学博士の浅川智恵子氏が手掛ける視覚障害者向け誘導ロボット「AIスーツケース」の開発に協力しています。実証実験にアドバイザーとして参加したり、研究者が盲導犬の動きを観察するために訓練現場を訪れるなど、AIスーツケースの開発に盲導犬育成の技術や知見が活かされています。実用化されれば、目の見えない、見えにくい方の歩行の選択肢が広がることが期待されます。
 
それでは「盲導犬は必要なくなるのか?」そんな声も聞こえてきます。
AIスーツケースのテスト歩行やアドバイスをした協会理事でもある多和田悟訓練士と浅川氏との対談の中で、このテーマが語られています。「盲導犬とAIスーツケース、それぞれにバリューがある」として、必要とする人がどちらも自由に選択できる未来像を描いています。

 
盲導犬は、その働きに注目が集まりますが、それだけではありません。共に生きるパートナーとして、心から「ありがとう」と伝えられること、存在そのものがバリューであるとも言えます。生き物であるからこそ、手を伸ばせばいつもそばにいて「ありがとう」と言える。そんな幸せがあります。
50年前もそして50年後も変わらず、人と盲導犬は、テクノロジーでは実現できない唯一無二の関係性で結ばれています。

 
 
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~10年後の未来を創る教育~ 盲導犬ユーザーから共生社会を学ぶ「全国一斉盲導犬教室」開催 /release/202206232899 Mon, 27 Jun 2022 10:30:00 +0900 日本盲導犬協会 公益財団法人 日本盲導犬協会(井上幸彦理事長)は、目の見えない、見えにくい人が安心して活動できる社会を目指して、盲導犬をはじめ視覚障害について社会の理解を促進するための活動を続けて参りました。202... 公益財団法人 日本盲導犬協会
公益財団法人 日本盲導犬協会(井上幸彦理事長)は、目の見えない、見えにくい人が安心して活動できる社会を目指して、盲導犬をはじめ視覚障害について社会の理解を促進するための活動を続けて参りました。2021年度からは、SDGsの理念に沿って持続可能な共生社会の実現へむけ、中長期的視野から新たな取り組みを始めています。中でも近年注力しているのが教育分野です。
 
教育分野における取り組みの一つとして、学校単位でオンラインにて参加可能な「全国一斉盲導犬教室」を実施しています。コロナ禍で学校への訪問が難しくなる中、子供たちに学びを継続してもらえるようオンラインで講義を実施。地域を問わず学びの機会を提供しています。
 
2年目となる今年は参加枠を拡大し、全8回、全国から最大160校の小学校が参加予定で、メディアおよび教育関係者のみなさまへも講義を公開いたします。この取り組みを多くの人に伝えることにより、子どもたちはもちろん、社会全体で盲導犬や視覚障害への理解がより一層進むことを期待します。ぜひご取材をお願いいたします。
 
  「全国一斉盲導犬教室」 授業風景
 
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■「全国一斉盲導犬教室」詳細  
1、日時
2022年7月5日(火)~8日(金)各日10:30~11:30
2023年1月31日(火)~2月3日(金)各日10:30~11:30
※日程ほか詳細は、下記協会ホームページを参照
https://www.moudouken.net/news/article/page_963.php
 
2、参加校
20校/1回
※参加予定校所在地域(6月27日現在)
北海道 宮城県 秋田県 山形県 福島県 茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県
千葉県 東京都 神奈川県 新潟県 山梨県 長野県 岐阜県 静岡県 愛知県
滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 鳥取県 岡山県 広島県
山口県 香川県 愛媛県 福岡県 長崎県 大分県 宮崎県 鹿児島県 沖縄県
 
3、配信場所
公益財団法人日本盲導犬協会 
日本盲導犬総合センター「盲導犬の里・富士ハーネス」
(住所)静岡県富士宮市人穴381
 
4、内容
・盲導犬デモンストレーション~盲導犬の働きや訓練について
・盲導犬ユーザーの日常~仕事場での様子を紹介
・目の見えない人、見えにくい人の生活について
・視覚障害者へのサポート方法の紹介
 
5、参加詳細      
・オンライン会議システムZoomにて参加(学校単位)
・参加費無料
※メディア関係者の取材および教育関係者(小・中学校教員等)で参加希望の方は、協会までお問い合わせください。
 
6、ご取材について
・Zoomでの聴講のほか、協会や盲導犬ユーザーへの取材も受け付けます。
 
盲導犬デモンストレーションの様子
 
 日本盲導犬総合センター からのトーク風景
 
 
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身体障害者補助犬法成立から20年 盲導犬ユーザー受け入れ拒否の実態報告 /release/202203238961 Thu, 24 Mar 2022 16:48:28 +0900 日本盲導犬協会     身体障害者補助犬法成立(2002年)から20年がたった今、補助犬に対する社会の理解は進んだのか?その実態を把握するために、公益財団法人日本盲導犬協会(井上幸彦理事長)は、盲導犬ユーザーから相... 公益財団法人 日本盲導犬協会
 

 
身体障害者補助犬法成立(2002年)から20年がたった今、補助犬に対する社会の理解は進んだのか?その実態を把握するために、公益財団法人日本盲導犬協会(井上幸彦理事長)は、盲導犬ユーザーから相談が寄せられた盲導犬同伴による受け入れ拒否への対応事例を毎年集計、公開しています。2021年度の集計では、昨年に続きコロナ禍で外出機会が減る中、解決が難しく協会が対応した事例が37件ありました。その中で最多となったのは医療機関での受け入れ拒否で、コロナ禍での衛生意識の高まりが、盲導犬同伴での施設利用を妨げる要因の一つになっていることがわかってきました。
拒否の原因では、「法律を知らない」とする事業者が多数いて、成立から20年を経ても未だ補助犬法が周知されていない現状が明らかになりました。
また昨年に続きコロナ禍の盲導犬ユーザーに対し実施した、外出時や社会参加での「困りごと」聞き取り調査についても同時に公開いたします。
 
こうした実態を多くの方へ伝えることにより、誰もが暮らしやすい社会へ向け、盲導犬や視覚障害に対するより一層の理解と法の周知を訴えたいと考えます。
 
以上、ぜひ報道いただけますようよろしくお願いいたします。
 

(医療機関のルールづくりをサポートする様子)
 
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身体障害者補助犬法成立から20年
盲導犬ユーザー受け入れ拒否の実態報告 ~医療機関における拒否が増加 コロナ禍の影響も
 
盲導犬同伴での受け入れ拒否が無くならない実態について、当協会が盲導犬ユーザーから相談を受けて問題解決へむけ対応した【1.盲導犬ユーザーの受け入れ拒否対応事例】と、盲導犬ユーザーを対象に行った【2.コロナ禍の盲導犬ユーザー外出時や社会参加での「困りごと」聞き取り調査結果】を以下のとおりまとめました。
 
1.盲導犬ユーザーの受け入れ拒否対応事例 盲導犬同伴で受け入れ拒否に遭い、ユーザー自身の説明では理解が得られなかった場合、ユーザーの要請に応じて協会が問題解決へむけ対応する「アドボカシー活動」を2005年2月から展開しています。2021年度はコロナ禍で外出を控える人もいた中、37件の対応依頼が協会に寄せられました。その集計結果と特徴的だった事例を抜粋し、現状と傾向を報告します。
 
【受け入れ拒否対応事例データ】
・集計対象:受け入れ拒否に遭ったユーザーから要請され、問題解決にむけ協会が対応した事例37件
・集計期間:2021年4月1日~2022年3月20日
 
<拒否対応概要と拒否理由から見える課題>
◆2021年度に対応した37件のうち、受け入れ拒否が起きた場所としては、医療機関が13件(35%)で最多、次に飲食店の9件(24%)、宿泊施設の6件(16%)が続きました。(グラフ1参照)
医療機関が最多となるのは2005年以降初めてのことです。コロナ禍、医療現場での拒否が増えた理由としては、犬がウイルスを運ぶなど、誤った理解があったこと、敏感になっている他患者への影響を懸念しているなどが推測されます。命と直結する医療現場での拒否は、ユーザーに大きな不安とストレスをもたらしています。
中にはコロナウイルスワクチンの接種会場に犬と同伴できない、などの事例もありました。(<受け入れ拒否対応・事例>事例1参照)
グラフ1[拒否の起きた場所]
 
◆一方、受け入れる医療機関側からは「診察室には衛生的に犬を入れられない」「コロナへの不安感がある中、犬の存在は苦情に繋がるかもしれない」などの犬の衛生面での懸念の声がありました。(グラフ2参照)
こうした不安を解消するために協会は、身体障害者補助犬法に基づく盲導犬の衛生管理を説明する他、どこまで犬と同伴できるか、犬の待機場所の検討など、病院内のルールづくりのサポートも実施しました。
グラフ2[盲導犬受け入れへの懸念点]
 
◆受け入れ拒否の原因を聞き取ると、大きく3つありました。
受け入れ側の事業者が「法律を知らなかった」が15件(41%)、 事業者が法律をよく理解しておらず「受け入れ方を誤解していた」も合わせると24件(65%)に及びます。(グラフ3参照)
他には「従業員への教育不足」が7件(19%)と、いずれも、身体障害者補助犬法の周知が進んでいないことが明らかです。
グラフ3[受け入れ拒否の原因]
 
2019年日本補助犬情報センター (※)によれば、市民の補助犬法の認知度について「法律の名称も内容も知らない」と回答した人が68.6%と報告されています。障害のあるなしにかかわらず、誰もが自由に社会参加できる共生社会実現へ向け、事業者への身体障害者補助犬法および障害者差別解消法の周知が急務であると考えます。
※日本補助犬情報センター「就労している成人への身体障害者補助犬法周知と身体障害者補助犬の受け入れに関する調査」(2019年掲載)
 
 
<受け入れ拒否対応・事例>
新型コロナウイルスワクチンの集団接種会場の例と、医療機関での2例、法律を知らないことによって起きた飲食店の事例を挙げます。
 
■事例1:新型コロナウイルスワクチンの集団接種会場にて(青森県内)
ユーザーがワクチン接種の予約時に「犬は入口か通路で待たせて」と言われた。初めて行く場所で犬を待機させることに不安を感じ、ワクチン接種対策室を事前に訪問し、盲導犬の受け入れに関する資料を持参し説明した。接種室の担当者からは「当日の担当医にも説明しておきます」と返事があり安心していたが、当日会場へ行ってみると、事前に説明していた内容は周知されておらず、犬を入口で待たせるよう言われた。ユーザーは「犬を離れた場所で待機をさせるのは心配だ」と伝えるも、担当医より「衛生上、診察室に盲導犬が入るのは好ましくない」との指示があり、診察室前で盲導犬を待機させることになった。
協会が対応することで2度目の接種では正しく周知がされ盲導犬を待機させることなく同伴することができた。
 
■事例2:「受け入れ経験のある病院へ行ってほしい」と言われた
ユーザーが受診の問合せをしたところ、「ルールや設備が整っていない。すでに受け入れている病院で受診してほしい」と断られた。受け入れ方の説明もしたが、聞き入れられなかったため予約を諦めた。後日、協会から法律や具体的な受け入れ方を助言しルールを作成。結果的にユーザーは予約することができ、当日も問題なく受診ができた。
 
■事例3:「土足の盲導犬はコロナを持ち込む」と言われた
ユーザーが予約の上で歯科を訪れたところ「犬は玄関に置いておくように」と言われ、やむを得ず同伴していたヘルパーに盲導犬を預けて受診した。「犬は土足だからコロナを持ち込むリスクが高い」という理由で、他にも「診察室は手術室と同等の清潔区域のため犬は入れられない」「他の方の迷惑になるから午前最後の時間でなければ予約は受けられない」など多くの制限を課せられた。後日、他の歯科の受け入れ事例を交えて説明することで法律への理解が得られ、不安なことはユーザーと話し合い決めていくことになった。
 
■事例4:「盲導犬が入ったら他のお客さんの迷惑になる」と言われた
ユーザーが飲食店を訪問したところ、「犬アレルギーの人がいるかもしれない。責任者不在のため判断できない」と店員に断られ、食事を諦めた。改めて店舗責任者に問い合わせると「盲導犬が入ったら他のお客さんの迷惑になる。飲食店は今とても厳しい。他のお客さんから苦情が入ったら責任をとれるのか」と強い口調で拒まれた。後日、行政窓口から店舗へ法律について説明いただき、理解を得た。
 
 
2.コロナ禍の盲導犬ユーザー外出時や社会参加での「困りごと」聞き取り調査結果  
・調査対象:日本盲導犬協会所属のユーザー(盲導犬使用者)225人
      回答数215人(男性96人 女性119人)
・調査対象期間:2021年1月1日~12月31日
・調査方法:職員による電話とメールを使っての聞き取り
 
<聞き取り調査の概要>
①受け入れ拒否は暫定的に減少
盲導犬同伴を理由にした「受け入れ拒否」については、75人(35%)が「ある」と回答。これまでは60%前後で推移してきましたが、コロナ禍になって前回41%→今回35%と大きく減少しています。(グラフ4参照)
「ある」と答えた人の多くが複数回の受け入れ拒否を経験している一方で、「ない」という人からは「コロナ禍なのであまり外出しない」「利用経験のある店にしかいかない」とする声が多くありました。これらのデータから受け入れ拒否の減少は、コロナ禍でユーザーの外出頻度が減ったこと、行動範囲が狭まったことが要因と推察されます。
グラフ4[盲導犬受け入れ拒否にあった人の割合]
 
②外出時の不安・困りごとで最も多かったのは「ソーシャルディスタンスが分かりづらい」
設問は選択肢7つの複数回答でしたが、抜きんでて多かったのが「ソーシャルディスタンスが分かりづらい」で42%。次いで「商品などを触るため周囲の目が気になる」(21%)、「周囲に手引きなどのサポートを頼みづらい」(19%)など、周りに気兼ねしながら外出するユーザーの姿が浮かんできます。(グラフ5参照) 
グラフ5[コロナ禍 外出時の困りごと]
 
自由回答では「消毒液の置き場所が分からない」「レジ前などの床にあるソーシャルディスタンスの印が分からず並ぶのに困った」といった意見がありました。その他にも、「スーパーで買い物のサポートを得るためには前日予約が必要になった」「ヘルパーに同行援護をお願いしたら電車や人混みは嫌だからと断られた」という声もありました。盲導犬と単身で自由に外出できるはずが、感染対策がバリアになり外出できない。コロナ禍3年目にして、視覚障害者の困りごとは解消されていない現状が浮かび上がってきました。

 
③障害に対する人々の理解は「変化したと思わない」
ここ1年間の「障害に対する人々の理解や考え方の変化」を尋ねたところ、84人(39%)が「良い変化があったと感じる」と回答しました。この回答を年別に振り返ると、49%(18年)→44%(19年)→39%(今回)と減少傾向にあります。その理由として「出かけていないのでわからない」「人との関わりがなく分からない」という内容が多く、外出の機会が少なく変化を実感しづらかったことが考えられます。
一方で、「変化した」と答えた人からは、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会や、視覚障害を題材にしたテレビドラマの影響で「声を掛けられる機会が増えた」という意見が多数あり、メディア報道が人々へ与えた影響がうかがえます。
 
****************************************
 
社会理解へ向けた活動 日本盲導犬協会では、誰もが自由に社会参加できる共生社会の実現には、事業者への法律の周知が急務であると考え、各種セミナーを実施する他、盲導犬ユーザーの施設利用や接客ポイントを紹介する動画をYouTube上で公開しています。この調査結果を受けて、情報発信をさらに強化していきます。
 
<日本盲導犬協会公式YouTubeチャンネル>
https://www.youtube.com/channel/UCgMFOlFDeKasiqlEttT4f9g
再生リスト「かいけつ!盲導犬の○○がキニナル?」
https://www.youtube.com/playlist?list=PLiZEhdSGwiHccGoz_uqrw5auAqn04rOH0

 
<盲導犬ユーザー受け入れ・接客セミナー>
https://www.moudouken.net/news/article/page_352.php
2021年度開催の様子

■「盲導犬受け入れ拒否対応事例集」をホームページでも公開しています。https://www.moudouken.net/special/case-study/
 

 
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~10年後の未来を創る~ 子どもたちに盲導犬や視覚障害の理解促進を「全国一斉盲導犬教室」初開催 /release/202106226621 Tue, 29 Jun 2021 12:00:00 +0900 日本盲導犬協会   公益財団法人 日本盲導犬協会(井上幸彦理事長)は、目の見えない、見えにくい人が安心して活動できる社会を目指して、盲導犬をはじめ視覚障害について社会の理解を促進するため活動を続けて参りました。20... 公益財団法人 日本盲導犬協会
 
公益財団法人 日本盲導犬協会(井上幸彦理事長)は、目の見えない、見えにくい人が安心して活動できる社会を目指して、盲導犬をはじめ視覚障害について社会の理解を促進するため活動を続けて参りました。2021年度からは、SDGsによる持続可能な共生社会の実現へむけ、中長期的視野から新たな取り組みを始めています。中でも近年注力しているのが教育分野です。小学校を中心に、授業内で講義や実演を行うことで、未来を担う子どもたちが盲導犬や視覚に障害のある人とふれあう機会を創出しています。年間でおよそ300校を訪問していましたが、コロナ禍ではままならない状況です。
 
withコロナの時代でも、多くの子どもたちに学ぶ機会を提供できるよう、学校単位で参加可能な「全国一斉盲導犬教室」をオンラインで開催することといたしました。
 
6月から全4回開催予定で、全国から81の小学校が参加します。このうち第2回目となる7月6日開催の授業について、 メディアおよび教育関係者のみなさまへも公開いたします。 この取り組みを多くの人に伝えることにより、子どもたちはもちろん、社会全体で盲導犬や視覚障害への理解がより一層進むことを期待します。ぜひご取材をお願いいたします。
 
更に2022年開催日程も決定し、参加する学校を募集いたします。盲導犬教室の取材および追加開催の告知について広く報道いただきたく、何卒ご協力をお願い申し上げます。
学校キャラバンオンライン学校キャラバン
 
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「全国一斉盲導犬教室」参加詳細  
 
デモンストレーションの様子
 
 
1.日時 
2021年7月6日(火)11:00~12:00
 
2.参加校 
20校
岩手県1校、福島県1校、山形県1校、栃木県3校、茨城県2校、埼玉県1校、
東京都1校、静岡県1校、岐阜県1校、兵庫県1校、愛媛県1校、福岡県3校、
宮崎県1校、鹿児島県1校、佐賀県1校
 
3.配信場所
公益財団法人日本盲導犬協会 
日本盲導犬総合センター「盲導犬の里・富士ハーネス」
静岡県富士宮市人穴381
 
4.内容
・盲導犬デモンストレーション~盲導犬の働きや訓練について
・盲導犬ユーザーの日常~仕事場での様子を紹介
・目の見えない人、見えにくい人の生活について
・視覚障害者へのサポート方法の紹介
 
5.参加詳細      
・オンライン会議システムZoomにて参加(学校単位)
・参加費無料
※メディア関係者の取材および教育関係者(小・中学校教員等)で参加希望の方は、協会までお問い合わせください。
 
6.追加開催情報
2022年1月26日(水)11:00~12:00
    2月2日(水)11:00~12:00
※応募詳細については近日中にホームページで公開予定
<日本盲導犬協会ホームページ>
https://www.moudouken.net/
 
7.取材について
・Zoomでの聴講のほか、協会や盲導犬ユーザーへの取材も受け付けます。
デモンストレーションの様子トークの様子 
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障害者差別解消法施行から5年 盲導犬ユーザー受け入れ拒否の実態報告 /release/202105144900 Mon, 17 May 2021 14:03:28 +0900 日本盲導犬協会 障害者差別解消法施行(2016年)から5年がたった今、視覚障害者に対する社会の理解は進んだのか?その実態を把握するために、公益財団法人日本盲導犬協会(井上幸彦理事長)は、盲導犬ユーザーから相談が寄せ...  公益財団法人 日本盲導犬協会


障害者差別解消法施行(2016年)から5年がたった今、視覚障害者に対する社会の理解は進んだのか?その実態を把握するために、公益財団法人日本盲導犬協会(井上幸彦理事長)は、盲導犬ユーザーから相談が寄せられた盲導犬同伴による受け入れ拒否への対応事例を毎年集計、公開しています。2020年度の集計では、コロナ禍で外出機会が減る中、解決が難しく協会が対応した事例が34件ありました。さらに盲導犬ユーザーへの聞き取り調査からは、コロナ感染を理由とする拒否が発生していることもわかってきました。
 
こうした状況を多くの方へ伝えることにより、誰もが暮らしやすい社会へ向け、盲導犬や視覚障害に対するより一層の理解と法の周知を徹底したいと考えます。
 
以上、ぜひ報道いただけますようよろしくお願いいたします。
 
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障害者差別解消法施行から5年
盲導犬ユーザー受け入れ拒否の実態報告 ~コロナ感染理由の拒否も
 
盲導犬同伴での受け入れ拒否が無くならない実態について、当協会が盲導犬ユーザーから相談を受けて問題解決へむけ対応した【1.盲導犬ユーザーの受け入れ拒否対応事例】と、盲導犬ユーザーを対象に行った【2.コロナ禍の盲導犬ユーザー外出時や社会参加での「困りごと」聞き取り調査結果】を以下のとおりまとめました。
 
1.盲導犬ユーザーの受け入れ拒否対応事例 盲導犬同伴で受け入れ拒否に遭い、ユーザー自身の説明では理解が得られなかった場合、ユーザーの要請に応じて協会が問題解決へむけ対応する「アドボカシー活動」を2005年2月から展開しています。2020年度はコロナ禍で外出を控える人もいた中、34件の対応依頼が協会に寄せられました。その集計結果と特徴的だった事例を抜粋し、現状と傾向を報告します。
 
【受け入れ拒否対応事例データ】
集計対象:受け入れ拒否に遭ったユーザーから要請され、問題解決にむけ協会が対応した事例34件
集計期間:2020年4月1日~2021年3月31日
 
<拒否対応概要と拒否理由から見える課題>
・2020年度に対応した34件のうち、受け入れ拒否が起きた場所としては、飲食店が16件(47%)で最多、次に医療機関の8件(24%)、小売店の3件(9%)が続きました。この3年間の対応件数を合計した数字でも、飲食店47%、医療機関17%、小売店7%の順で変わりません。
※プレスリリース添付ファイル:
資料②【「盲導犬受け入れ拒否」の対応数推移】をご参照ください。
 
・2020年度飲食店で起きた拒否のうち、複数店舗を経営するチェーン店と個人店舗と比較したところ同数となり、店の業態によって拒否の割合に変化はみられませんでした。チェーン店では、多数いる従業員すべてに教育を行き届かせることが難しく、拒否が発生していました。個人店舗では、責任者が受け入れの義務自体を知らないことも多くありました。

※プレスリリース添付ファイル:
資料②【盲導犬受け入れ拒否のあった場所・業種(2020年度)】をご参照ください。
 
・受け入れ拒否の原因は大きく3つありました
事業者が「受け入れの義務を従業員に徹底できていなかった」など教育不足が17件(50%)、事業者が「受け入れ義務を知らなかった」が12件(35%)、事業者が「受け入れについて誤解をしていた」が4件(12%)です。
このデータからも、障害者差別解消法や身体障害者補助犬法の周知が進んでいないことが明らかです。たとえ企業が法律を理解していても、従業員への教育が不足し現場へ浸透していないことがわかります。同じ店でも、対応者によって受け入れの可否が変わるケースもありました。

※プレスリリース添付ファイル:
資料②【受け入れ拒否の原因】をご参照ください。
 
・受け入れに対する具体的な懸念の声としては、シートを汚すのではなど犬の衛生面への懸念が6件(18%)、アレルギーの客がいるかもしれないという懸念が6件(18%)、犬が嚙みついたり床を傷つけたりするのではなどの犬行動面への懸念が4件(12%)でした。他、設備が整っていない、人手不足などです。

※プレスリリース添付ファイル:
資料②【事業者の懸念点(複数選択あり)】をご参照ください。
 
2016年に施行された障害者差別解消法では、誰もが等しく店やサービスを利用できるよう、事業者側は求めに応じて配慮しなければならない、としています。盲導犬同伴を理由に視覚障害者の入店を拒むことは「障害を理由とした差別」にあたりますが、差別解消法の周知は未だ進んでいないことが数字からも明らかです。
障害のあるなしにかかわらず、誰もが自由に社会参加できる共生社会実現へ向け、障害者差別解消法および身体障害者補助犬法の周知と、事業者および従業員への教育が急務であると考えます。
 

 
<受け入れ拒否対応・事例>
事業者で規定された受け入れのルールが従業員へ周知徹底されていないことによって起こった飲食店での2例と、医療機関、小売店の事例を挙げます。
 
■事例①:「本社の指示で入れない」と言われた
ユーザーがカフェの予約のため問い合わせたところ、店員より「本社の指示で盲導犬は入店できない」と言われた。協会から連絡をして責任者に確認すると、本社では補助犬の受け入れはルール化されており、該当店舗でも「盲導犬はこれまで受け入れていた」。店長は店員の拒否について把握しておらず「独断で断ってしまったのではないか」とのことだった。再度店員へ法の周知をお願いし、ユーザーには「いつでも来店してほしい」とする店舗側からのメッセージを伝えた。
 
■事例②:店長によって認識の違いがあった
過去に利用経験のある店舗にて、ユーザーの家族が先に店舗に入り盲導犬同伴であることを伝えたところ、拒否。説明を試みるが、当時とは店長が変わり「だめです」と断られた。「盲導犬はペットではなく、受け入れる義務がある」ことを伝えたが、強く拒否されたので、諦めて食事をせずに帰った。その後店長は自ら本社へ確認し、誤った対応であったことを知った。本社では受け入れに関する規定は存在するものの、これまで店舗へ指導したことはなく、店長によって認識に違いが生じていた。本社から全店へ受け入れの周知を依頼した。
 
■事例③:救急搬送時に盲導犬を理由に受け入れ拒否
ユーザー自身の体調不良により救急搬送。搬送先の候補であった2か所の病院で盲導犬を理由に断られたことを救急隊員から知らされた。その後、1か所の病院からは「当日はスタッフが不適切な対応をしてしまったが、受け入れている」「受け入れる決まりにはなっていたが、明確なルール(犬をどこに待機させるかなど)が無かった」と説明があった。盲導犬の受け入れについて再度周知し、受け入れ方が不明瞭だった部分については病院内で検討を進めている。
 
■事例④:コンビニエンスストアで外国人店員による受け入れ拒否
同チェーン店2店舗にて立て続けに拒否。対応スタッフが2店舗とも外国人だったこともあり、ユーザーが「盲導犬は入れるはずだから調べてほしい」と話すも伝わらず、「犬はだめ」と断られた。協会から連絡をしたところ、店舗責任者は盲導犬の受け入れ義務を認識しており、改めて従業員の教育をするとの回答。しかし、本社には対応したスタッフの母国語を話せる人がいなかったため、同国出身で日本語が流暢な別のスタッフを介して通訳、説明することになった。
 
 
2.コロナ禍の盲導犬ユーザー 外出時や社会参加での「困りごと」聞き取り調査結果  
【 調査データ 】
調査対象:日本盲導犬協会所属のユーザー(盲導犬使用者)230人 
     回答数227人(男性104人 女性123人)
調査対象期間:2020年1月1日~12月31日
調査方法:職員による電話とメールを使っての聞き取り
 
<聞き取り調査の概要>
①外出時の不安・困りごとで最も多かったのは「ソーシャルディスタンスが分かりづらい」
設問は選択肢8つの複数回答でしたが、抜きんでて多かったのが「ソーシャルディスタンスが分かりづらい」で41%。「周囲に手引きなどのサポートを頼みづらい」(22%)、「商品などを触るため周囲の目が気になる」(21%)など、周りに気兼ねしながら外出するユーザーの姿が浮かんできました。
自由回答では「消毒液の置き場所が分からない」「スーパーのレジに並ぶのに距離感や進み具合が分からなくて困った」といった意見が多数でした。
 
②コロナ感染を理由にサポートや受け入れを断られた
不安・困りごとの選択肢8つの中で、「犬の感染を理由に拒否に遭うのでは」は12%でしたが、実際はどうだったのでしょうか。「コロナ感染を理由に店や施設でサポートを断られたり、入店を拒否されたりしたことがあるか」と質問したところ、14人(6%)が「ある」と回答。コメント欄を見ると、「コロナなので犬から人にうつるので駄目」や「デパートの地下売り場で買い物をしようと、いつも通りの誘導を依頼したら、『感染症対策のためにできない』と受付で断られた」という事例もありました。
「コロナ禍でサポートを人に頼みづらい」、そのため「家族にお願いしている」「サポートが必要な場所には行かないようにしている」という声も寄せられました。盲導犬と単身で自由に外出できるはずが、出先で人のサポートを得られるか心配で断念せざるを得ない。以前にも増して、コロナ禍で視覚障害の方が不自由を強いられている現状が浮かび上がってきました。
 
③受け入れ拒否は暫定的に減少
盲導犬同伴を理由にした「受け入れ拒否」については、93人(41%)が「ある」と回答。ここ数年は60%前後で推移してきましたが、今回は大きく減っています。コロナによる外出自粛要請でユーザーの外出頻度が減ったのが要因と推察されます。
「コロナ禍なので断られそうなところに行かない」「病院への付きそいでは犬を置いていくことにした」など、受け入れ拒否を避けるための行動を余儀なくされていたことも伺えました。
 
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【社会理解へ向けた活動】
この調査結果を受けて、日本盲導犬協会では、誰もが自由に社会参加できる共生社会の実現には、事業者及びその従業員への教育が急務であると考え、「オンライン盲導犬ユーザー受け入れ・接客セミナー」を4月から定期開催しています。  
<飲食店向け>
https://www.moudouken.net/news/article/page_584.php
4月19日に開催した第1回では17施設43名の参加があり、盲導犬ユーザーの誘導方法や新型コロナウイルス感染防止の観点から具体的な質問が寄せられました。
<宿泊事業者向け>
https://www.moudouken.net/news/article/page_291.php
<医療機関向け>
https://www.moudouken.net/news/article/page_940.php
<商業施設向け>
https://www.moudouken.net/news/article/page_140.php
「オンライン盲導犬ユーザー受け入れ・接客セミナー」の様子
 
★「盲導犬受け入れ拒否対応事例集」をホームページでも公開しています。https://www.moudouken.net/special/case-study/
 
★協会公式YouTubeチャンネルにて、盲導犬ユーザーによる入店拒否の経験談や盲導犬との生活について語っています。


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コロナ禍の盲導犬ユーザー 『困りごと』聞き取り調査 「消毒液の置き場所や人との間隔が分からない」 /release/202103182433 Fri, 19 Mar 2021 15:10:19 +0900 日本盲導犬協会       公益財団法人日本盲導犬協会(井上幸彦理事長)は、盲導犬歩行のフォローアップの一環で、毎年1、2月にユーザーへの聞き取り調査を行っています。 今回はその調査(盲導犬を使用する視覚障害者22... 公益財団法人 日本盲導犬協会
 

 
 
公益財団法人日本盲導犬協会(井上幸彦理事長)は、盲導犬歩行のフォローアップの一環で、毎年1、2月にユーザーへの聞き取り調査を行っています。
今回はその調査(盲導犬を使用する視覚障害者227人対象)でコロナ禍での外出時の不安や困りごとについても尋ねました。
感染防止のためにソーシャルディスタンスの確保や外出自粛、頻繁な手指消毒が求められていますが、ユーザーからは「レジに並ぶ列でも人との距離が分からない」「消毒液の置き場所が分からない」といった困惑が寄せられました。またコロナ感染を理由に、手引きなどのサポートや盲導犬同伴での受け入れを断られる事例もありました。以前にも増して、コロナ禍で視覚障害の方が不自由を強いられている現状が浮かび上がってきます。
周囲から「お手伝いしましょうか」と声をかけるなどちょっとした気遣いがあれば、こうした不安も和らぎます。「新しい生活様式」でも誰もが安心して暮らせる社会となるよう、視覚障害の方への声かけやサポートのご協力を改めてお願いいたします。
 
以上、ぜひ報道いただけますようよろしくお願いいたします。
 
 
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コロナ禍の盲導犬ユーザー                            外出時や社会参加での「困りごと」聞き取り調査報告 ~「消毒液の置き場所や人との間隔が分からない」周囲の声かけが必要です
 
 
【目的】
日本盲導犬協会は、盲導犬歩行で困っていることはないかなど盲導犬ユーザーのフォローアップの一環として毎年、定期的に「聞き取り調査」を実施しています。「盲導犬同伴での社会の受け入れ」などについて聞きますが、今回は「コロナ禍での外出時の不安、困りごと」についても尋ね、ユーザーの社会参加への影響を調査しました。
 
【調査概要】
調査対象:日本盲導犬協会所属のユーザー(盲導犬使用者)230人
     回答数227人(男性104人 女性123人)
調査対象期間:2020年1月から12月末までの1年間
調査期間:2021年1月~2月末
調査方法:職員による電話とメールを使っての聞き取り
 
【回答内容の比率について】
比率は、小数点以下第1位を四捨五入して記述
複数回答設問には、回答数を母数として比率を算出
 
【結果】 
 
1 .外出時の不安、困りごと1位は「ソーシャルディスタンスが分かりづらい」  
コロナ禍での外出時の困りごとを尋ねた(選択肢8つの複数回答可)ところ、「ソーシャルディスタンスが分かりづらい」(41%)が突出して多く、次いで「周囲に手引きなどのサポートを頼みづらい」(22%)、「商品などを触るため周囲の目が気になる」(21%)、「同行援護依頼回数が減った」(20%)、「声かけや周囲のサポートが減った」(18%)が続きました。また、「犬の感染を理由に拒否に遭うのではと不安」(12%)もありました。
 

 
この設問でのコメントを抜粋してみました。
・「消毒液の置き場所が分からない」
・「スーパーのレジに並ぶのに距離感や進み具合が分からなくて困った」が複数件
 
・「病院の待合室でソファの間隔を空けるのが難しい」
・「店で機械での支払いが増えてきてサポートを受けるまでに時間がかかる」
・「飛沫防御シートで声が聞きづらい、距離がわかりにくい」
・「物に触ることが不安」
 
目が見えない、見えにくい人にとって、音声情報や触覚情報は日常生活に欠かせません。感染防止のため店頭で手指消毒が求められ、カード決済など非接触型の生活が推奨されても、実行するには周囲の手助けが必要です。スーパーのレジで人との間隔を取るにも、周囲からの情報がないとわかりません。データからも、コロナ禍において視覚障害の方は、「声かけ」や「サポート」を必要としていることが改めて示されています。
こんな声もありました。「盲導犬ユーザーとして外出していることに何か文句を言われないか、不安だ」。見えない、見えにくい方にこのような思いをさせない、そんな社会を目指したいと考えます。
 
 
2.コロナを理由に盲導犬受け入れやサポートを断られる  
外出時の不安を尋ねた質問で、「犬の感染を理由に拒否に遭うのではと不安」が12%ありましたが、実際はどうだったでしょうか。「コロナ感染を理由に、店や施設でサポートを断られたり、入店を拒否されたりしたことがあるか」を聞くと、14人(6%)が「ある」と答えました。
 
具体的にはどうだったのでしょうか、コメント欄からみてみます。
・「いつも宿泊しているホテルなのにコロナだからと断られた」
・「犬から人間に(コロナウイルスが)うつる」「こんなご時世なので…」と犬を敬遠する事例。
・「デパートの地下で買い物をしようと、いつも通りの誘導を依頼したら、『感染症対策のためにできない』と受付の方から断られた」
・「スーパーで以前はいつ行っても介助してもらえたが、6月ごろから『スタッフが少ないから事前に連絡して』と言われ、さらに『その日、その時間帯は無理』と自由に利用できなくなった」など今までどおりのサポートが受けられなかった事例がありました。
 
「コロナ禍でサポートを人に頼みづらい」。なので「家族にお願いしている」「サポートが必要な場所には行かないようにしている」という声もありました。盲導犬と単身で自由に外出できるはずなのに、出先で人のサポートを得られるか心配なので断念せざるを得ない。以前にも増して、コロナ禍で視覚障害の方が不自由を強いられている現状が浮かび上がってきました。
視覚障害の方が委縮せずに必要な時にサポート依頼ができるよう、社会全体で考えていかなければなりません。
 
 
3.受け入れ拒否が減った~外出が少なかったから  
①過去1年間(2020年1月から)に盲導犬同伴を理由とした「受け入れ拒否」があったかどうか聞いたところ、93人(41%)が「ある」と回答していました。
 この質問は、障害者差別解消法の社会への定着度をみるため、施行(16年4月)の1年後から始めました。振り返ると55%(17年)→59%(18年)→60%(19年)→63%(20年)と漸増してきましたが、今回は41%に急減しました。
 

 
 
下がったのはコロナ禍でユーザーの外出頻度が減った(調査結果後述)という一時的要因が大きいと推察されます。「コロナ禍なので断られそうなところに行かない」「病院への付きそいでは犬を置いていくことにした」など、受け入れ拒否を避けるための行動を余儀なくされていたこともあったようです。
 
この調査ではユーザーの外出頻度を聞き、集計していますので、「受け入れ拒否」の減少に関連して紹介しておきます。
■外出日数減少
例年、ユーザーに外出頻度を尋ねますが、コロナで緊急事態宣言が出るなど社会全体に外出自粛が求められたこともあって、いつもと比べると今年は「出控え」がうかがえました。
外出頻度は2015年以降、「毎日」と答える人は62~70%の間で推移していましたが、今回は前年の62%から52%へと10ポイント下がりました。「できるだけ外出しない」とするコメントも多数ありました。
■盲導犬との歩行時間も減少
では、1日に盲導犬と歩いている時間はどのように変わったでしょうか。例年、「30分~60分」と「1時間~2時間」とで合わせて80%ほどになりますが、前年と比べると「1時間~2時間」が40%から30%へと10ポイント下がりました。代わって「30分~60分」が46%から53%へと増えました。当然ですが、「外出日数」の結果と軌を一にしています。
 
②拒否に遭った場所は、飲食店が74%(前年78%)と抜きんでて多く、医療機関22%(同24%)、スーパーやコンビニエンスストアなど小売店が16%(同15%)、タクシーやバスなどの交通機関が14%(同24%)と続きました。カラオケなどの娯楽施設は2%(同9%)でした(複数回答可)。
 
③拒否の理由は「犬は駄目」が60%(前年59%)と突出していました。「犬は店の外で待たせるなどの条件をつけられた」が34%(同37%)、「犬アレルギーや犬嫌いの利用客がいるから」が32%(同42%)の順になり、「受け入れの前例がない」が22%(同36%)ありました(複数回答可)。
 

非接触、非対面が進む社会で、視覚障害の方はサポートを必要としています
 
 
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【社会理解へ向けた活動】
この調査結果を受けて、日本盲導犬協会では、コロナ禍で盲導犬ユーザーと共に活動する視覚障害の方の実態を伝えると同時に、社会での受け入れ理解とサポートを呼びかけるために「オンライン盲導犬ユーザー受け入れ・接客セミナー」を定期開催いたします。
4月19日、飲食店を対象としたセミナーを最初に、月1回のペースで開く予定です。詳細情報は下記協会ホームページにて公開しています。
<飲食店向け>
https://www.moudouken.net/news/article/page_584.php

 宿泊事業者向けセミナーは、6月16日に開催予定です。詳細情報は下記協会ホームページに公開中です。
<宿泊事業者向け>
https://www.moudouken.net/news/article/page_291.php
 
 
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視覚障害者を孤立させない 行政との連携強化に 「行政職員向け盲導犬オンラインセミナー」初開催 /release/202011197377 Thu, 19 Nov 2020 15:57:40 +0900 日本盲導犬協会                                    報道関係各位   視覚障害の人にとって、福祉の行政窓口は障害者手帳の交付や安全に移動するための手段や訓練、音声パソコンの使い方な... 公益財団法人 日本盲導犬協会
                                

 
報道関係各位
 
視覚障害の人にとって、福祉の行政窓口は障害者手帳の交付や安全に移動するための手段や訓練、音声パソコンの使い方など日常生活に不可欠な情報を尋ねる大切な場所です。また、音声信号機を増やして欲しいといった要望を伝え、暮らしやすい街づくりに反映する重要部署です。福祉窓口のサービス向上は視覚障害者のQOL(生命・生活の質)に直結します。
公益財団法人 日本盲導犬協会(理事長:井上幸彦)では、その福祉窓口とコンタクトし連携してきましたが、新型コロナウイルスの影響でままならない状況となりました。そこでオンラインの活用へと転じましたが、この機会に、協会の訓練センターがある近隣県にとどまらず対象を全国に広げ、しかも県や市町村の本庁舎だけでなく、どこからでも参加できる利点を生かし出先機関なども含め、全国規模での盲導犬オンラインセミナーを2020年12月から開催いたします。
 
セミナーは二部に分けて1時間。まず盲導犬の貸与の仕組みや盲導犬との家庭での生活の仕方、申し込み方法など、盲導犬全般への疑問に答える1部。ここでは視覚障害の方へ向けた生活の便利グッズ、利用できるサービスなどの「情報提供の重要性」についても触れます。
2部では盲導犬同伴の行動に社会がどう対応するか、飲食店や医療機関など受け入れ側の責務と、地域での「啓発活動促進」を訴えます。
 
 
「盲導犬の取得手続きなど視覚障害支援に関する情報を何とか当事者へ届けたい」「事業者や市民に対し、誰もが活躍できる社会の実現に向けたメッセージを発信したい」――この2点を日本盲導犬協会と行政が連携しながら進めていきたいと考えています。どうかこの取り組みを取材していただき、報道していただけますようお願い申しあげます。
 
 
■「行政職員向け盲導犬オンラインセミナー」の詳細  
1.開催日時
2020年:
12月11日(金)14時
2021年:
1月26日(火)14時
2月25日(木)14時
3月21日(日)14時
 
2.対象者
都道府県・市町村、視覚障害に関わる相談支援事業所、地域包括支援センター、就労支援に関わる事業者など
 
3.参加方法
ウェブ会議システムZoomを使用
 
4.場所
公益財団法人日本盲導犬協会 神奈川訓練センター
〒223-0056 神奈川県横浜市港北区新吉田町6001-9
※参加者はオンラインで参加
 
5.応募詳細
日本盲導犬協会ホームページをご覧ください
https://www.moudouken.net/center/kanagawa/news/article/page_355.php
 
 
盲導犬ユーザーの体験談  
●藤本悠野さん&ウクル(東京都)

(ブラインドテニスに夢中です。全国大会にもウクルと2人で遠征します。盲導犬と一緒に誰にも気兼ねなく好きな時に出かけることができるようになりました)
 
都内で4つの区に住み、その度に福祉サービスの利用申請など福祉課のお世話になりましたが、盲導犬の話が出たことは1度もありません。窓口でもらう「福祉のしおり」に「補助犬の給付」の項目はありますが、対象は障害者手帳「1級」となっていて「自分(2級)は対象じゃないんだ」と、長年、盲導犬は全盲の方が持つものという認識でした。4年ほど前に知り合いが日本点字図書館で盲導犬の体験歩行をされ、ロービジョン(全盲ではなく、見えにくい視覚の状態)でも持てるらしいと教えてくれました。それがきっかけで日本盲導犬協会に問い合わせたら、あれよあれよと話が進み今に至った次第です。
区に盲導犬について何か助成が受けられるのかなど問い合わせもしたのですが誰も分からず、調べてもらうのに時間がかかりました。結局、受けられるサービスは何もなくて、保健所に飼い犬の登録をしただけでした。
身体障害者手帳2級では、白杖がなくても歩ける方もいらっしゃいます。ただ私のように、盲導犬と歩くことでQOLが向上する場合もあるので、選択肢の一つとして情報が提供されるといいなと思います。例えば協会のパンフレットなどを渡してもらうとか、体験会もあるみたいですよと一言添えてもらえる、それだけで違うのかなと思います。
見えるわけでも見えないわけでもなく、行政のサービスにしても、精神面にしても、孤立しがちなロービジョンの人を、協会のようなプロの方々につなぐ橋渡しをしてもらえたらと思います。
 
 
●ユーザー若山さん&盲導犬トラヴィス(宮城県石巻市)

(今日もトラヴィスと一緒に、石巻市役所へさっそうと歩いて向かいます。変われた自分を見て、同じ悩みを持った人が少しでも前向きになってもらえたらと思います)
 
3年間、自宅で閉じこもっていました。家族につらく当たってしまう自分を変えようと、まずは白杖の購入を決意し、1年ほどは白杖のみで歩行しましたが、物や人に白杖を当てる抵抗感や歩く速さの物足りなさを持つようになり、盲導犬の体験歩行会に参加しました。実は白杖購入の際、サイズ合わせに自宅へ来てくれたのが日本盲導犬協会だったのです。その縁が体験会につながりました。
トラヴィスと歩くようになって、外出機会がぐっと増えました。活動範囲も広がり、宮城県石巻市のNPO団体「一歩を楽しむ石巻」を立ち上げるまでに。閉じこもりがちな視覚障害者へ「まずは一緒にお茶でも」と気軽に声をかけています。一歩外へ出かける機会がいかに大事か、自身の体験から痛切に思います。盲導犬をもつ前に行政へ相談に行ったとき、一番気になったのは「同じ当事者の方の暮らしぶり」でした。どんな福祉機器を使っているのか? 同じ地域に当事者がいるのか? コミュニティーがあるのか?
当時、自分が疑問に思ったことを、今度は自分が情報提供者になって解決したい。視覚障害に関する情報交換や啓発活動を市役所と共に行うようになりました。現在は役所に盲導犬のパンフレットやポスターが設置されるほど、精力的に交流を重ねています。
 
 
●ユーザー髙さん&盲導犬エレナ(広島県呉市)

(盲導犬と歩くと「散歩した」という感じがします)
 
50歳代前半で広島市の自立訓練施設に入所して3か月間、泊まり込みで白杖の歩行訓練を受けました。通院していた広島県呉市の眼科医院で「そろそろやった方が」と勧められたのがきっかけです。その眼科医院は実はロービジョンケアに取り組んでいるんです。10年ほど前に呉市で視覚障害のシンポジウムがあり、その眼科医が「ロービジョンケア」などと熱く語っていました。「へえ、そんなのがあるんだ」と驚き、眼科を替えたのです。
 自分が将来的に見えなくなっていくのは分かっていたので、30歳代の半ばでマッサージの資格を取って仕事を替え、東京の会社から視覚障害者用支援機器や教材を取り寄せ勉強していました。眼科を替えたのもその流れです。生きていく上での情報は、やはり同じ視覚障害の仲間が詳しいです。ネットで調べるのが好きです。
 盲導犬ユーザーになったのは? 白杖歩行訓練で行った施設で、盲導犬の体験歩行が行われることを知って、実際にやってみて納得し、昨年、呉市で最初のユーザーになったのです。
 
 
●ユーザー山上隆幸さん&盲導犬イルミ―(静岡県伊豆の国市)

(イルミーは常に私を見守っていて、家の中でも動くと目で追っています。旅行が大好きなので、可能になったら、今年の分まであちこち出かけたいと思います)
 
緑内障でだんだん見えなくなって、家族の手引きで外出をしていたのですが、家族に用事があったりするとそれもままならず、1か月くらい外を歩けず筋力が落ちていくのを痛感していました。白杖で歩くのはちょっと抵抗があって、このまま寝たきりになるのか、そんな不安の中にいました。そんな時、市役所から手紙がきて「白杖歩行体験」のお知らせが届いたんです。思い切って参加しました。日本盲導犬協会の指導員の方が教えてくれて、歩いたのは1,2時間程度でしたが、練習すれば1人で歩けるようになるかも、と期待が持てました。市役所からの情報はほんとうにありがたかった。
2回目は、県の視覚障害者支援センターからの誘いで、富士ハーネスで2泊3日の白杖訓練をうけました。この時、盲導犬の体験もさせてもらったのですが、とにかく歩くスピード感が違うことに感動したのを覚えています。
自身の体験から、同じように視覚障害で外出ができないでいる人に情報を届けたいと考えたんです。市役所から視覚障害の方へ発送する封筒の中に、「お茶でも飲みませんか」と自分の連絡先を添えた案内チラシを同封できないか、お願いに行きました。残念ながらかなわず挫折でしたが、今はメーリングサービスを利用して仲間と情報発信をしています。伊豆の国市で、視覚障害の方同士が情報交換できるようなつながりをつくれたらと考えています。
 
 
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■視覚障害者支援 現場の課題■ ①厚生労働省によると視覚障害者は31万人(障害者手帳保持)ですが、日本眼科医会は09年に米国の「失明」「ロービジョン」の基準で視覚障害者数を164万人と推計しており、誰にとっても人ごとではありません。人生半ばで見えない、見えにくい状態になり、生きることさえ困難と考えてしまう方もいます。
 
②現在の盲導犬の数はおよそ900頭。障害当事者に対しても補助犬の使用がもたらす効果が十分に認知されていないと言えます。
 
③視覚障害者が直面する困難は「移動」「生活」「読み」に大別され、例えば「移動」については白杖歩行、同行援護、盲導犬歩行と選択肢がありますが、当事者にとってはそれぞれどこで訓練を受けることができ、費用面はどうなっているのかなど、選択する際の情報はたくさん欲しいところ。「生活」や「読み」も含め、ワンストップで福祉窓口から必要な情報を入手できたら助かります。しかし、盲導犬含め必要な情報が当事者に届いているとは言い難い状況です。
 
④盲導犬についていえば、日本盲導犬協会は障害者差別解消法の施行(16年)を機に、17年春から毎年、ユーザー(使用者)に飲食店や医療機関、交通機関、スーバー・コンビニ、ホテルなどで盲導犬同伴に際して「拒否を受けたかどうか」の調査をしていますが、55%→59%→60%→63%と漸増しています。盲導犬を利用する視覚障害者の活動しやすい社会づくりに向けて、盲導犬についての知識の普及が急がれます。
※厚労省も啓発活動の強化を示唆して、2020年3月、自治体向けた「身体障害者補助犬使用者の効果的な普及・啓発活動のあり方ガイドブック」を作成。
https://www.mhlw.go.jp/content/000665268.pdf
 
 
 
■行政担当者との連携■ 協会は毎年、都道府県や市区町村など2000に上る自治体に「盲導犬の活動状況・取得手続き」などを「協会案内」などと共に送付し、さらに連携強化に向けてアンケート調査などをお願いしています。そのうち回答がくるのは300件ほどにとどまっています。今回のオンラインセミナーなどを手がかりに、できるだけ多くの自治体と関係性を作っていきたいと考えます。
 
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オンライン「盲導犬ユーザー受け入れ・接客セミナー」開催 コロナ禍 店舗や施設でサービス提供時の不安解消 /release/202010195907 Tue, 20 Oct 2020 17:15:09 +0900 日本盲導犬協会                                              報道関係者各位   公益財団法人日本盲導犬協会(理事長:井上幸彦)の神奈川訓練センター(神奈川県横浜市)は、... 公益財団法人 日本盲導犬協会
 
  
                                       
報道関係者各位
 
公益財団法人日本盲導犬協会(理事長:井上幸彦)の神奈川訓練センター(神奈川県横浜市)は、盲導犬ユーザーが外出先でコロナを理由に援助を受けにくくなっている実情を踏まえ、「オンライン盲導犬ユーザー受け入れ・接客セミナー」を11月~12月に6回開催します。受講者はスーパーやコンビニ、飲食店、公共交通機関などの関係者を主に想定していますが、関心のある方なら誰でも参加できます。
 企業や施設、店舗単位でしか受けられなかったセミナーを、個人にも、そして一般の方々へも広く公開するのは全国でも例がなく初の試みとなります。視覚障害や盲導犬について、コロナ禍だからこそ知っていただきたい、そんな情報を発信いたします。
 
 
 
■コロナ禍で視覚障害者の生活に支障 新型コロナウイルスの流行以来、日本盲導犬協会には感染予防を理由に受け入れ拒否に遭った盲導犬ユーザーからの相談が寄せられています。
協会では、2020年5月~6月にかけて、262人のユーザー一人ひとりへ電話をかけ、困っていることや不安はないか、盲導犬の状況や人の健康に大きな変化はないかなど状況や気持ちを聞き取っていきました。「スーパーでの買い物の際に店員に援助を頼みにくくなった」「人との距離がわかりにくい」「買い物リストを渡して入口で待つようにしているけど、やっぱり自分で品物を確認しながら買い物したい」といったように、苦労している声がたくさん寄せられました。
 
 ■ 店舗、施設でも対応に悩む 一方、受け入れ事業者側からも「視覚障害者の手引きや案内をどうしたらいいか」、など接客についての悩みの電話が入っています。鉄道関係者や店舗経営者などはソーシャルディスタンス確保を十分にできるか、不安を抱いているようです。
 
  
(写真右:2020年7月2日、横浜市緑区役所で実施した受け入れセミナー。 実際の盲導犬ユーザーも参加して実演を行います )
     
手をこまねいていては、障害のある人が店舗や施設を利用しにくくなることが懸念されます。本セミナーは、盲導犬ユーザーが店舗などの施設を利用する際の対応といった基礎編から、コロナ禍で困っているユーザーの生の声などの応用編まであり、さらには質疑応答の時間もつくります。協会が作成したコロナ禍での盲導犬受け入れの考え方を盛り込んだパンフレットも参加者にネットを通じて配布します。
 
 
(ユーザーの声を受けて作成した「盲導犬受け入れ」についてのパンフレット。受け入れ相手に手渡して読んでもらえるよう、協会のユーザーに10部ずつ配布しました)
 
報道関係の皆さまにはぜひ、「オンライン盲導犬ユーザー受け入れ・接客セミナー」を告知、取材いただき、どんな状況にあっても「誰も取り残さない社会」を目指して発信してくださいますようにお願い申し上げます。



 
 ■ 「オンライン盲導犬ユーザー受け入れ・接客セミナー」詳細  
1.開催日時 2020年11月 4日(水)10:00~11:00
            11月 9日(月) 8:00~ 9:00
            11月17日(火)19:00~20:00
            11月26日(木)14:00~15:00
                                          11月29日(日)14:00~15:00
                                          12月12日(土)10:00~11:00
 
※事業者や会社勤務の人など、都合に合わせて参加しやすい時間帯をお選びいただけます。
 
 
2.場  所 公益財団法人日本盲導犬協会 神奈川訓練センター
       〒223-0056 神奈川県横浜市港北区新吉田町6001-9
       ※参加者はオンラインで参加、無料
 
3.内  容
・身体障害者補助犬と盲導犬
・盲導犬の受け入れと身体障害者補助犬法
・新型コロナウイルス感染を含めた犬の衛生面について
・盲導犬ユーザーが施設を利用する際の対応(コロナ禍での対応含む)【実演】
・障害の社会モデルについて(障害者差別解消法の趣旨)
・質疑応答
 
4.申し込み
日本盲導犬協会ホームページ申し込みフォームより受け付け
https://www.moudouken.net/
セミナーの問い合わせ先:TEL.045-590-1595
 
 
 ■ 2021年からは定期的にオンラインでのセミナーを開催予定 年明け以降は、より多くの方にご参加いただけるよう、オンラインでのセミナーを定期的に開催する予定です。
併せて、企業、店舗、事業所単位で行う対面でのセミナーの受け付けも継続しています。新型コロナウイルス感染予防を徹底した上で実施いたします。
 

(2017年4月7日、西武鉄道株式会社のセミナー。実際の駅ホームを利用し、たくさんの駅職員の方が案内の方法を学びました)
 
 
(2019年10月18日、株式会社利久 富沢店(仙台市)で実施したセミナー。飲食店では、手引きのほか料理の説明の仕方など、現場に即してより具体的なこともお伝えします)
 
 
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