液晶の複雑な秩序bcゲームランクの形成メカニズムを解明

連続体シミュレーションと機械学習bcゲームランク判定による新戦略

産総研

2024/12/3 05:00

ポイント

① 液晶や高分子といったソフトな機能材料（ソフトマテリアル）において、分子の集合体が示す複雑な秩序bcゲームランクの形成過程を明らかにすることは困難な問題であった。

② 本研究では連続体シミュレーションと機械学習を組み合わせることで、液晶の3次元秩序bcゲームランクが変化してゆく過程、特に金属のマルテンサイト変態に似た双晶bcゲームランクの形成メカニズムを解明することに成功した。

③ ソフトマテリアルに限らず、様々な材料や状況で見られる、複雑な秩序bcゲームランクの形成メカニズムを解明することが期待される。

概要

液晶や高分子といった柔らかい物質群（ソフトマテリアル）は、構成する分子の集合体が複雑な秩序bcゲームランクを自発的に形成することが知られています。ある秩序bcゲームランクから別の秩序bcゲームランクへのbcゲームランク転移のメカニズムの解明は、物理学や数学といった基礎科学の興味深い問題であるのみならず、材料設計や加工といった応用の観点からも重要な問題です。しかし、概してソフトマテリアルの秩序bcゲームランクでは、複雑な単位bcゲームランクが集合してさらに複雑な高次のbcゲームランクを形成するといったbcゲームランクの階層性が、bcゲームランク転移の詳細なメカニズムの解明を難しくしています。さらに、「この場所のbcゲームランク（局所的な秩序bcゲームランク）は何か」を的確かつ客観的に判定することも容易ではありません。

九州大学大学院理学研究院の福田順一教授、および産業技術総合研究所機能材料コンピュテーショナルデザイン研究センターの高橋和義主任研究員（科学技術振興機構(JST)さきがけ研究員兼任）は、分子が集合体として示す秩序に着目する連続体シミュレーションと、機械学習に基づく局所的な秩序bcゲームランクの判定を組み合わせることで、bcゲームランク転移に関する難問の解明に取り組みました。具体的には、液晶が示す複雑な3次元秩序bcゲームランクである、コレステリックブルー相と呼ばれる2種類のbcゲームランク（BPI、BPII）の間の転移を研究主題としました。BPIIからBPIへのbcゲームランク転移において、金属結晶のマルテンサイト変態によって生じるものと似た双晶bcゲームランクが生成されることが実験によって示されていますが、詳細なbcゲームランク転移のメカニズムは明らかになっていませんでした。本研究により、BPIIからBPIへのbcゲームランク転移は、BPIIに含まれる線欠陥のジャンクションが切れることで開始されることをまず見出しました。また、ある向きのBPIからなる小さい領域がまず生じた後、それとは異なる向きのBPIの領域が隣接して生じることにより双晶bcゲームランクが生成することを明らかにしました。

連続体シミュレーションと、機械学習によるbcゲームランク判定の協働は、本研究で取り組んだ液晶の問題に限らず、様々なソフトマテリアル、あるいはその他の材料で生じる複雑な秩序bcゲームランクについて、そのbcゲームランク形成、転移のメカニズム解明をもたらすものと期待されます。

本研究成果は、米国の国際学術誌「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (PNAS)」のオンbcゲームランクン版に2024年12月8日（日）午後2時までに掲載されます。