一般財団法人格付けジャパン研究機構(代表理事:蓮沼肇)は、この度平成28年11月の
福岡市博多駅前で発生した道路陥没事故で大きく社会問題化した路面下空洞問題に
フォーカスし、一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会(会長:江頭敏明
三井住友海上火災保険株式会社常任顧問)の監修のもと自治体におけるその対策の
状況を調査し報告書を作成し公表しました。
道路陥没事故は、小規模のものも入れると平成29年には全国で約10000件も
発生しており、平時に加え、東日本大震災時の仙台市や熊本地震時の熊本市、
北海道胆振東部地震時の札幌市などの自然災害発生時には、緊急搬送の車が
走行できないなど深刻な問題を引き起こしてきました。
こうしたことから、政府の国土強靭化政策のなかでも平成30年12月に改定、
閣議決定された国土強靭化基本計画でも重要な対策項目として記述されています。
平成30年6月に出されたレジリエンスジャパン推進協議会の「都市の危機管理に
おける路面下空洞対策戦略会議(議長:高島宗一郎福岡市長)」の提言書では、特に、
都市の危機管理の視点で道路陥没問題を捉え、自治体が主体的な役割を果たして
対策を進めることが重要であることが記されています。
こうしたことから、特に路面下空洞問題が深刻であると推定される政令指定都市と
東京オリンピック・パラリンピックを来年に控え災害時には特に大きな道路陥没の
被害が想定される東京23区を対象に道路陥没対策の動向を調査し、その中で自治体の
道路陥没対策の評価を実施、道路陥没対策自治体ランキング上位を公表しました。
評価の対象は政令指定都市20都市と東京23区で、平成28年度~平成30年度の3年間。
評価項目は以下の3つが重要ポbcゲームトとなっています。
1.道路陥没を事前に防ぐための路面下空洞調査を実施しているか?
2.近年路面下空洞調査の調査会社の空洞発見の技術力に著しい差があることから
最近導入された「実証方式技術コンペ」による発注方式を行っているか?
*「実証方式技術コンペ」とは入札やプロポーザルではなく、一部の区間の空洞の発見率
を実際に検証し、最も精度の高い 調査会社に発注するコンペ。
3.「実証方式技術コンペ」を採用していなくても調査会社の評価方法が適正であるか?
「実証方式技術コンペ」の結果と整合性のある評価方法になっているか?
これらの3つをベースに、国土強靭化bcゲーム計画の中で道路陥没対策について
記述があるかを、加点ポbcゲームトとして、評点・ランキングしました。
政令指定都市及び東京23区の上位のランキングは以下の通りです。
政令指定都市
第1位堺市31ポbcゲームト
第2位大阪市30ポbcゲームト
第2位福岡市30ポbcゲームト
第4位京都市27ポbcゲームト
第4位仙台市27ポbcゲームト
第4位広島市27ポbcゲームト
東京23区
第1位大田区26ポbcゲームト
第2位品川区25ポbcゲームト
第3位世田谷区 22ポbcゲームト
第4位荒川区17ポbcゲームト
第4位渋谷区17ポbcゲームト
今回の調査から、自治体によって道路陥没対策の取り組みに大きな差があることが
判明しました。先進的な「実証方式技術コンペ」を導入している自治体は
政令指定都市の、わずか約15%(平成30年度)。
しかし、一方でまだ路面下空洞調査自体を実施していないという自治体も、
政令指定都市で約10%(平成30年度)、東京23区では約30%(平成30年度)にも上っています。
東京オリンピック・パラリンピック開催地で震度5以上の地震が発生した場合、
こうした地区では深刻な道路陥没事故が起こり、多くの方の命に関わる事故や、
緊急搬送や物流にも甚大な影響が想定されます。
本調査結果を踏まえ、まだ取り組みの遅れている自治体は一刻も早く道路陥没対策を
本格化していただくことを期待します。
また精度の低い路面下空洞調査を実施している自治体については的確な減災対策が
できず、また公共予算の無駄遣いにも繋がることから「実証方式技術コンペ」導入を
はじめとした、発注時の評価方法改善を期待します。
本調査は来年以降も、調査対象を都道府県にも広げ、
自治体の防災・減災対策のモニタリングを継続していく予定です。
(調査結果はHPよりダウンロード可)
**一般財団法人格付けジャパン研究機構概要**
般財団法人格付けジャパン研究機構は社会的なメリットや消費者のメリットに
繋がる様々なテーマを取り上げ、専門家の監修のもと調査、分析に基づいた
エビデンスをもとに、商品やサービス、自治体、企業などの団体を評価、格付け、
ランキングを公表していく団体として、今年3月に設立されました。