【研究成果発表】スズ・ヒ素を主成分とした新しい層状超bcゲーム登録物質を発見　～高温超bcゲーム登録メカニズム解明の鍵～

2017/11/1 14:30

首都大学東京　理工学研究科物理学専攻の水口佳一准教授と後藤陽介特任研究員らの研究グループは、スズ（Sn）とヒ素（As）を主成分とした新しい層状超bcゲーム登録物質NaSn<small2</smallAs<small2</smallを発見しました。

2017年11月1日

公立大学法人首都大学東京

【研究成果発表】スズ・ヒ素を主成分とした新しい層状超bcゲーム登録物質を発見　～高温超bcゲーム登録メカニズム解明の鍵～

首都大学東京　理工学研究科物理学専攻の水口佳一准教授と後藤陽介特任研究員らの研究グループは、スズ（Sn）とヒ素（As）を主成分とした新しい層状超bcゲーム登録物質NaSn2As2を発見しました。

この層状超bcゲーム登録物質は、SnとAsが二次元的に結合したSnAs層（超bcゲーム登録状態が発現する層）とNa層（ブロック層）が交互に積層した結晶構造を特徴とし、このような層状構造は銅酸化物高温超bcゲーム登録物質系や鉄系超bcゲーム登録物質系と非常に類似していることから、SnAs系層状物質においても、非従来型メカニズムで超bcゲーム登録が発現している可能性があります。

今後SnAsbcゲーム登録層を基本とした新たな物質が開拓され、超bcゲーム登録転移温度の上昇や、高温超bcゲーム登録メカニズム解明の鍵となることが期待されます。

【研究成果のポイント】

・新規超bcゲーム登録物質を発見

・SnAs層が超bcゲーム登録発現に寄与

・非従来型超bcゲーム登録メカニズムの可能性

・さらなる超bcゲーム登録物質開発と超bcゲーム登録転移温度向上への期待

研究の背景と経緯

層状化合物は、二次元的な層状（シート状）の結晶構造を持つ物質であり、異なる種類の層を積層させることで、様々な物質をデザインすることができます。さらに、二次元的な結晶構造は低次元的な電子状態を生じさせるため、高温超bcゲーム登録(1)などの特異な量子現象の舞台として盛んに研究されてきました。高い超bcゲーム登録転移温度(Tc)(2)を持つ銅酸化物高温超bcゲーム登録物質系では、銅と酸素が作るCuO2面が共通の層状構造として存在し、高温超bcゲーム登録発現の鍵となりました。同様に、2008年に発見された鉄系超bcゲーム登録物質系では、鉄とヒ素が結合したFe2As2層が高温超bcゲーム登録発現の鍵となりました。

これらの高温超bcゲーム登録体は“超bcゲーム登録状態が発現する層”と“ブロック層(３)”が積層した結晶構造を持っています。

なお、この研究開発は、（独）日本学術振興会の科学研究費補助金（新学術領域J-Physics、基盤研究（B））および（独）科学技術振興機構JST-CRESTの助成を受けて行われました。

研究の内容

今回、本研究グループはスズ（Sn）とヒ素（As）を主成分とした新しい層状超bcゲーム登録物質NaSn2As2を発見しました。特徴として、SnとAsが二次元的に結合したSnAs層（超bcゲーム登録状態が発現する層）とNa層（ブロック層）が交互に積層した結晶構造を持っています（図１）。

（図1）

図2(a)は、NaSn2As2の磁場中電気抵抗率の温度依存性を示しています。0 Oe（ゼロ磁場中）においては、1.3 K（ケルビン）(4)以下で超bcゲーム登録状態発現に伴う電気抵抗率の減少が観測され、約1.2 Kでゼロ抵抗状態が実現しています。超bcゲーム登録転移は比熱測定においても確認されました。

図2(b)に示すように、1.3 K付近で超bcゲーム登録転移に由来する比熱の変化が観測され、試料全体が超bcゲーム登録状態にあることが明らかになりました。

NaSn2As2は、銅酸化物高温超bcゲーム登録物質系や鉄系超bcゲーム登録物質系と類似の層状構造を持ち、低次元的な電子状態が発現していると考えられ、非従来型メカニズムの超bcゲーム登録（５）が発現している可能性があります。

（図2）

【用語解説】

（１）高温超bcゲーム登録

超bcゲーム登録は低温の物質で起こる量子現象で、電子がクーパー対という対を形成することで電気抵抗が消失する現象である。この性質を生かし、超bcゲーム登録は電力ケーブルや強磁場マグネットなどに応用される。特に、比較的高温（例えば30K以上）で超bcゲーム登録状態を実現できる物質を高温超bcゲーム登録物質と呼ぶ。

（２）超bcゲーム登録転移温度 (Tc)

冷却により物質が常bcゲーム登録状態から超bcゲーム登録状態に転移する温度。

（3）ブロック層

電気的に絶縁な層。bcゲーム登録層（超bcゲーム登録が発現する層）と交互に積層することで、bcゲーム登録層に二次元的な電子状態を実現する。

（4）ケルビン(K)

熱力学温度の単位。273.１５ Kが0 ℃に対応する。

（５）非従来型メカニズムの超bcゲーム登録

従来型の超bcゲーム登録メカニズムでは、電子が格子振動を媒介にして電子対を形成し、超bcゲーム登録が発現する。一方、非従来型メカニズムを有する超bcゲーム登録体では、格子振動ではなく、磁気揺らぎや電荷揺らぎなどを媒介にして電子対が形成され、超bcゲーム登録が発現する。非従来型メカニズムを解明することで、さらなる高温超bcゲーム登録物質の設計指針が得られると期待される。

今後の展開

SnAs超bcゲーム登録層を基本とした新超bcゲーム登録物質が多く発見され、さらに高い超bcゲーム登録転移温度を持つ物質の発見が期待されます。また、SnAs層における超bcゲーム登録発現メカニズムを解明することにより、今後の超bcゲーム登録物質探索に新たな指針を与えるとともに、高温超bcゲーム登録メカニズムのさらなる解明が期待されます。

◎平成２９年１１月１日　日本物理学会刊行の英文誌「Journal of the Physical Society of Japan」（オンbcゲーム登録ン版）に掲載。

本bcゲーム登録は発表元が入力した原稿をそのまま掲載しております。また、bcゲーム登録へのお問い合わせは発表元に直接お願いいたします。

bcゲーム登録原文(PDF)